マイケルムーア 華氏119

市川のコルトンプラザ東宝シネマズで華氏119を見た。最終回の18時30分だがガラガラ。この映画監督はこれまで民主党政権側に立ち、ジョージブッシュを批判してきたマイケルムーアだが、トランプの台頭は民主党政権時代に根があったことを語る。

その原因、要素は日本人ではあまり報道されないことも多い。彼の突撃取材のいくつかを取り上げる。ムーアは自動車産業の衰退の影響を受けた五大湖周辺のラストベルトの出身であった。この地域に問題意識を持っていたトランプとは彼も親交があった。トランプは民主党の牙城であったこの地域の代議員票をヒラリーの手抜きの隙をついて得たのである。彼の選挙参謀だったバノン氏はムーアが監督したドキュメンタリー、シッコの製作会社社長であった。

 華氏119は先日の中間選挙結果、上院共和党、下院民主党のねじれ現象を予見させる内容であった。銃規制に関してはアメリカの建国から現代の軍に至る国防に関する意識にもつながる。銃を持つのは25%だが、機関銃まで必要なのだろうか。国土の広いこの国では警察を待っていられない。身を守るのは個人なのである。今年に入って銃乱射事件が多発している。NRAの政治献金はトランプの資金源でもある。この辺りから変化を期待したい。

 強いものに巻かれる日本のマスメディアはトランプはなかなかのやり手という声も出ているが、彼の矛先が日本に向けられた時の反応はどうなるのだろうか。

 アメリカ政治の劣化は民主党にも起きていた。2年前の大統領選で、誰もがクリントンの勝利を信じた。当初は15%の支持しか無かったのにトランプ大統領という結果がなぜ生まれたかの過程を、ムーアは故郷のフリントの惨状を通して見せる。


1.オバマ政権の欺瞞

 ミシガン州のフリントはかつてGM(ジェネラル・モータース)の企業城下町として栄えた。人口15万人のうち3万人がGM関連の職に就いていたこの町は、メキシコに工場が移転、失業者が大量に溢れ、治安はみるみる悪化し、町はゴーストタウンと化した。共和党系ミシガン州知事リックスナイダーの直轄行政となったが、彼はビジネスライクに河川からの取水を行い、配管のコストダウンから鉛の成分が溶け出し、子供に健康被害が出た。オバマの登場を期待したが、彼は知事を擁護する立場になり、事態は改善されなかった。

オバマ政権はリーマンショック後の財政再建を余儀なくされ、公共投資に手が回らなかった。健康保険は民主党の政策だが、必ずしも歓迎された訳ではない。結局、彼もエスタブリッシュメントの代表で、大企業の献金で動く人ではなかったか。ヒラリーもメール疑惑にあるような公私混同とウオール街の利権の人ではないか。そこにトランプはつけこんだ。

2.教員のストライキーこのままでは公教育が立ち行かなくなる

今年2月、全米で最初に立ち上がったのは、南部ウェストバージニア州の教師たちでした。公立学校の教師、およそ2万人が、州都チャールストンの州政府や議会を取り囲み、8日間にわたって授業をボイコット。実に28年ぶりのストライキに州政府や議会は驚がくし、翌3月、共和党の知事は、教師の給料を5%引き上げる条例案に署名。実力行使で一定の成果を勝ち取ったことがメディアで大きく伝えられ、教師のデモは、うねりとなって各地に波及し始めた。

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ウェストバージニアからコロラド、アリゾナ、オクラホマ、ケンタッキー、ノースカロライナへと拡大した。これらがアリゾナ州以外はトランプ支持50%以上の州であることに注目したい。

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赤いTシャツは共和党のシンボル。これらの州はいずれも教師の賃金が低く、全米で49位、31位、44位、50位、29位、39位と下位に低迷。

3.銃社会への告発を高校生が立ち上げた 

 2018年2月のフロリダのパークランド高校で18人の学生が犠牲になった。このことを悼んだ高校生たちが立ち上がり20万人のデモとなった。銃乱射を生き残った生徒たちは、全米からの注目をチャンスととらえ、すぐさま議会に銃規制強化を訴えるなどの行動を開始した。呼び掛けに応え、全米の若者たちが#EnoughIsEnough(もう沢山だ)、#NeverAgain(二度と繰り返すな)などのハッシュタグを付けてソーシャルメディアでメッセージを発信、連動して銃規制キャンペーンを展開し始めた。

4.女性票                         

MeToo 運動はハリウッドの大御所ワインスタインのセクハラ問題から始まり、最高裁判事候補カバノー氏の過去の女性に対するセクハラなどトランプ政権を揺さぶったが、トランプは強引な姿勢を変えない。カバノーの訴追はうやむやになってしまった。トランプ自身ポルノ女優との関係とか、過激な発言が非難されている。中間選挙では明らかに女性票が逃げた。上院選挙は半数改選だが、下院は全部改選だから、増加した投票者のかなりが女性の民主党候補者に投票した。 18歳の若者、女性の投票が10%増え。下院の民主党票に直結した。この高校生たちや若い女性立候補者の姿をドキュメンタリーとして取り上げ、アメリカの民主主義にムーアは希望を抱く。また、今回の下院選挙で当選したニューヨークのウエイトレス、プエルトリコ出身のオカシオ・コルテスに注目。彼女はサンダースの福祉政策に共鳴している。


5.民主主義が破壊された過程をナチスの台頭の歴史と重ねる   

ムーアはエール大学のスナイダー教授にインタビューする。彼はアメリカが民主国家になったのは実はそれほど古くない。公民権運動以降、1970年代あたりからだという。アメリカの民主主義はそれほど強くはない。ワイマール政権が少数派のナチスに乗っ取られた過程は今の状況に酷似しているという。ナチスが社会の行き詰まりをユダヤ人のせいにし、共産主義の恐怖をあおった。人種偏見や、移民問題を危機とするのに似ている。テロへの恐れ、失業、健康保険、貿易赤字などアメリカの問題点を全て他人、他国のせいにして、嘘も平気につく。40%の岩盤支持があれば全てを握れることはナチスに学んでいる。





2016年1月5日、スナイダーはフリントの非常事態を宣言し、同日連邦政府当局は、彼らが調査していることを確認した。1月12日、スナイダーはフリント市民にボトル入り飲料水とフィルターを配布するため、ミシガン州の国家警備隊を活用し、連邦政府に援助を求めた。1月13日、ミシガン州保健当局は、過去2年間でフリントを含む他の地域でレジオネラ菌の症例が増加した事を報告した。14日、スナイダーはオバマ政権に大規模災害の宣言と更なる連邦政府の援助を要求した。16日、大統領は緊急宣言に署名し、救援活動を調整するため連邦緊急事態管理局と国土安全保障省を認可する連邦援助を命令したが、連邦災害宣言の要求を拒否した。19日、スナイダーは州の年度演説で、フリント住民への対応に失敗したと述べ、彼は問題を解決するための措置を取ると誓約した。昨日スナイダーは大統領が拒否した連邦災害宣言を再度考慮するよう要請した。また知事は、「誰がこの問題に責任があるのかとの議論を表示し、州の応答に洞察を提供」するフリントの水危機に関する270ページ以上の電子メールを公開した。

ミシガン州知事の水危機の対応は17日に開催された民主党大統領候補者の討論会でも提起され、ヒラリー.クリントンは緊急な水危機に適切な対応を怠ったスナイダーを批判し、バーニー.サンダースはスナイダーの辞職を求めた。これに対し、スナイダーは問題を政治化しても解決しないと反論した。19 日、フリントの鉛汚染危機に関する感想を聞かれた共和党候補者のマルコ.ルビオはこの問題には集中していないため良く知らないと答え、連邦政府は関与するべきではないと述べた。


by katoujun2549 | 2018-11-08 23:22 | 映画 | Comments(0)