非科学的な東京電力
東京電力は海洋投棄分は拡散されて問題ないという。こうした物の言い方は、昔から電力会社お得意の巻で、自分に都合の悪い事は問題ないという癖がある。何らの科学的根拠が無い発言であると思って良い。フランスの原子力安全研究所(IRSN)からは、水に溶けた分は拡散するが、微粒子の形で海中にとどまる物質は海底に沈み、長期間汚染が続く可能性があるとした。特にセシウム134は数年、セシウム137は約30年にわたって海中にとどまるとして「沈殿が疑われる日本の海岸地域では、長期にわたる調査が必要だ」と指摘している。海外の権威からはそのような情報が流れ、当のご本人は知らぬ存ぜぬ。この姿勢は昔からのこと。連中の習性ともいえる。民間企業だから、会社を守ろうという意識がそうさせているのだろう。しかし、こと原発事故については一企業の問題ではすまされない。東京電力は原発内の蒸気を抜く作業を、自分達だけでやろうとして、2度も爆破させてしまった。今回の程度はチェルノブイリとは同じではない、安全は確保されているというが、実際は仮に、規模はチェルノブイリの四分の1でも、原発4基がだめになったのだから、それを4倍すると同じことではないか。フランスの原子力安全委員会は「福島の原発事故は、国際原子力事象評価尺度(INES)で、レベル6に達する可能性もある」との見方を示した。チェルノブイリがレベル7、世界中が固唾を呑んで見守っている。シロオトの山勘と大して違わないのだ。マスコミも含めて国民を舐めてもらっては困る。
ソ連とは同じではないと強調するのも政治的意図としか思えない。これも原発関係者からすると、専門家の皆様はそれぞれの破損の程度とか、「科学的に」計量しないと分からないとか、そのときばかりは、えらく科学的になるのだ。少ない被害、少ない影響のデーター、自分に都合の良い情報しか耳を傾けず、国民を騙そうとするのは過去の大本営と全く同じではないか。この不思議なメタリティに世界も驚く事だろう。チェルノブイリのときだって、最初は死者の数も少なかったが、結局40人以上が作業の被ばくでなくなってしまった。日本だってこれから分からない。