第59回全日本剣道選手権大会

 高鍋進選手が東永選手を「突」で破って優勝した。高鍋選手は、上から制圧して来る東永の攻撃を躱しながら一本を守った。高鍋のスピードのある面に対して、東永も鋭い面技を持っている。3回戦の学生選手、西村との対戦でも、相面の際どい瞬間を制した。今年の全日本選手権は、決勝の高鍋の突も凄かったが、立派な試合が多かった印象だ。

決勝映像:http://www.youtube.com/watch?v=2U5J1gGC4K8

 期待の内村と正代の準々決勝は、上段の正代に対して内村の果敢な攻めが制した。正代は惜しい面があったが、中間からの面だったため、評価されなかった。正代の上段は、構えの妙味は無く、上段の構えを取ると数呼吸で打ち出す。相手は防御の態勢になり、構え直すとすると、そこを逃さない。何と、片手で小手面の連続内が出来る。ひたすらスピードで打ち勝つ「上段」という新しいスタイルだが、見ていて面白味がない。

 決勝戦は神奈川県警の高鍋対警視庁の内村という期待があったが、準決勝の東永は正攻法で攻め、面の二本を取って見事に決勝に進んだ。同じ埼玉県警の米谷を破り、決勝に進んだ高鍋は再び埼玉県警との戦いとなった。決勝の緊張の中で、高鍋の諸手突きは見事だった。相手の出ばなを見逃さない。前に出る相手の突きは、難しい。一方、東永の小手、逆胴は惜しいところだった。小手を凌いだ高鍋も見事だった。小手に当たったが、体を引いて打撃を躱した。こうした場合、審判は旗を上げにくい。また、高鍋は左拳を上げて、竹刀の先を下げて相手の攻勢を凌ぐのがうまい。以前、世界選手権大会で米国選手にこのタイミングを読まれて負けたことがある。この動作をされると竹刀では打つところが無くなるが、真剣ではこうした凌ぎ方はありえない。逆胴を袈裟に切られると防げない。打撃を避ける時にはあるのだが、剣先の攻防をそらすテクニックとしてはあり得ない。そこを逆胴に切った東永の攻撃は、もし、刃筋が正しければ逆胴としても一本取るべきだと思う。

 全日本二連覇は本当に大変な事だ。高鍋の面という強力な武器が、相手を制し、技の自由度を上げる。相手の東永の面も、一足一刀の素早い面で、これが内村の攻勢に見えた一瞬の隙を見逃さなかった。内村対高鍋の一戦も見たかった。全日本選手権の審判が選手の一本をどう捉え、解釈するかというのも興味の一つだ。試合は選手だけではなく、審判の評価というのも大事な要素だからである。積極的に攻めた一本、正しい姿勢、態度、気剣体の一致といった要素を見ている。理合にかなっているかなど、審判の剣道観が表れる。審判から好感を持たれる試合振りというのも大事なのだ。その点では東永の試合態度は立派だった。


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by katoujun2549 | 2011-11-06 14:08 | 武道・剣道 | Comments(0)