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キャメロンハイランド

8月29日KLのミッドバレーを9時30分に出発し、セントラルバスセンター10時45分のバスで、キャメロンハイランドに向かう。高速から一般道に入ると山道となりぐんぐん高度が上がっていく。2時頃標高1600m程の高原町タナラタのバスステーションに着く。現地で生活している「剣士」大手さんご夫妻が迎えに来てくれた。商店街がメインストリートから1段高いところに歩道と土産物店、飲食店が連なり、その前にアーケードのように屋根付きの歩道がある。歩行通路沿いに椅子やテーブルが並んでいる。

タナラタの街並み
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大手さんはこの地に静岡からやってきて8年にもなるという。昼食後、横手さんのお宅を訪問した。ヘリテージホテルのあるエリアの一角でタナラタの中心から徒歩10分の好立地。グリーンハウスというコンドミニアムである。途中でドリアンを買って家で食べることになった。小高い丘の上にホテルと賃貸住宅が並んでおり、その一角にお住まいであった。緑に囲まれ景色もよい。当地にはキャメロン会という日本人会があって日本人のロングスティをサポートしてくれるが、大手さんは会員になっていないという。多分、この会は高齢者の集団で、まるで老人ホームにいるようなもので、当初60代のご夫婦だと入るのには躊躇されたろう。
 ドリアンを食べたが、とにかく臭いがすごい。都市ガスについた匂いを思い出す。しかし、硬く棘のある殻の中にはねっとりと、甘い果肉が種を包んでいる。これを食べたあとは絶対に酒を飲まないでくださいと大手さんは助言してくださった。相性が悪い人がいてお腹の中が大変なことになるらしい。
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大手さんはご自分で木刀を製作され、素振りの稽古をされるそうである。ロングスティ8年目になるご夫妻から、キャメロンハイランドでの生活の気に入った部分やご苦労など、お話を伺うことができた。マレーシア生活の様々な側面を率直に話され、とても参考になった。テレビなどで見る良いことづくめの話とは若干違う。何事も生活の拠点を変えるのは大変なことだというのが実感である。
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ホテルのスモークハウスまではバスターミナルから車で5分ほどだが、山道を登るので歩けば40分はかかるだろう。スモークハウスは英国のカントリーハウス風の西洋館で、美しいイングリッシュガーデンがある。トロピカルな花と観葉植物が珍しい。夕方大手さんご夫妻が車で迎えに来てくれた。
夕食はご夫妻と共にした。ご夫妻の住まいのお隣さんが経営している鍋料理スチームボートのレストラン、鍋料理で、スープが絶品。前日も夕食は鍋だったが、中味は違う。体調も良くなったせいか、こちらの方が美味い。茶畑が見える。この茶畑は年中刈り取ることができる。
BOCH teaというお茶で有名。
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翌日に行ったのが月光荘、管理人が立ち入禁止といってきたが、写真は撮らせてくれた。
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翌日シルク王ジムトンプソンが失踪した現場。月光荘はタクシーで10分ほどだが山の上にある。松本清張がその失踪事件にヒントを得て「熱い絹」という長編推理小説を書いている。CIAのスタッフでもあった彼が失踪した事件は日本ではあまり知られていないが、現地とアメリカでは大騒動になった事件だそうである。あらゆるケースを想定し、捜索したが結局不明に終わった。散歩中虎に喰われたという説もある。この地にはマレー虎が生息している。最近も女性が行方不明になったそうである。トレッキングで人気の場所、自然の宝庫だが、危険もあるのだ。特に危ないのが道路に散見される野犬である。狂犬病のウイルスを持っているものがあり、日本人の長期滞在者が噛まれたそうで、急いでワクチンのある日本に帰国してしまった。狂犬病は潜伏期間が長い。半年後に発病することもあるらしい。発症したら最後、死亡率は100%とのこと。
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さらに、ここにはキングコブラやグリーンスネークのような毒蛇も多い。アマガサヘビ、サンゴ蛇などマレーシアは毒蛇の楽園か。コブラは基本的には蛇を捕食するようで、人間には威嚇することにとどまるようだ。結局皆びっくりして逃げてしまうのでコブラよりはグリーンスネークの小さなやつが家に入ってくる時が危ないそうだ。連中は夜行性で滅多にお目にかかれないが、ジャングルは別とのこと。熱帯には危険が満ち溢れている。泥棒も金持ちと思われている日本人を狙ってくる。タクシーも日本人とみれば吹っかけてくるから油断は禁物。国内生活には無い苦労がある。
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キャメロンハイランドのジャングル。ジムトンプソンもこの森に消えた。熱帯の巨木の上に美しい赤い花が咲き、霧がわく光景は素晴らしい。この森にはオランアスリーという原住民が保護されて暮らしている。彼らは土産物の籠とか、吹き矢、山の果物、タケノコを露店で売っている。特にジャックフルーツが多い。巨大なえんどう豆のようなものも売っているが匂いが強烈だそうだ。彼らは精霊信仰で木彫の仮面が面白いが、非常にシンプルなデザインで珍しとみえ、10万円以上するので出が出なかった。収集家がいるらしい。高原なので雨が多い。傘は突然の雨と野犬対策で必須とのこと。
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渓谷にはところどころ陽が当たっている。それは熱帯森林特有の高い樹の先についた天蓋のような葉の繁茂がきれるところからだった。多少の伐採が樹と樹の天蓋の接続を断ち切れらせているのだ。高度が上がるにつれて、樹林の様相も変わってきた。全てが棒のように高く直立した樹林と、その幹を部分的にしか露出させていない大波のような葉のうねりであった。椰子のような掌状葉から広潤葉にいたるまで、およそ何千何百種もの植物が精力的に自生しているように思われる。林の根方も下草の縺れた繁茂に深く埋められていた。その昏い奥にも、樹上にも、どんな動物がひそんでいるか分からなかった。シダも、日本で見るような地を這うような矮小なものではなく、並木のように亭々と高くそびえていて、その先に葉を傘状に四方へ広げていた。すでにシダの感じはしなかった。
(松本清張 熱い絹262pから)

by katoujun2549 | 2016-09-10 00:39 | 国際政治 | Comments(0)