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タイガーマスク 伊達直人

伊達直人 タイガーマスク

 昨年からタイガーマスク伊達直人の名前で養護施設にランドセルが送られた。マスコミに取り上げられると、次々と100カ所にのぼる施設に拡大、文具、金塊にいたるものまでが寄付され、さらにテレビ報道を賑わせる。マスコミに出るということは滅多に無い事だからだ。自分はこの事自体は悪い事ではないし、日本の寄付行為に対する意識が少しでも変わって格差社会において「持てる者」が奉仕する気風がさらに広がることを望む次第である。

 日本には寄付行為が先進諸国と比べて行なわれない国である。寄付・ボランティア大国アメリカでは、スポーツ選手など、多額の報酬を得ていることが社会的に認知されると大変だ。これを独り占めにしようとすると、様々なトラブルに巻き込まれる。セクハラとか、幼児虐待など,罠にかけて訴訟に持ち込む輩もいて、マイケルジャクソンもその被害者かもしれない。彼がネバーランドをもっと早く一般公開し、恵まれない子供たちのセンターにしていたらあのような訴訟事件にならなかっただろう。最悪の場合は強盗に殺されたり、詐欺にあったり、ろくなことにならない。富豪がもっとも恐れるのは周囲の嫉妬なのだ。だから、富を得た人は社会奉仕や寄付を懸命に行なう。そして、自分がその努力をしていることをPRする。何も、善意という事だけではなく、懸命な、そして賢明な自己防衛の一つでもある。ハリウッドの俳優等もこれをやらないと人気が出ない。勿論、寄付には税制上の控除が行なわれるから、税金対策でもあり、また、自分が希望する分野に支援するという意味で、満足感も、使途に関しても納得がいく合理性もある。キリスト教の教会への寄付の伝統も大きな要素であることも付け加えたい。

 では日本の伊達直人はどんな人なのだろう。大富豪がするような規模ではない。多分、むしろ金持ちの部類ではない、普通の所得レベルの方々だろうと思う。恐らく、仕事も忙しく、自分の正体が分かって報道されることを煩わしく思い匿名になるのだろう。金持ちというのは大体ケチで、自分の資産が減ることを恐れるようになる。ケチだから金持ちになったということもあるが、貯まった資産の引力で、それなりの力学が働くのである。

 しかし、これを社会現象とするには規模が小さすぎる。むしろ、マスコミがこれを騒動に仕立て上げ、ネタにしてほくそ笑む姿が目に浮かぶのである。マスコミならば、善意の寄付行為が所得税控除されるよう、制度を充実する道を示す等、きちんとした勉強と、NPOなどの制度拡充に向けた話をすべきで、タイガーマスクの漫画やテーマソングの紹介ばかりをするのは情けない。漫画とアニソンばかりが売れている。これもテレビのせいだ。寄付の額より、タイガーマスク関連商品が売れた額の方が多いのではないか。これで儲かった出版社やCD会社が寄付した話はまだ無い。これは寄付のネーミングとか養護施設が対象になった点は関係はあるが、漫画は昔のものでそれに刺激されたり、力があったわけではない。政治も、経済もドン詰りの日本。皆、何かが起きることを期待している。昔、京の都下において、神符がまかれ、ヨイジャナイカ、エイジャナイカ、エイジャーナカトと叫んだという。この騒動は3ヶ月ほど続いた。八月下旬に始まり十二月九日王政復古発令の日に至て止む、とあり、明治維新直前の大衆騒動だった。王政復古という大事件が、閉塞感を打ち破ったのだろうか。この時点で「ええじゃないか」騒動はぴたりと止んだ。

 今回の騒動もこれに似ている。人々は結構冷静だが、マスコミはただ、ええじゃないか!と叫んでいるだけだ。増税の保管的な仕組みとして寄付は政府にも有り難い行為だ。しかし、今回のことはKARAとかエリカ様さわぎと同じ、単なる騒動なのだ。今後も善意を持った方々がいろいろな方法で寄付が続くかもしれない。今日の産経新聞で曾野綾子が、こうしたことは、アフリカでは横取りされて出来ないよとか、本当に生涯をかけてやっている人は黙っているとか、お説教をするよりは、素直に良いことと受け止めて、さらにこうした善意の仕組みが発展するように見守りたい。


by katoujun2549 | 2011-01-28 11:52 | 医療介護福祉 | Comments(0)