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精神病治療の難しさ

 鬱病も統合失調症も実際、そのような名前が正確な病気を物語るようなものではない。東京女子医大ではかつて、何でも鬱病とするよう統一していた時代があったそうである。ただ、統合失調症(昔は分裂病)は妄想とか、幻覚を伴うものがあるから、そこは区別できた筈である。鬱病は躁状態と鬱状態を繰り返すが、統合失調症も同様なのだ。ハイになる時期と落ち込んで無気力になる期間を繰り返す。季節の変わり目に変化する人、何かの出来事をきっかけに変わる人など、様々である。近親者の死とか何かの事件で気持ちが高揚したり、落ち込むと、そのまま元に戻らない。精神のバランスを狂わす原因が、神経伝達物質、セロトニンの分泌が安定しないことが、精神に影響がある。この物質の分泌を促進したり、抑制する薬で精神が調整できるため、物質の存在が立証されているような気がするのだが、実際のところセロトニンの作用は分っていない事も多い。薬というのはその機序が明らかでないものの方が多い。効いて副作用が少なければOKなのである。

 精神病になると、強烈なオーラが出ることもある。精神に問題があることを納得させようと問いかけたりすると、あなたが変なのですと、ばかに理路整然と反論されて、おかしいのはこっちのような錯覚にもなるくらい。恋愛妄想の女性など、病院の看護の男性が巻き込まれて、一緒に脱走したりするらしい。今は病院に入院する人は稀で、ほとんど在宅である。それでも、入院している人は、よほど重傷で、友人の医師が精神病院に実習で勤務していたら、人を殺したことがある患者が何人もいるのにびっくりしたと言っていた。病気というのは早期発見・治療なのだが、精神病の場合、診断が難しいから、早期だと症状がはっきりしない。そこで、いい加減な治療が行なわれ、投薬の加減もわからず、患者が苦しむことになる。早ければよいというものでもないから難しい。

「 セロトニン選択的再取り込み阻害薬(せんたくてきセロトニンさいとりこみそがいやく、Selective Serotonin Reuptake Inhibitors、SSRI)は、近年多用される抗うつ薬の一種。シナプスにおけるセロトニンの再吸収に作用することでうつ症状、病気としての不安の改善を目指す薬。2009年5月現在、日本国内で100万人以上が使用していると推定されている[。旧来の三環系などと呼ばれる抗うつ薬は作用や副作用が強く、扱いにくかったことから、肝毒性・心毒性などの副作用を少なく・より選択的に作用することを目的として開発された。口の渇き、便秘など抗コリン作用が原因と思われる副作用は減少した。生活状態から観察することができる。(Wikipediaから引用)」

 患者の状態を観察するポイントは眠れるかどうか、そこで、朝起きられなくなる事が多い。高揚期になると、光に対して敏感になり、暗い空間を好むようになる。困るのが、クレジットカードで買い物をしまくったり、強迫観念の強い人は防弾チョッキとか日本刀、スタンガンなんかを買ったりする。女性であれば、赤い色の服を着たがったり、刺激的な色を好むことがある。また、幻覚があると、UFOを見たり、天使が飛んだり、また、家族の一寸した発言を攻撃的に解釈する。こうした症状を家族が観察し、本人だけではなく、家族も一緒に医師と面談し、適切な判断を仰ぐ姿勢が求められる。 軽い場合はドグマチール、興奮度によって癲癇の薬、デパケンなども使われる。要は気分の波を平らにするのである。

 向精神薬の難しいのは、投薬の量である。患者の訴えが唯一の情報で、これを根拠に増減する事が正確に行なえれば良いのだが、気分というのは主観が入るから、医師がこれをどう判断するかで大きな差が出る。本来は、入院して、経過観察しながら分量を決めれば良いのだが、なかなか普通にはそうした時間的余裕もない。量が合わなければ、患者はその副作用に苦しむ。寝たきりになったり、倦怠感でQOLが低下する。SSRIがプラセボに対して若干の効果があるだけだという説もあるが、実際に使っている状態を見ると、薬は何でもそうだが、だんだん効かなくなるということではないか。しかし、少なくとも、副作用に死んだようにならずにすむだけでも有り難い。しかし、この薬の深刻な副作用も報告されている。使用量を誤ると、攻撃性とか暴力的な行動が出るという。例えば、重大事件を引き起こした犯人がSSRIを常用していたことが明らかになっている。アメリカのコロンバイン高校銃乱射事件、大阪池田小学校乱入殺人事件などの犯人である。とはいえ、多くの患者が救われているという現実を考慮すると、ほとんど問題になっていない。
 薬品名は
 フルボキサミン(デプロメール、ルボックス)パロキセチン(パキシル)セルトラリン(ジェイゾロフト)(新薬)エスシタロプラム(レクサプロ)である。

by katoujun2549 | 2011-07-11 14:18 | 医療介護福祉 | Comments(0)