1973年は戦後28年を経ていたが、世界史的には戦争が1945年に終わった事を考えると昨日の様なものである。確かに、日本は「最早戦後ではない」というスローガンを立てたが、戦場になった当時のアジア諸国にしてみればまったく通用しない論理であった。また、形は戦後賠償やODAであっても、日本企業のアジア諸国への対応は、自己中心的であったから懸念や反発を受けていた。そこで、アジア諸国への日本の立場を明確にし、アジアが戦場となった事への懺悔の気持ちを表す事が、日本に取っていかに大切な事かを思い起こさせる。それにひきかえ、安倍首相の終戦記念日の追悼文、広島長崎の弔辞などをみて、そうした戦争で日本が犯した様ざまな問題に対する発言がまったく見られないのは実に残念である。そして、今、ASEANとの関係が今後の日本を決めると行って良い。ASEANの本部はジャカルタだが、リーダーシップはマレーシアが大きな影響力を持っている。親日国家でもある。日本のアジア政策は中国、韓国は大切だが、マイナス面も多い。軸足は東南アジアで行くべきだ。
かつて、日本企業はすでにそうした戦略で戦後活動してきた。この10年の中国の急成長に目を取られ、進出するのは自然のなりゆきだが、動機はあくまでも経済利害である。中国は日本に対しては信頼感が薄い。むしろ、ドイツやフランスに対する親近感が強い。あまり対抗意識を燃やす事は無い。ASEAN諸国も中国との貿易で潤っている。そしてその急成長ぶりに日本は乗った方が良い。中国や韓国との関係に対しては、あまり利ばかりを考えずに彼らの望むところを中心に「対応」する。特に、慰安婦問題や南京事件など、黙殺するくらいでいいのではないだろうか。日本の歴史修正主義的な動きを公的な立場が行うことの反発が今日の事態を招いている。もちろん言論での論争は自由である。