百田尚樹著 幻冬舎刊 日本国紀を読んだ

友人に勧められて、百田尚樹の本を永遠の0以来久しぶりに読んだ。この一見歴史書のようだが、百田氏の思い込みの強い内容である。自分の論理に都合の良い歴史を切り貼りし、適当に引用している。しかし、彼の文章は平易で読みやすく、興味深いエピソードが織り込んであり、一気に読んだ。複雑な明治維新の幕府や薩長の動きを分かりやすく解説した部分は見事だ。250年にわたる江戸幕府や当時の日本の素晴らしさを見事に説明している。残念なのは引用元等の注釈が無いため、彼の主観を裏付ける他説の引用が勝手に行われている。こんな歴史の見方もあると思いながら読んだ。司馬遼太郎の歴史観が読者を満足させるために特定の人物を高く評価したり、現代の感覚で過去を説明しているのと同じだ。だから読みやすいのだろう。特に、日本国憲法の誕生や東京裁判、靖国問題において、この特徴が出ている。この本の特徴は半分が日本の近代史であることだ。彼の目的はと軍備増強と憲法改正の世論を作ること。朝日新聞を敵視し、今日の日本の困難を幾つかの諸点でまとめており、現政権の姿勢に一致している。江戸幕府の誕生以前の部分は高校生の大学受験知識に毛のはえたていどの内容だから飛ばし読みしても良い。要は大学受験のバイブル、山川の日本史を批判的に解説している。日本人の精神的な特徴が何かを追求している点は好感が持てる。小説家らしい読みやすい内容。一方、敗戦から数年、サンフランシスコ講和までに現代の風潮が決まったような言い方や、平和ボケの批判、軍事増強など、安倍政権寄りの主張は頂けない。多分この本を読んで一番感動しているのは安部首相に違いない。

日本は敗戦で多くをまなんだ。小説家や評論家は支配者に批判的、反権力的であるべき。自分も朝日新聞はとんでも新聞だと思う。しかし、そこをもっと掘り下げてもらいたい。朝日を皆が読んでるわけではない。今は言論が酷く統制され、海外からも批判されている。百田氏は権力側の思想を代表している。彼の主張が強く出ているのは最後の200p位である。やっぱりというところ。日本の敗戦は軍部や天皇には責任がなく、アジアの欧米植民地主義からの解放をもたらしたという古典的な右翼の主張。戦後利得者の左翼系知識人や文化人によって歪められた歴史を正す。これを歴史修正主義といい警戒すべき論理。日本人の精神はGHQの政策と「WGIP」洗脳者によって踏み潰されたというのは右翼の妄想。日本人の精神はそんなに柔ではない。日本は負けたのだ。ソ連や中国に支配されたら今の日本はない。それを言うなら戦争を始めた愚を批判すべきだ。日本人のDNAは2000年の歴史を持ち、決して滅びないということだ。とはいえ、急にDNAという分子生物学を持ち込むレトリックがせっかくのわかりやすさを損なっている。今更自画自賛してもなにも出てこない。自己満足の歴史随筆。




ウォー・ギルト・インフォーメーション・プログラムー右翼の妄想 WGIP Wikipediaから抜粋

占領政策として様々な工作が行われたが、右翼の被害者意識からWGIPがしばしば取り上げられる。

民間情報教育局は、ここに同局が、日本人の心に国家の罪とその淵源に関する自覚を植えつける目的で、開始しかつこれまでに影響を及ぼして来た民間情報活動の概要を提出するものである。」とある[27]

ウォー・ギルト・インフォメーション・プログラムについて江藤は、その嚆矢である太平洋戦争史という宣伝文書を「日本の「軍国主義者」と「国民」とを対立させようという意図が潜められ、この対立を仮構することによって、実際には日本と連合国、特に日本と米国とのあいだの戦いであった大戦を、現実には存在しなかった「軍国主義者」と「国民」とのあいだの戦いにすり替えようとする底意が秘められている」と分析[27]。また、「もしこの架空の対立の図式を、現実と錯覚し、あるいは何らかの理由で錯覚したふりをする日本人が出現すれば、CI&Eの「ウォー・ギルト・インフォーメーション・プログラム」は、一応所期の目的を達成したといってよい。つまり、そのとき、日本における伝統秩序破壊のための、永久革命の図式が成立する。以後日本人が大戦のために傾注した夥しいエネルギーは、二度と再び米国に向けられることなく、もっぱら「軍国主義者」と旧秩序の破壊に向けられるにちがいない」とも指摘している[27]

また、「軍国主義者」と「国民」の対立という架空の図式を導入することによって、「国民」に対する「罪」を犯したのも、「現在および将来の日本の苦難と窮乏」も、すべて「軍国主義者」の責任であって、米国には何らの責任もないという論理が成立可能になる。大都市の無差別爆撃も、広島長崎への原爆投下も、「軍国主義者」が悪かったから起った災厄であって、実際に爆弾を落した米国人には少しも悪いところはない、ということになるのである」としている[27]

“WGIP”を主に担当したのはGHQの民間情報教育局 (CIE) で、“WGIP”の内容はすべてCIEの機能に含まれている[28][29]。当初はCIEに“War Guilt & Anti-Millitarist”(これまで「戦犯・反軍国主義」と訳されてきた)[30][31]、あるいは“War Guilt & Criminal”[32]という名称の下部組織(後に「課」)が置かれていた(1945年11月の組織改編で消滅)。

“WGIP”は「何を伝えさせるか」という積極的な政策であり、検閲などのような「何を伝えさせないか」という消極的な政策と表裏一体の関係であり、後者の例としてプレスコードが代表的である。1946年(昭和21年)11月末にすでに「削除または掲載発行禁止の対象となるもの」として「SCAP-連合国最高司令官(司令部)に対する批判」など30項目に及ぶ検閲指針がまとめられていたことが、米国立公文書館分室所在の資料によって明らかである[33]プランゲ文庫保存のタイプコピーには、多少の違いがあるが同様の検閲指針として具体的内容が挙げられている。


by katoujun2549 | 2018-12-21 13:43 | 国際政治 | Comments(0)