🌟イスラエル軍のガザ侵攻において国連を通じて日本ができることはないのか、遠い中東の出来事とはいえ、日本は90%の石油輸入をこの周辺地域に依存しているのである。アメリカを慮って何もしないのなら情けない話だ。ガザのハマスとアメリカ、イスラエルとの仲介をしているカタールは日本に石油や天然ガスを輸出している。ガザで人道上の支援をすることはイスラム諸国に必ずや評価を得られるはずである。
イスラエルとパレスチナ自治区、ガザの問題には国連が深く関わってきた。ところがウクライナもそうだが国連の常任理事国の拒否権によって国連は議決できず機能不全に陥っている。ガザの避難民の窮状において国連が無力なことはなぜなのだろうか。 国連というのは第二次世界大戦の戦勝国による世界秩序形成というより彼らを軸とする親睦団体にすぎないことが分かってきた。常任理事国が行う犯罪的行為やハラスメント、戦争には全く機能しない。このことを解決するには国連総会の議決を常任理事会の権限の上位にしなければならない。ところが、これを進めるとかつての国際連盟の日本のように問題の国家が国連を脱会するだけで問題の解決にはならない。
フィリッポ・グランディ国連難民高等弁務官は何をしているのか。これまで30年以上にわたり国際問題に関わる職務に携わり、そのうち27年は国連機関での勤務です。前職はUNRWA (国連パレスチナ難民救済事業機関)のトップである事務局長で、その前はUNAMA(国連アフガニスタン支援ミッション)の特別代表代行を務めている。日本の緒方禎子さんの後任でもある。ところがこのUNRWAは機能不全なのだ。それどころか、イスラエル軍の攻撃を受けてしまう。ハマスも国連の支援物資を受け取ろうとする。UNRWAは難民とハマスを区別していないのだ。国連はガザの難民支援の特別組織を編成する必要がある。ここに日本は支援のリーダーシップが取れないのだろうか。人道支援はハマスが利用しようとも行うべきである。従来のルートではイスラエル軍の攻撃を受けてしまう。ガザの海岸側に港湾施設を作り、船で支援物資を送る試みは既にNPOなどが始めている。
⒈UNRWA
《United Nations Relief and Works Agency for Palestine Refugees in the Near East》国連パレスチナ難民救済事業機関。 パレスチナの難民に対し、教育や福祉などの支援を行う国際連合の機関。ガザ地区で活動する最大の国連機関。 ガザ地区のほか、ヨルダン川西岸、ヨルダン、レバノンでパレスチナ人に医療や教育など人道支援を提供する。 ガザ地区内では約1万3000人を雇っている。ところが、この機関には多くのハマス戦闘員が加わっていることが分かり、日本やG7諸国は資金援助を停止してしまった。今やガザ地区の避難民は飢餓に見舞われている。この悲惨な状況にイスラエルは戦闘を停止する気配がない。米中央軍は2日、イスラエル軍の攻撃が続くパレスチナ自治区ガザ地区の上空から、食料などの支援物資の投下を開始したと発表した。ガザでは多くの市民が極度の食料不足に苦しんでおり、支援が急務となっている。侵攻の責任国家であるイスラエルは難民の救済は国連の仕事、ガザの悲惨は国連の無策と非難している。盗人猛々しいとはこのことだ。イスラエルにとってガザの住民もハマスも一緒なのだ。
アメリカ中央軍によると、現地時間の2日午後3時から午後5時の間に、ヨルダンと協力してC130輸送機から約3万8千食入りの支援物資をガザに投下した。米政府高官は報道陣に「極端な飢餓と絶望的な状況を緩和することが目的だ」と述べ、今後も支援物資の空中投下を続けながら、陸上や海上からの搬入も目指すと説明した。
別の米政府高官は、支援物資が行き渡るためには「ガザで停戦が必要だ」と指摘。現在、6週間の停戦枠組みが交渉されており、イスラエルが「ほぼ受け入れた」と述べた。この高官は一方で、停戦のためにはガザのイスラム組織ハマスによる人質解放が必要で、合意は「まだ実現していない」
2.ガザの人々はハマスを支持
パレスチナ政策調査センターが昨年末に発表した世論調査によると、
「どの政党・党派を支持するか」という質問に対し、最多は「ハマス」で、ガザでは42%、西岸では44%を占めた。戦闘開始前の9月調査では、ハマスの支持率はガザで38%、西岸で12%。今回、ハマス支配下のガザでは微増だったが、自治政府の統治下にある西岸では急増していた。
一方、自治政府の主流派ファタハに対する西岸での支持は、26%から16%に減った。西岸ではもともと、イスラエルとの和平路線を取りながら、パレスチナ国家の樹立に向けた道筋を示せず、汚職も蔓延(まんえん)する自治政府への不信感が強い。パレスチナ自治政府の機能不全を利用し、ネタニアフ政権はヨルダン川西岸へんユダヤ系住民の入植を進めてきた。
3.オスロ合意
国際社会では2012年、パレスチナの国連へのオブザーバー加盟が圧倒的多数で承認され、 パレスチナは国家としての存在を認められました。 2014年は国連パレスチナ連帯年とされた。
1974年にパレスチナ解放機構がオブザーバー団体として国連に加盟した。 2012年にはオブザーバー団体からオブザーバー国家に格上げされ、事実上国家承認された。 国連では、毎年のようにパレスチナ人の民族自決権を確認する決議が提出されている。
オスロ合意と国連
1993年にイスラエルとパレスチナ解放機構(PLO)の間で同意された一連の協定。
正式には暫定自治政府原則の宣言: Declaration of Principles on Interim Self-Government Arrangements)
このオスロ合意が国連やアメリカの基本姿勢であることは今も変わらない。問題は、アラファトやラビン亡き後、当事者のイスラエルとハマスとが今となってはこれを全く評価していないことなのである。ハマスもヒズポラももう一つの無法国家イランの支配下にある。国際法が通用しない。
4.常任理事国の無法行為に国連が機能しない
ウクライナ戦争において国連は全く機能していない。中国やロシアの行う無法行為には無力であることが露呈した。ウクライナ問題は、無法国家のロシアが国連決議に従わないこと。 また、核大国のロシアに対して国連軍を組織して抑え込みを図っても、それこそ世界核戦争を招くため、ロシアを非難するだけで、手も足も出せない状況にある。国連総会でロシアを安保理の常任理事国から外す決議をするべきだという意見もある。もちろん安保理決議はロシアが拒否権を行使するから意味がありませんが、拒否権を行使できない国連総会にかければ、ロシアを安保理から追い出すことが可能。 実際、中華民国(台湾)は国連総会でアルバニアが提出した議案によって、安保理常任理事国の資格をはく奪され、それに怒った中華民国(台湾)は国連からも脱退してした。
しかし、今や世界では民主主義国家よりもロシアや中国のような権威主義国家の数の方が多いという状況下で、ロシアを安保理から追い出せるかどうか、大いに疑問だが。
5.イスラエル 強硬姿勢崩さず 即時停戦の決議案は米拒否権で否決
2024年2月21日 14時34分イスラエル軍は、避難者など150万人近くが暮らすガザ地区南部ラファへの地上作戦を強行する構えを見せています。市民の犠牲がさらに拡大しかねない中、国連の安全保障理事会では、人道目的での即時停戦を求める決議案の採決が行われましたが、アメリカが再び拒否権を行使し、決議案は否決された。イスラエル軍は、避難者など150万人近くが暮らすガザ地区南部ラファへの地上作戦を強行する姿勢を崩していない。
イスラエルの戦時内閣に入っているガンツ前国防相は18日、3月10日ごろに始まるイスラム教徒が日中の飲食を断つ断食月、ラマダンまでにハマスがすべての人質を解放しなければ、「ラファでも攻撃を行う」と述べている。一方、同じ南部でラファの北にあるハンユニスでは、イスラエル軍が激しい攻撃を続けている。
WHO=世界保健機関は20日、イスラエル軍が軍事作戦を行ったハンユニスのナセル病院から、一部の患者を避難させたとして動画を公開し、現地の窮状を訴えた。
今後、ラファへの地上作戦が強行されれば、市民の犠牲がさらに拡大しかねない中、国連の安全保障理事会では、人道目的での即時停戦を求める決議案の採決が行われました。日本を含む13か国が賛成したが、イスラエルを擁護するアメリカが戦闘の休止と人質の解放などをめぐり、外交交渉が続いているとして、再び拒否権を行使し、決議案は否決された。
6.日本の役割
イスラエルとイスラム組織ハマスの間の戦闘休止をめぐる交渉も先行きが不透明な状況で、人道状況のさらなる悪化が懸念される。官房長官 “粘り強く働きかけを行っていく”林官房長官は21日午前の記者会見で「さまざまな外交努力を行ってきたが、結果として採択に至らなかったことは残念だ。人道支援活動が可能な環境を確保し、持続可能な停戦が実現することを期待しており、わが国として総合的に判断し、賛成票を投じた」と述べた。また、記者団が「アメリカによる拒否権の行使をどう受け止めているか」と質問したのに対し、「アメリカなどが、人質の即時解放や人道状況の改善などのため精力的な外交努力を行っていることを高く評価している。何が現実的なアプローチかという観点から、関係国への働きかけなどを積極的に粘り強く行っていく」と述べた。日本はあくまでもアメリカの腰巾着としての立場を変えていない。
UNRWAが機能しないなら、日本は独自の路線をとり、ガザの海岸に救済地区を設定し、国連決議を行った諸国を集めて、医療や食料などの人道支援機関を設けてはどうだろうか。アラブ諸国の協力も得れば国際的な支援活動として新たな軸を国連に設けることこそ現実的なアプローチではないか。オリンピックや万博に何千億円もの資金を浪費することよりも遥かに世界貢献できるはず。パーティー券で四苦八苦区の自民党政権にはレベルの高すぎる課題だが。