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シャーロックホームズ シャドウゲーム

シャーロックホームズ シャドウゲーム

シャーロックホームズシリーズ第2作目をDVDで見た。
 ロバート・ダウニー・Jrがシャーロックホームズ、ジュード・ロウがジョン・ワトソンにふんするアクション・ミステリー。おなじみのコンビに謎のジプシー女占い師を加えた3人が、黒幕モリアティー教授と戦う。監督はガイ・リッチー。また、2人と手を組むヒロインのジプシー役はスウェーデン出身女優ノオミ・ラパス、モリアティーはジャレッド・ハリス。
 ストーリーがものすごく速いテンポで進む。そのために謎解きゲームの要素は希薄で、アクション大作となっている。ビクトリア朝時代の町並み、ロンドンとパリの風景が見事に再現されている。こうした時代考証が緻密な割にはストーリーはあり得ない展開が続く。物語を面白くしたいという意図はわかるが、モリアティーが巨大な権力と富や武力の持ち主になって、テロや暗殺を繰り返す。その秘密はジプシー女が失踪中の兄を捜していることをホームズが突き止めたところからモリアティー教授の攻撃が始まる。知的な謎解きゲームの要素は全くといって無い。ホームズの謎解きはフラッシュのような映像で説明される。
 1890年代は工業技術と科学が飛躍的に発達、アナログ的技術の頂点となったヨーロッパ世界。とはいえ、19世紀末にあんな短機関銃があったのだろうか。モーゼルC96自動拳銃は1896年に開発されたから、これも時代が合わない。第一次大戦の兵器をモリァティーは準備したと言いたいのだろうか。コナンドイルのシャーロックホームズではないと思えばいい。アクション映画の妙味は、その時代の最先端の技術を駆使した世界が見られることである。この作品は19世紀に視点を置いた点でその基本を外れていない。かつて、007は20世紀の究極の機械文明、自動車や精密兵器、そして核兵器などが常に登場した。ガイリッチー監督の手法は時間を巻き戻して謎解きプロセスを解説する。彼の台詞はほとんどアクションを補うとぼけたあユーモアで、謎解きの妙味は全くない。ホームズの宿敵モリアーティ教授。世界中で起こっている重大事件の大半は彼の仕業という悪の権化というアクションのワンパターン。モンキーパンチのようなストーリー展開。コナンドイルをガイリッチー監督が乗っ取ったのである。モリアーティが世界大戦の勃発を目論見、ホームズとワトソンが阻止しようと戦う。ワトソンへの愛が彼の結婚式と新婚旅行を守ろうというシーンで興味を沸き立てるが、なぜモリアティーがワトソンを執拗に攻撃するのかがよくわからない。敵を追ってフランスからドイツ、そしてスイスへと移動。場面の背景はコンピューターグラフィックスの緻密な技術でこれでもか、これでもかと見せつけてくれる。ジャレッドハリスは二重人格者としてのモリアティー教授の雰囲気をよく演じていたが、ジプシー女のヒロイン役ノオミラパスはあまり美を感じさせないし、存在感も乏しかった。速いテンポと凝りにこった大道具に飲まれている。
 とにかく、ストーリーテンポが早く、感覚的に見ていくしかない。細かい展開の説明をすると不自然なところが見えてしまうからだろう。ジプシー女やホームズ一行が一体なぜ各国の首脳が集まる秘密パーティに潜入できるのか全く理解できない。そんなことを言っていると今の映画の見方が分かっていないことになるのだろう。ストーリーもデジタルなのである。ミッションインポッシブルとかアクション映画は皆同じパターンである。あれだけの時代的雰囲気を大道具で出しているのだから、そんなに現代風になる必要はないと思うのだが。この映画のストーリーをホームズとワトソンの友情物語として見たら、結構いける娯楽大作。

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by katoujun2549 | 2012-12-22 23:20 | 映画 | Comments(0)