猿の惑星 ジェネシス:創世記 を観た
Wikipediaによると、次のとおり。
レトロウィルス、子宮頸癌ウィルスなどはRNAを持ち、生命体の細胞に侵入する。感染すると、ウイルスのエンベロープが細胞膜の受容体と結合することで、細胞内にRNAと逆転写酵素が侵入する。その後逆転写酵素が作用し、ウイルスRNAを鋳型にマイナス鎖DNAを合成する。そして合成されたマイナス鎖DNAを鋳型にプラス鎖DNAが合成され、一本鎖RNAが二本鎖DNAに変換される。
その後二本鎖DNAは宿主細胞のDNAに組み込まれ、プロウイルスと呼ばれる状態になる。プロウイルスは恒常的に発現している状態となっており、ウイルスRNAやメッセンジャーRNAが次々と合成されていく。メッセンジャーRNAはウイルス蛋白を合成させ、完成したウイルスは宿主細胞から発芽していく。この過程で大腸菌のDNAなどを使ってDNAの操作を行なう。ウイルスが持つ病原性に関する遺伝子を取り除き、外来の目的遺伝子を組み込んだ物がウイルスベクターである。細胞レベルから動物個体レベルでの遺伝子機能解析や、ヒトの遺伝子治療への応用が期待される。レトロウィルスはウィルスベクターとして使われる。
レトロウイルスは近現代において「天然のナノマシン」として、様々な遺伝子治療や遺伝子研究に利用されている。このウィルスがさらに抗体を持った人間には抵抗の出来ない感染を引き起こし、人間が絶滅の道を始めるという設定が最後にある。猿は、抵抗力があり、ウィルス感染を乗り越えてしまう。ネタバレだが、最後に、ウィルスが隣人のパイロットによってNYに運ばれるエンディングとなる。続編が出来る事は間違いない。この作品の陰の主役はウィルスなのである。
この作品が、猿を日本人に見立てた人種差別狙いという見解もあったが、それはいかにも、こじつけで、その気は全く感じられなかった。前作はそうした日本の高度成長と重ね合わせて物語が作られ、あの猿は日本人だという人もいた。最初の猿の惑星はフランスの小説家ピエール・ブールによるSF小説が原作。2作目の続編が原作に近いらしい。人間社会への辛辣な風刺をこめた作風は今なお高く評価されている。ブールが仏領インドシナにて現地の有色人種を使役していたところ、同じ有色人種である日本人の率いる軍の捕虜となった「立場の逆転」の経験を基に描かれたとされる。
今回は、あまり、前作との関連を考えずに素直に見て楽しい。とにかく、物語の中心は高知能を得たチンパンジー、シーザーであり、特殊メイクの凄さである。この映画は映像の美しさ、躍動感などから映画館で見る事をお勧めしたい。特にサンフランシスコの街並や、ゴールデンゲートブリッジが効果的に使われ、霧に浮かぶ橋や対岸の森などが美しく、アメリカの風景や自然を楽しむ事も出来る。