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猿の惑星 ジェネシス:創世記 を観た

 今回の猿の惑星は、あのシリーズの原点となった猿の反乱がどう行なわれたか、何故、チンパンジーが高い知能を得たか、という疑問に答えるものである。あのチャールトンヘストン主演の「猿の惑星」はシリーズとして4部作でそれぞれヒットしたので、あの夢をもう一度と言う事である。最初の猿の惑星では、その惑星が地球であることが最後に分るようになっており、また、猿が何故人間を支配するに至ったかという疑問には答えていないところが、物語を面白くした。そこをナンじゃか説明するというと野暮であるが、その設定が、最初の作品では説明出来なかったDNAをウィルスを使って操作するという最新の分子生物学の成果を使っているところがSF的である。最初の猿の惑星は1968年作品で、その後5年間続編が作られた。逆転写酵素は1970年に発見された。逆転写ウィルスを使ったDNA操作というのは未だ20年くらいの歴史だから、前の作品では取り入れることができない技術だった。今回作品の舞台が前半は製薬会社の研究所であり、主人公もそこの研究者。チンパンジーを使った製薬実験が続けられる。彼はアルツハイマーの父の治療に自分の開発した薬を使ってしまう。

Wikipediaによると、次のとおり。
レトロウィルス、子宮頸癌ウィルスなどはRNAを持ち、生命体の細胞に侵入する。感染すると、ウイルスのエンベロープが細胞膜の受容体と結合することで、細胞内にRNAと逆転写酵素が侵入する。その後逆転写酵素が作用し、ウイルスRNAを鋳型にマイナス鎖DNAを合成する。そして合成されたマイナス鎖DNAを鋳型にプラス鎖DNAが合成され、一本鎖RNAが二本鎖DNAに変換される。
 
 その後二本鎖DNAは宿主細胞のDNAに組み込まれ、プロウイルスと呼ばれる状態になる。プロウイルスは恒常的に発現している状態となっており、ウイルスRNAやメッセンジャーRNAが次々と合成されていく。メッセンジャーRNAはウイルス蛋白を合成させ、完成したウイルスは宿主細胞から発芽していく。この過程で大腸菌のDNAなどを使ってDNAの操作を行なう。ウイルスが持つ病原性に関する遺伝子を取り除き、外来の目的遺伝子を組み込んだ物がウイルスベクターである。細胞レベルから動物個体レベルでの遺伝子機能解析や、ヒトの遺伝子治療への応用が期待される。レトロウィルスはウィルスベクターとして使われる。

 レトロウイルスは近現代において「天然のナノマシン」として、様々な遺伝子治療や遺伝子研究に利用されている。このウィルスがさらに抗体を持った人間には抵抗の出来ない感染を引き起こし、人間が絶滅の道を始めるという設定が最後にある。猿は、抵抗力があり、ウィルス感染を乗り越えてしまう。ネタバレだが、最後に、ウィルスが隣人のパイロットによってNYに運ばれるエンディングとなる。続編が出来る事は間違いない。この作品の陰の主役はウィルスなのである。

 この作品が、猿を日本人に見立てた人種差別狙いという見解もあったが、それはいかにも、こじつけで、その気は全く感じられなかった。前作はそうした日本の高度成長と重ね合わせて物語が作られ、あの猿は日本人だという人もいた。最初の猿の惑星はフランスの小説家ピエール・ブールによるSF小説が原作。2作目の続編が原作に近いらしい。人間社会への辛辣な風刺をこめた作風は今なお高く評価されている。ブールが仏領インドシナにて現地の有色人種を使役していたところ、同じ有色人種である日本人の率いる軍の捕虜となった「立場の逆転」の経験を基に描かれたとされる。

 今回は、あまり、前作との関連を考えずに素直に見て楽しい。とにかく、物語の中心は高知能を得たチンパンジー、シーザーであり、特殊メイクの凄さである。この映画は映像の美しさ、躍動感などから映画館で見る事をお勧めしたい。特にサンフランシスコの街並や、ゴールデンゲートブリッジが効果的に使われ、霧に浮かぶ橋や対岸の森などが美しく、アメリカの風景や自然を楽しむ事も出来る。

by katoujun2549 | 2011-11-08 20:15 | 映画 | Comments(1)
Commented by cloud at 2012-05-06 00:13 x
猿の惑星は日本人ではなく韓国人の大国主軍団のこと
cloudbe13.blogspot.com