新年あけましておめでとうございます。2012年が皆様にとり、良い年となられますように、心から祈念致します。

 今年はロンドンオリンピックも行なわれ、世界は新しいイベントが目白押しです。秋にはアメリカ、ロシアの大統領選挙が行なわれ、その前に、中国も習近平に政権が交代となります。昨年末には北朝鮮の金正日が逝去し、金正恩体制になりました。台湾も選挙です。この際、日本もどさくさまぎれに政権交代の好機ですね。国のリーダーが何人変わっても、この15年以上の間、少しも良くならない日本。一体どうしたのでしょう。我が国は積み残しの政治課題が山積みで結論を出さなければならない。普天間問題、円高、財政と福祉、消費税、去年は東日本大震災ー百年に一度という大きな災害があり、今年も予断を許さない。春にはスカイツリーが完成します。良くない予感ばかりしますが、実は、大震災の復興需要と財政出動で適切に支援が回れば景気は良くなる筈です。これは我が国の経済立て直しの最後のチャンスかもしれません。新卒生ー女性の雇用ー若手社員の賃上げで消費を勢いづけましょう。何?金がない?それなら日銀は紙幣を増刷して安く貸しつけましょう。
 
 我が国は世界の潮流にきちんと対応することが求められます。この変化に富んだ国際情勢に対応するだけで手一杯の筈です。大阪維新の会とか橋下知事が景気に関わることはありません。政治にインパクトを与えるでしょうが、大騒ぎで終わります。この国の宝は道徳心である、国家の政策に従順な国民です。あのアイデアのかけらも無い日本経団連のジイ様、権力の権化でしかないナベツネ、終わっている!行政に無知なだけだった二人の前首相、優柔不断な総理大臣、権力闘争に明け暮れる岩手出身「実力者」とは無関係に、被災地の行政は懸命に復興努力を続けて来た。出鱈目なオリンパスや大王製製紙社長でも会社は発展して来た。これは真面目な社員が地道な努力をしているからである。経営者政治家も、経営者も大した事が無い。というより、リーダーとして地位にふさわしい人材がいない。それはガバナンスが無くても経営が成り立つほどに現場が真面目で優秀だからだ。かれらは楽をしているから成長しない。だから、優秀な経営者は創業者に限られる。真面目な勤労者が官民ともに優秀なので保っているということをあらためて全ての基盤にして考えて行こうではありませんか。

 では株価はどうなるかというと、これは世界の金融情勢に縛られ期待出来ない感じです。ユーロ通貨は何とか維持出来ても、この財政負担に縛られ、欧州の景気は低迷するでしょう。その結果が中国やアジアにも影響しますが、日本は円高という危機を解決出来るでしょうか。現政権では到底無理、民主党政権は解体すべきです。とにかく、この最優先事項である円高を抑えれば日本の経済は何とか保つでしょう。

 TPPは景気には影響がありませんが、後で大きく効いてきます。タイの水害で分ったように、日本は製造業がアジア諸国に移転しています。そこで製造されてTPP加盟国に輸出された製品は皆日本製品とみなされ、関税をかけられたあげく、円高のダブルパンチでノックアウトです。TPPは日本にとって魅力のあるものものではないが、入っていないことによるデメリットを考えると入らざるを得ない。それは、もし、TPPに入らないと、結局アメリカとのFTAを結ばざるを得なくなり、そのとき手ひどく不利な交渉になるからです。昨年、何とか自分の政権を維持する為に、国民を愚弄するような理屈や詭弁で何事も押し切ろうとする菅直人政権に対する不審がTPP反対論の底流で、その象徴である中野剛志氏の愚痴的理屈はもう色あせています。美しい日本の田園風景は既に無いのです。山と河の幸はもう諦めざるを無い。我が国が必要としているのは、農業を含むイノベーションです。思想家とか、経済学者の出る幕ではありません。iPS細胞技術などアジアで他国の真似のできないテクノロジーが日本には数多いのですから。科学技術と経営の技術革新がどこまで進むかです。

 問題は今危機的な状況にあるイランと米英、イスラエルとの関係です。オバマ大統領は戦争を起こす余裕はありません。イラン-イスラエルとの戦いは、英米の代理戦争になるでしょう。既に、イランの核施設やミサイル工場がモサドの手によって爆破されているし、アメリカの偵察機が無傷で捕獲されるという不祥事がありました。2年前のイスラエルのガザ攻撃は、ハマスを操るイランに対する容赦ない攻撃でした。もう戦争は始まっているのですが、未だくすぶっている状態です。シリアが混乱している時がチャンス。しかし、ホルムズ海峡に出動して挑発している原子力空母ジョン・C・ステニスがイラン海軍の演習に接近しました。アメリカの空母がミサイルで撃沈されたら戦争です。アメリカは産軍複合体に支配されている国だということを忘れる訳には行きません。もしここで、イラン海軍をボコボコにすればオバマの人気は急上昇でしょう。陸軍は黒人大統領の元に命をささげる事とはありえません。彼等アメリカの軍事キチガイがやりたいのは無人戦闘機による攻撃とか、プレデターによるピンポイント爆撃でどこまで制圧出来るかです。これが成功すれば、有志以来、ロボットに制圧された戦争が出現するということになります。とにかく、パキスタン以西の状況は確実に悪くなります。世界は今年は最悪の状況になるでしょう。そこを日本はどう生き残るか、どうしようもないリーダー達、それに対しては国民が手をつなぎ、しっかり地道に我が道を守って行くしか無いのです。

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http://img3.afpbb.com/flashdata/detail/20111229/8237221.swf http://www.afpbb.com/article/politics/2847906/8237221

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 これまで治療薬がなかったがんの一種、肉腫に対する新しい抗体薬を東大医科学研究所の中村祐輔教授の研究室が作り出した。
 治療薬承認に向けてフランスでヒトへの臨床試験(治験)を開始するという。この薬はゲノム(全遺伝情報)解析から標的を見つけたのがきっかけで開発が始まったという。中村教授によると、全ゲノム情報を出発点に創薬(抗体薬)が実現すれば、肉腫治療薬の分野で世界初の成果になる。
 この抗体薬は腕や足などにできる「滑膜肉腫」と呼ばれる肉腫に対するもの。肉腫治療に応用できる抗体を突き止めた結果であった。この肉腫はこれまで全くお手上げだった。ところが、日本で臨床試験を行おうと科学技術振興機構の創薬イノベーションプログラムの補助金申請に応募したが、「開発計画の妥当性・実用化の可能性」がないとして却下された。お恥ずかしいことだが、日本での対応とは対照的に仏の専門医からは、「非常に大きな研究成果だ。ぜひうちで臨床試験をやらせてほしい」と申し出があり、仏からは補助金も得られることになった。これでは中村教授も日本じゃやってられませんとなるだろう。

 今年1月、中村教授は内閣官房医療イノベーション推進室長に任命された。省庁間の壁を乗り越えた日本発の画期的な医薬品作りを目指したが、中村教授は1年も経たずに室長を辞任し、2012年4月から米シカゴ大学に移籍することになった。米国を拠点に、がん新薬などの実用化を目指すという。
 国家戦略として医療産業の国際競争力を強化するための司令塔となることを目指し、かけ声は立派だが、発足直後に仙谷長官は退任するという体たらく。菅直人政権のいい加減さ、これが民主党の実態なのだ。党あって国民なし。官僚は、省あって国無し、国民は始めっから眼中に無い。

 2011年10月の第3回医療イノベーション会議には、それまで出席していた経済産業省や内閣府の政務三役も欠席。2011度の補正予算や、2012年度の予算案策定でも、各省庁が個別に予算要求を出すだけ。このことは来年の国会でも問題になるだろう。

 中村教授はこうした現状に「日本全体の青写真を描けなかった」と語る。気の毒な話だ。中村教授は、ゲノム(全遺伝情報)研究の第一人者で、国際ヒトゲノム計画でも中心的な役割を果たしたが、調整役はどうも苦手あったのか、あるいは、民主党という旗ふり役が、政治主導といいながら全くの口先だけであったということだろう。

 行政改革刷新会議の資料として日本発の医薬品を開発するための課題という資料が平成23年10月24日付で出ていたのを見つけた。この責任者は医療イノベーション推進室 中村氏であり、このレポートは日のその問題点が明確に表現されている。このレポートを作成した後、教授は職を辞したのだ。彼はきちんと仕事をしている。

参照:http://www.cao.go.jp/sasshin/doku-bunka/kaigi/2011/bunka_1024/01.pdf

日本の医薬品は1兆1500億円の出超である。TPPで日本の医療制度が崩壊すとか、くだらない仮定を積み重ねたような反対論がある一方で、実態として、医療技術も、製薬も日本は全くお粗末であることを彼等は述べない。日本は医療にアクセスするのは容易だが、高度医療や、優れた医薬品に国民はなかなかありつけない国だということは医療界も政府もひた隠しにする。これから、高齢社会に向かい、医薬品ビジネスが大事であるのに、政府はいい加減である。
 各省庁が省益を優先して世界に向けて体制づくりをしようとしても、全く機能しないという実態を科学者に何とかしろといっても、無いものねだりであることに民主党は気がつかない。これは政治家がきちんと対応することなのに、丸投げした結果なのだ。どうしてくれる、仙谷。


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 産經新聞の正論欄で竹中平蔵慶大教授が正鵠を得た見解を述べている。TPP参加が的外れな議論に終始し始た事についてである。そして、TPPが政争になってしまったことである。先は、APECでTPPの交渉に入る事すら議論を呼び、民主党内部で山田元農相を中心とする反対グループができ、これをまとめようとする為に取った野田総理の優柔不断な態度から来ている。本来、交渉に入るかどうかは、総理の専権事項で決断すればいい事である。条約というのは国会で批准することで議論が行なわれるべき筋合いであるにもかかわらず、始めから話し合いすら反対という奇妙な状態になった事である。
 
 野党自民党は、反対が多数となり、民主党内部と、野党が反対という中で、野田総理はAPECに向ったのである。総理の権限を犯して手足を動かすたびに攻撃すれば自分の存在感が増すとでも思っているのか。野田総理のリーダーシップはそんなところか。小泉進次郎の主張だが、自民党は民主党のそうした体たらくと、野田首相が決断を遅らせていることこそ批判するべきなのに、その機会を失い、野党としての争点を民主党と合わせてしまったことが大きなダメージである。自民党はTPPに反対する立場ではないのだ。自由貿易や自由競争、市場経済を建前にして、民主党の曖昧な社会主義と、労働組合に支配された議員の実態を明らかにすべきところ、それにも失敗している。野党自民党が、何の世界観も無い、ただの既得権益集団の代弁者であることを露にしてしまった。

 反対論者は、奇妙な問題も持ち出して、仮定に仮定を積み重ねた空論を使って危機を煽っている。彼等の予測は何ら実態を踏まえていない空論なのである。例えば、混合診療導入で国民皆保険が崩壊するとかである。TPPの初期メンバーであるシンガポールなどはメディカルツアーを外貨獲得の手段として推進しているから、そこで、医療分野が入っているが、何も、日本の医療を狙って国民皆保険を非関税障壁として解体させようとしているわけではない。そのことも、参加した中で議論出来る事なのに、議論すら阻止しようと言うのである。
 既に医薬品は自由化され、しかも、日本の研究開発の遅れで、日本が特許を持っている医薬品自体2011年で殆ど無くなってしまったという現実こそ憂慮すべきである。今の日本に国産の医薬品があったら教えてもらいたい。エーザイのアリセプトとか、第一三共のメバロチンは既に特許切れ。医薬品でもないリポビタンとかアリナミンくらいではないか。混合診療もいろいろな工夫で実態としては行なわれている。医師が金持ちの為だけに効果のある薬や手術を行い、貧乏人は取り残されるというアメリカを例に警告しているのであるが、これも間違っている。確かに、アメリカは6000万人の医療保険非加入者がいる。それは収入や保険のレベルに応じて医療サービスの違いがあるということで、何も6,000万人の無医村があるのではない。全く無収入の人はそれなりに症状や怪我の状態に応じて高度医療も受けられるよう、行政がセーフティネットを用意しているのである。何もかも平均的で、医師は保険のガイドに従って医薬品を決めるだけで、3分間診療で終わってしまう日本の医療の実態をどうするのか、既得権益をもった医師会などの言いなりである。アメリカの健康保険議論は、国民全員に税金のように保険料負担を課して破綻寸前のメディケア、メディケアをから皆保険に拡大することで社会主義であると批判されている。メリットを受ける殆どのグループが黒人とメキシカンであって、一般の国民は現行制度でやっていけるからだ。こんなことも、無視して、アメリカ並みはダメだとか、見当違いもはなはだしい。もちろん医師会は反対ではなく、保険制度を維持するようにと言う注文をつけただけだが、反対論者は鬼の首を取ったようにこのことを取り上げるのだ。
 
 アダムスミスが国富論で述べて以来、重商主義から経済を開いて世界貿易を闊達に行なう事が国家の未来を切り開くという大きな目標のもとに世界は動いて来た。WTOやGATTの趣旨を全く理解してい無い人がが反対論を展開している。APEC,ASEAN+3、ASEAN+6などの枠組みに向い、世界が動いている。日本はその中の重要なメンバーである。我が国の産業は既に空洞化が進み、先般のタイの洪水でも400社もの企業が進出していた。大体、アメリカは日本の医療など狙っていない。アメリカだけでも医療資源は精一杯である。我が国は戦後アメリカ経済と共に歩んで来た。そしてその中で企業も鍛えられ、今やトヨタ、日産、ホンダはアメリカに取っても重要な雇用資源である。アメリカは今大きな世界戦略の中でアジアを位置づけ、ビジネスチャンスを求めている。極めて真っ当な戦略であるし、我が国は、体制の違う、中国や、日本を閉め出そうと日本の足元を狙う韓国に入れ込むのは止めにすべきである。政府の指導力がそこに問われている。アメリカに追随するとか、従属すること、あるいは食い物にされるとか、危機を煽って国士面をするのは止めてもらいたい。何故、これまでのようにアメリカと市場経済を軸にアジアの発展を共に切り開こうという論調を持つ勇気を持たないのだろうか。

 アメリカはそんな日本をパートナーとは思わない。アメリカが国益にもとづく提案を陰謀といい、米軍が出動しても護衛艦一隻もだせない国をアメリカは守るだろうか。協力し合うという関係のない国を守る為に、自国の国民を戦場に送る国は無い。国家と国家は人間関係とつながっていることを全く理解しない人がいる。台湾と中国が緊張した時のことだ。韓国をむしろ評価し、日本の企業は既にアメリカでは苦境に陥りつつある。アメリカが狙っているのは、ミャンマー、インドネシア、タイ、インドである。この大きなアジア戦略に集中した方が、ヘトヘトになったEUより遥かに大きな市場となるからである。アフリカはヨーロッパの牧場であって、アメリカはあまり立入りたくない。アメリカは中南米で充分なのだ。

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 野田総理が日米関係はアジア・大平洋の資産であると言った事は確かに大切な視点だ。これまでの同盟関係で我国が得た利益、さらには沖縄普天間基地や海兵隊の重要性を語るべきである。我が国は道義に篤い国ではないのか。自分の事しか考えない国を守ってくれる世界は無い。あのボンクラ鳩山ですら、最後は「沖縄米軍の価値を分っていなかった」と吐いたではないか。だからといって何でもアメリカの言いなりになれといっているのではない。虚勢を張っても意味は無いということである。

 かつて、あまりにも、アメリカの支配的な影響が強かった時代、東西冷戦のこともあり、多くの知識人は、共産主義の未来を受け入れ、親ソ、反米が先鋭的であるかの言動がマスコミを中心に支配的だったことを思い起こすと良い。彼等は何か自分達の信念があった訳でもない。ただ、怖かっただけなのだ。この傾向は韓国の言論ではもっと極端だ。あの全く異質な体制である金一家に支配された国家を同胞といって擁護し、自分の存在感をアピールする連中がいる。万一、北朝鮮に支配されれば、言論や政治の場での彼等の発言は、命を危うくする。だから、どこかで逃げを打っておかなければ危険である。現政権への批判は、驚いた事に、北への容認姿勢を強めることである。以前の盧 武鉉(ノ・ムヒョン)や金大中などはそうしたことで、政府を批判し、政権を取ったのである。同じ民主国家として、何かとアメリカを批判することで、全く反対の社会体制である中国やロシアを容認する危険な連中には注意を怠ってはならない。これまでの同盟関係や、経済体勢の同質性を無視して、安易に危険な世界にすり寄る事は問題。TPPに関しては、そうした反米感情とか、国内だけを見た片チンバな発言が多く、要注意だ。
 
 今でも、朝日新聞やテレビの報道は、アメリカ批判と国内では大企業、官僚、医師に対する威丈高な批判で溜飲を下げ、自らの正義感を盾に、視聴者、読者のご機嫌を取っている。ところが、彼等の幹部は、実は会社としても、情報源であり、広告主である企業には平身低頭、かつ、非難すればする程公平という信頼感を民衆に与えるから、広告が取れるのだ。これを企業は泳がせているだけ。
 例えば、医療の事をあげてみよう。朝日新聞などは医療はお得意記事なのだろうが、実際は医療の専門家などは誰もいない。記事も間違いが多く、医師に記事を書いてもらわなければ何も出来ない程だ。彼等が自分で書く記事は医療事故の記事も含め、殆ど間違っている。ただ、売らんがために、家庭の主婦や学生などの権力や知識の無い弱者におもねり、ウソを書いてお得意さまに迎合しているのである。庶民に対して、アメリカや大企業、医師を叩けば溜飲を下げてもらえるということだ。ところが、彼等は自分達の子供をアメリカに留学させたり、駐在させる事を夢見ているし、大企業に就職させたり、医師にすることを見れば分る。彼等は学歴大好きで、毎年東大入試や合格発表を記事にしたがる。教育の公平をうたいながら実は、特定の有名校に偏った、トップ高校の礼賛者なのである。流石に最近は新聞では出さなくなったが、毎年、同じ出版元の週刊誌の全面を使って、入学ランクを特集している。新聞で書かなくなったのは後ろめたいのだろう。

 
 アメリカは大平洋という大海を挟んでいるから、遠い国だと思うと大間違いで、日本の領海の隣はアメリカだと思った方がいい。海というのは、陸地よりも交通は便利で、アメリカに取っても、水運を考えると、西海岸からは東海岸よりも日本の方が便利なのである。陸路に匹敵する大量輸送が可能である。限られた道路鉄道しかない山岳地域などはむしろ障害である。特に軍事的には空母群を展開すればあっという間に、日本の沿岸で米軍基地が出来てしまう。アメリカには健康保険に入っていない人が6,000万人もいて、あたかも巨大な無医村があるかのような印象を与えているが、これも間違い。医療社会保障はそれなりにキチンとしていて、高級な病院に入れないだけだ。テレビ番組でERという救急病院のドラマがあり、庶民は医療を受けていたことが、これを見れば分る。これは我が国の社会保障が優れていることを示す為の政策的な情報操作である。救急医療の現場が舞台になっていたが、貧乏人もみな医療サービスを受けていた。

 特に、沖縄の軍事的価値はオバマ大統領のアジア重視の政策、さらには中国やソ連の軍備増強を視野に入れると、これからも増加する一方である。沖縄を経済発展させる事は軍事基地とのバランス上重要である。基軸通貨ドルの価値が下落しても、強大な国家である事は今も同じだ。それに対して、アジア重視と中国に我が国の未来を委ねるような意見は実に危険である。我が国の同盟すべき相手は絶えず中華の脅威にさらされる、台湾、フィリピン、ベトナム、インドネシア、さらにミャンマーとインドである。アメリカが狙っているのはこれらの地域であり、日本が今後開拓すべき部分だ。知識人やマスコミが自分の権威づけの為に、強力な権威に批判的な態度を示そうとうすることはよくある。大企業のチンピラ社員が社長の悪口を言って怪気炎を上げるようなものだ。身の程を知らないおボッチャマ総理の鳩山元総理が、アメリカと対等の関係、さらにはアメリカの立場を無視した対中政策、対ロ政策を口にしたとたんアメリカの拒否反応に会って、ニッチモサッチも行かなくなったことを思い出すべきだ。

 日米関係でいえば、日本は敗戦経験もあり、あくまでも弱者でしかない。弱者が強者に対抗するのは面従腹背しかない。情けない話だが、日本の現実的な姿なのである。こうした苦しい立場を無念に思う素直な国民感情を利用して、反米とか、自主的な外交力の発揮などの正論を使って、社会にアピールして金儲けしている言論に信頼感は、全くないのだ。ここは隠忍自重と主張すべきなのである。
 
 TPPでアメリカは日本の市場を席巻してやろうと企んでいるというが、それは当たり前の話だ。日本だって、アメリカの市場を狙って一生懸命だから向こうも同じだ。お互い様なのだ。iPadとか、アメリカ産の牛肉を待っている消費者のいることを知らないのだろうか。日本という国が、アメリカに取って最も大切な同盟国であることをアピールすることがどれだけ大切かだ。我が国を守る姿勢を防衛的に発言すれば受けがよいと思って、国士のごとく宣う、中野剛志氏とか、鈴木宣弘氏はそうした国内の事だけを考えて、反米的にふるまいたいのだろうが、かつての進歩的知識人の変形でその手は食わない。彼等は我が国は既に、国境を越えて産業が成り立っていることを無視している。アメリカと交渉する時に始めから負けると言っては交渉にならない。誰だって、石が飛んでくれば避けるだろう。黙って避けるだけの話だ。もし、TPPで農業に対する破滅的な無条件降伏をすれば、それこそ国賊的外交交渉であることは分っている。FXなどでは、さっさと単なる贅沢品であるF35は断って、ユーロファイターを買うことにすれば、アメリカ国民は日本がいかに重要な市場かが分るだろう。これを取引材料にすることはない。民主主義を標榜している米国はやはり、国民が怖い。そこにアピールする方法を常にとるべきなのだ。

 アメリカが日本に魅力を感じていると思ったら大間違い。日本は飽和市場だし、農業は多分懸命に防衛して来る。美味しくはないのである。彼等は東南アジア、特にインドネシアや東チモール、タイ、ミャンマーさらにはインドに大きな市場の可能性を求めている。その戦略を見損なってはならない。そちらの市場が、今は小さければ、その大きな人口も含めて開拓すべき資源が豊富であると見るのがふつうであろう。これらが、日本の重要な輸出国であるが、日本がぐずぐずしている間にこれを奪おうという彼等の意図を見抜かねばならない。日本はアジアの市場を土俵に正々堂々とアメリカと勝負することこそ、日本の未来として正しい選択だと思う。

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  今回TPPでは恐らく日本の農業での除外は認められないだろう。カナダなどは失うものが大きすぎるからこれまで入っていなかったが、ついに参加の方向となった。我が国は食糧に関して何らかの条件、例えば履行までの期間を伸ばし、時間差で稼ぐとか条件をつけることにならざるを得ないのである。すると、TPPに入る意味が薄れて来る。そんな日本に各国が入って来ることを承認するだろうか。恐らく、アメリカは牛肉を認めなければ日本が加盟することを認めない。米はアメリカの主要農産物ではないが、近い将来、品種改良したコシヒカリ並みの安い米が大量に入るということは予想される。当面、米は恩着せがましく実施開始時期で譲歩し、肉とか別の工業製品で攻撃してくるだろう。

 農業で敗北すると米には止まらず、畜産を含む農家の損失は戸別補償制度で支えることになる。その為には米だけで幅があるが、6,500億〜1兆7,000億円になり、現行の8,000億円に上積みである。それでは能がない。そこで、現行の補助を止めて、新しい制度で切り替えられるかだ。これまでの仕組みは残念ながら効果がなかったといわれている。損失補償は先は牛肉で行なった方が出費は少ないだろう。米より量が少ない。仮に1頭40万円を全て補償したとしても、屠殺数127万頭(04年)で5,080億円である。今でも、国産牛の肉屋で安い方の乳牛は1頭5万円もしないというから、そもそも、今でも赤字だ。ミルクで元を取るのだろう。だから、松坂牛のような輸出できる牛は一頭何百万円もして赤字にならないだろうから補償の必要は無い。安い牛肉はアメリカやオーストラリアを庶民は沢山食べればいい。世界中で食べているものを拒否する理由はないし、補償額もそうなれば減少する。

 ウルグァイラウンド(多角的貿易交渉)での農業対策、平成6年から13年までの7年間、補正予算では公共事業(農村整備事業)で3兆1750億円、地域の農業生産高度化に1兆2,050億円、農地の流動化新規農対策8,000億円、融資8,300億円などがなされたが、その効果は不明。政府のこうした対策費はきちんと評価をして公表すべきだが、聞いた事がない。

 農協は丸儲けと圧力団体。補助金があることをいいことに、売れない作物を作ったり、赤字事業を拡大するというようなモラルハザードを行政がコントロール出来ないのではないか。それでは又、赤字の垂れ流しで、高齢者農家にバラマキとなる。経済産業省は趣旨ごもっともでTPPがなければ日本は先が無いとわめく。だから言ったじゃないかと言わんばかりに、開き直りの農水省は赤字垂れ流しの農業で、対策事業と称して公共工事や支援プロジジェクトを行なう外郭団体に又天下り。政府の悪のりが目に浮かぶ。強力な野党がいた時代が懐かしい。彼等の追究を恐れて、目に余る事は出来なかった自民党時代。今の自民党はそうはいかない。それを良い事に民主党は、官僚天国を見て見ぬ振りになる。樹木が大きくなると上部は青々しても、根本から腐って、ちっとした風に倒壊するのに似ている。

 TPPで失われる農家の所得を補償するための財源は税金、この税収が、TPPで上昇した輸出利益となると、見合うためにはTPPで収益増となる企業の純利益2兆円から法人税をどれだけ取れるかだ。100兆円くらいのGDP上昇がなければ追いつかないかもしれない。農産物の価格が下がれば,国民の消費も余力が出来、これが別の消費に向うから、所得税とか、輸出企業の収益だけではなく、他の税収があるだろう。とはいえ、TPPに日本が歓迎されるかどうかは、日本の対応次第である。条件を付けすぎると拒否されてしまう。野田政権、いや、民主党政権はこれで終わる。


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 TPPで日本の農業、特に米が壊滅するという農協の主張はどうだろうか。既に日本の米は産業としてはとっくに破綻しているのではないか。補助金でやっと保っている。日本の若者が農業から離れて行ったのは、農家の将来が無いからだ。補助金でしか成り立たず、変化のない、毎年同じ事の繰り返しで工夫のない親達を見て、この仕事を引き続きやりたいと思うだろうか。
 日本の米はうまい。特に、近年、中国の富裕層に人気がある。しかし、それは日本と韓国、中国での評価に過ぎない。コシヒカリで1キロ400円〜450円くらい、ササニシキで380円くらいだが、価格には相当に差がある。最高級で有機栽培のコシヒカリだとキロ1200円だ。その他ヒトメボレ、アキタコマチ、北海道産のユメピリカ、とか種類も増えた。しかし、世界で日本の米はうるち米で、これは世界の中では少数派で80%はインディカ米である。カレーを作るとき、モッチリしたご飯に熱々のカレーをかけて食べるが、本当は、さらっとした汁とインディカ米の香りのあるお米で食べた方が美味い。インドの南の方はナンとか、パンのようなものでカレーを食べるが、北の方は米である。
 昔、日本が戦後食糧難だった時代に、ミャンマーから米が送られた。それを日本では外米といって不味い米の代表にしてしまったが、これは料理の方法を普及させなかった政府の手落ちである失礼な話だ。。タイやカンボジャで人々は米を中心に生活し、彼等の食生活に合った調理を行ない、幸せな食生活をしている。

 TPPで日本の米が壊滅するといった主張が跋扈している。確かに、アメリカから日本の消費者をターゲットに、コシヒカリ並みの米が半値で入って来たら、日本の農家は大きな方針転換を迫られるということだ。しかし、今日でも、WEBサイトで売っている米を見ると、相当な価格差がある。価格差キロあたり200円〜600円という幅である。このことは日本人は既に米を嗜好品のように扱い始めたことを意味する。米作にはこれからも未来があるが、それを妨げているのが政府の農業政策である。減反と補助金ばかりで何の工夫もない。今頑張っている農家は全体の20%でその農家は懸命に新しい商品の生産に務めているし彼等は黒字なのだ。TPPにも賛成している。残りの80%が農協のお陰で食べている赤字農家なのだ。この赤字は国民の税金で補填される。一種の生活保護か、あるいは無形文化財みたいな扱いだ。

 日本の米は、味噌、醤油、日本酒などに加工される。それらは日本産の米でなければ絶妙な味が出ない。これらは全て昔の日本人が編み出した知恵である。今日。米の活用方法というのは農水省は何処まで研究しているのだろうか。減反政策や補助金、関税による保護ばかりではないか。輸出できる世界で珍重される米も日本人なら作る事が出来る。しかし、作るのはうるち米ばかりで、国内ですら過当競争気味ではないか。米そのものだけで勝負すればそのような状態になるのは分かりきった話。欧米でも、畜産は肉だけでは商品価値が上がらないから、チーズやハム、ソーセージなどで付加価値を上げている。これからの農業は加工技術も合わせて、世界に打って出るべきだ。日本のおせんべいがアメリカや中国を席巻するかもしれないではないか。

 日本のインディカ米は「サリークィーン」と「プリンセスサリー」というのがある。世界最高級の米は「パスマティ米」日本の米とのハイブリッド種である。キロ1000円でネットで買うことができる。サリークィーンは粘り気が少ないが、インディカ米特有の香が豊かである。プリンセスサリーはジャポニカ米のように粘り気があり、日本人の味覚にも合っている。農水省は上海で日本のおせんべいとお茶の喫茶店パイロットショップをやったことがあるか。

 小麦 の生産地・消費地は、世界で分散しているのに対し、コメは90 %がアジアで生産され、消費されており、中でも、人口の関係から中国、インド、インドネシア3ヵ国、世界全体の生産量・消費量の60%を占めている。アジアに集中しているのは、稲の生育温度は0~33 °Cと、麦の10~25°Cと比較して 高く、土壌も多くの水分を必要 とし、アジアの気候に合っているからだ。日本の棚田は美しい。しかし、採算を取るのは難しいかもしれない。これは日本の美しい景観を継承したいという事で保護するのは良い事だと思うが、米作政策ではない。国土景観の保護は国土交通省でやればいいのである。

 世界最高の米は日本の米ではなく、パキスタンやインドのヒマラヤ山麓で生産されているBasmati Rice(バスマティライス)という品種。世界最高水準のインディカ米で、世界的にも高値で取引されている。日本ではインド産でキロ1000円、パキスタン産で650円くらいだ。インドはTPPには入っていないから、この価格は続くだろう。
(インドのバースマティ―)
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バースマティーには、多数の品種が存在する。バースマティー-370やバースマティー-385、バースマティー・ラーナービールプラ(Basmati-Ranabirpura)といった伝統的な品種以外に、プーサー・バースマティー 1(Pusa Basamti 1)というハイブリッド品種が存在する。芳香のある品種はバースマティー系統から作出されたものである。バースマティー本来の特徴として、茎が長く細く、強風で倒伏しやすい。総じて収量が低いが、米の品質が優れているため、インド国内だけでなく世界的にも高額で取り引きされる。
(ワイルドライス)
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 アメリカで穫れるワイルドライスというのはキロ4400円もする。これは洋食の添え物として使われるがとても美味である。北米大陸の近縁種(Z. aquatica、アメリカマコモ)の種子は古くから穀物として食用とされており、今日もワイルドライス(Wild rice)の名で利用されている。食べるとサクサクした食感やナッツに似た風味があります。栄養面ではたんぱく質が白米の約2倍、ビタミン(ビタミンB2、B6、ナイアシンなど)、ミネラル(鉄、リン、マグネシウムなど)、食物繊維を豊富に含む。ワイルドライスの生育圏はオジブワ族やメノミニー族など、五大湖地方のアメリカ・インディアンの部族それぞれによって縄張りがあり、彼らの保留地(Reservation)で栽培されるワイルドライスは近年、スローフード運動の一環としても注目され、商品化もされている。
 
 何もそうした米で勝負しろと言っているのではない。世界は、商品作物の世界戦略をもって戦っている。そんな中で、莫大な補助金で一日千秋のごとき仕事で成り立っている日本の農業、多額な税金が、生活保護の為に使われる現状を打破しなければ、日本の農業はないのである。今回TPPでは恐らく日本の農業での除外は認められないだろう。何らかの条件、例えば履行までの期間を伸ばし、時間差で稼ぐとかである。さらに、米だけでは止まらず、畜産を含む農家の損失は戸別補償制度で支えることになる。その為には米だけで1兆7,000億円〜6,500億円になり、現行の8,000億円に上積みである。現行の補助を止めて、新しい制度で切り替えられるかだ。これまでの仕組みは残念ながら効果がなかったといわれている。この税収が、TPPで上昇した輸出利益となると、見合うためにはTPPで収益増となる企業の純利益2兆円から法人税をどれだけ取れるかだ。100兆円くらいのメリットがなければ追いつかないかもしれない。農産物の価格が下がれば,国民の消費も余力が出来、これが別の消費に向うから、所得税とか、他の税収があるだろう。とはいえ、TPPに日本が歓迎されるかどうかは、日本の対応次第である。条件を付けすぎると拒否されてしまう。野田政権、いや、民主党政権はこれで終わる。2011年11月12日



 
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 野田総理がTPP参加交渉に入る意向をAPECで表明するかどうか注目の件である。このTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)略語が多くて、分りにくい。2015年までに加盟国間の貿易において、工業品、農業品、知的財産権、労働規制、金融、医療サービスなどをはじめ、全品目の関税を10年以内に原則全面撤廃することにより、貿易自由化の実現を目指すFTA(自由貿易協定)である。これを包括するEPA(経済連携協定)を目標としている。「加盟国間」での実質的に相互の関税自主権の放棄というものである。一見関税とは関係のない分野として医療やサービスが含まれる。

添付:日本医師会の見解 http://dl.med.or.jp/dl-med/teireikaiken/20101201_1.pdf

 非関税障壁も対象となる事から、保護の壁が高い医療や弁護士などがどのように扱われるかは、議論の対象である。そこで、医療はどう考えるのかである。先般、医師会などはTPPに反対ではないが要望を訴える会合を行なった。 政府は、現時点で公的医療保険制度はTPPの議論の対象にはなっていないとしているが、日本医師会などは、過去にアメリカが混合診療の全面解禁や医療への株式会社の参入を求めていることから、今後、TPPの議論に盛り込まれるおそれがあるとしている。そのため、政府に対し、TPPの議論から日本の公的医療保険制度を将来にわたっても除外することを明言するよう要請した。一体何が悪いのか、良くわからないのだ。交渉参加までも反対するような事ではなかったが。見出しを見ると、反対のような感じに読んでしまうがそうではない。流石に農協とは違うが、医師会のこれまでの保守的な態度がそう思わせたのだろう。

 医療は、その専門的な技術などから、国内でも医師の要請や資格など、厳しく規制が行なわれている。これは当然だ。いくら規制撤廃だからといって、関税とは関係のない制度まで全て撤廃するということではない。そこが交渉すべき事なのだが、医師会は何を怖がっているのだろうか。自分達が皆保険制度の中で、行政指導に従っていれば、毎日同じ事を繰り返していればやって行ける世界を守りたいのか、自己保身!と言いたくなる。勿論、医療の現場では、過酷な労働条件や、日々流れて来る膨大な医療情報を医師は学び、対応する必要があり、誠に大変な仕事であるから、現場はそんなことはないのだが、医師会はは既得権益の保護を目指しているように見えてしまう。

何処が問題なのだろうか。
 先は、医療においては言語が大きな壁となる。では言語を非関税障壁だから、日本語を病院では話すなということを言っているのだろうか。そんなことは無い。
 シンガポールなどはメディカルツーリズムで、海外からの医師や看護師、患者を受け入れている。だから、当初、TPPがニュージーランドなどの小規模な国家で発足した時は、そうした内容が組み込まれただろう。メディカルツーリズムは日本も受け入れれば、病院の収入源にもなる。ところが,日本の病院は受け入れ態勢、言語、患者の出身国側医療機関との連携が出来ない事からこれがなかなか進まない。

 医療の世界は、言語以外は世界共通の技術である。だから、日本人の医師も、優秀な医師はアメリカに留学し、世界の場で活躍している。ところが、一般のクリニックなどの医師はそうはいかない。看護師も含めると英語力が無い。そこが、インドやフィリピンとの違いである。逆に海外からの医師や看護師が一定期間日本の医療学ぶ為の学習機関は準備されなかった。医科大学へ留学するしかない。だから、数年前からインドネシアから多くの看護師が日本の資格を得ようと病院に勤務したが、結局は業務に追われて資格試験に合格した人は数人である。中には優秀な看護師もいたが、多くは一時的な補助労働者として帰って行った。一方、医薬品や器具は既に関税はかけられていない。しかし、日本には治験という仕組みが、海外で認可されている医薬品が日本ですぐには使えないように防壁となっている。それは肺癌の抗がん剤で有効とされるイレッサのように、副作用の出方が外国人と日本人で違うという、人種差があるからだ。これを無くすというわけにはいかないだろう。

 問題は混合診療だ。日本で未認可の新薬を使うと、保険が全ての治療費から外され、自己負担になる。先日最高裁で混合診療は違憲だという判決が出たばかりだ。しかし、国際的には皆保険制度で統制された日本のような国は無いから、日本は新薬を保険で規制している非関税障壁として槍玉にあがるだろう。日本国内だけでは違憲とされた混合診療も、外圧によって変化しなければならない。厚生労働省の頑な、不作為によって制度を守り続ける姿勢は改められるかもしれない。ところが、これに医師会は反対している。これが儲かるとなると、医師達は皆混合診療にはしり、優れた医薬品や費用は高騰し、貧しい人は高度な医療から外されてしまう。国民皆保険制度が崩壊するというのである。
 確かにそうした問題はあるが、保険制度の修正で対応出来るし、制度全体からも、不必要な高度医療費は減少するから、財政上は好ましいが、それは言わないのである。ただ、TPPでは多国間交渉であり、自由化を進めたがるアメリカを牽制するためには二国間のFTAより日本に取って有利な事である。

 医療制度は、様々な改革案がなし崩しに潰され、結局、自ら皆保険の中で、あまりレベルの高くない医療行為と、平等な治療ニーズに忙殺されている現状は医師自身は不満だが、解決出来ずにいる。それをTPPから除外しろと言っている。それでは、そうしたニーズに合った医療や、今日の問題点を彼等はどう解決しようと言うのだろうか。これを機会に、日本の医師が国際的なコミュニケーション能力をつけたり、海外の患者を受け入れる機会を作るべきである。
 そんなに、株式会社の医療参入が利益本意で患者の生命を脅かすと決めつけるのだろうか。既に、数は少ないが、株式会社で運営している病院は実際にはある。あの麻生元首相の親戚がやっている麻生病院とか、トヨタがやっている豊田記念病院などである。しかし、何も他の医療法人と変わらないことが立証されている。



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TPP亡国論 中野剛志 集英社新書

1.議論の時間と対応策が無いまま交渉できるのだろうか

 議論がやっと始まったTPP(環太平洋経済連携協定)である。ところがその議論が全くのピント外れ。少なくとも、この本を読んでから議論しろと言いたい。専門的な話も、かなり分かり易く書かれ、大学に入学する学力があれば理解出来る内容である。政治家も、マスコミも、TPPの内容を丁寧に説明しない。著者は何も反対原理主義者ではない。経済論として反対している。TPPはアンケートのようなもので判断したり、理解できる内容でもない。人気投票ではない。これこそ、専門的な経済判断を必要とする事だ。それを政治家は国民に情緒的な表現を続ける。開国だとか、バスに乗り遅れるなとかである。まったく、間違った言葉の選択だ。マスコミも不勉強である。もっとも、この問題には経済学でも解決出来ない多くの事が含まれている。だから、今TPPを経済学的に解析する事も大事だが、実行出来る問題から早く対応の道を示して、複雑な絡まりを解いて行く事こそ政治の役割ではないか。中野氏は舌鋒鋭く、これを推進する事の危うさを説く。中野氏の指摘に推進論者は反論すべきだ。とにかく、民主党の動きは政党内でのとりまとめに終始する、野田首相の発言なども、国際交渉で自国に有利なタイミングがズレる。これを主導する経済産業省は農業のことは実は考えない。都合の悪い他省庁のことには関心が無い。

 泥試合がまた始まった。分かり易く言えば、11月から日米FTA交渉が始まったと思えばいいのでは。他の国は経済規模から言っても追随するか、お騒がせの日本はお引き取り頂くというのも選択肢だ。日本があまりにもTPPの趣旨にあわないと、先方から断られることもあり得るだろう。その時は、ほっと胸を撫で下ろすか、野田政権は赤恥をかくことになる。それが一番良い結末ではないかとも思う。彼の判断は官僚のバックアップと党内の抑え込みだけだ。

 テレビでのボンクラタレントとか、何も知らないふりして無責任な態度をとるキャスターが国民に説明出来る内容ではない。輸出の増加と国内需要のバランスは為替の変動に結びつく。このメカニズムを念頭に判断しなければならないことが多い。アメリカとの貿易はTPPで増える話ではない。韓国の輸出力に日本が負けるのは関税差ではなく、貨幣価値の差であるからだ。
 経済産業省が提唱するメリットや危機感が根拠の乏しいものであることが分る。全く政策の優先順位が狂っている。反対論者は、今、何をすべきかを声高に論じてもらいたい。今の日本が行なうべき事は、TPPに入ることだけだろうか。入らないかわりに、次期戦闘機はあの第五世代戦闘機である垂直離陸可能なF35をアメリカから購入し、武器輸出三原則を撤廃し、普天間合意を実現することも選択肢としてあるのだ。軍事と貿易は分けるべきだとは思うが対米外交上は重なりあわざるを得ない。

2.今の日本の大事な課題

 もっとも自分は国内的には子育て支援金制度や農業損失補償制度といったバラマキを廃止して、その代わりに保育園を増設し、その資金は日銀が札束を増刷して対応することもやってもらいたい。年金は当然68歳からの支給で高齢者雇用は給与を減額支給し延長する。所得税配偶者控除は復活し、介護保険は家族介護を支援。すべて民主党政権が先送りにする事がその内容だ。成功した事の無い官僚の経済政策はそもそも信頼されていない。参考程度、経済の事を政府は民間企業にまかせておくべきである。これを日米軍事同盟とか、対中包囲網とか経済と軍事をごっちゃにした賛成論は御免被りたい。結びつけた途端にアメリカは悪のりして安全保障の交渉についても条件を付けてくるだろう。
 
 このTPPは経済産業省と民主党の暴走であるとも言える。あの、衆愚政治家の菅直人が、自分の政権を続ける為に、いきなり持ち出したTPP。意図が悪い。経済産業省も、このTPPのお陰で、その対策費として膨大な予算がつくだろうから必死だ。連中は省あって国無し。自分達だけが国家の連中だぞ。一旦政策を誤ると、国際交渉においては100戦100敗ということがありうる。その恐怖のシナリオがこの本で書かれている、賛成派は平成の開国、反対派は不平等条約とか、例えを使って、しきりに大衆運動に持って行こうとする。中野氏は輸入で海外から安い製品が国内に入ってくることによる直接的な価格下落、それがさらにデフレを加速することを問題にしている。それと同時に、海外からの安い製品との競合に負けた国内企業で失業者数が増加し、その影響で市場が縮小し、さらに悪化するという。確かに何もしなければそうなる。しかし、WTOやGATT、FTA、APECといった略語に表される国際的な貿易協定にその本質的な国際交渉の内容を一般国民に分ってもらうことはなかなか難しい。経済全体のメカニズム全体が病気になっている我が国、為替、デフレ対策、農業改革、さらには東日本大震災復興という大問題など、大きな宿題を残したまま、海外旅行に出かけるようなことではないか、という気がする。ハロゥインパーティ程度に抑えた方が賢明なのである。中野剛志氏は、TPPを取り巻く経済のメカニズムに関してマクロ経済学の視点で分かり易く解説してくれている。しかし、デフレ対策はいまだに処方箋が見あたらないし、これが解決出来ないと先に進まないというのでは、これも経済の停滞を招くだろう。あらゆることが一度に起きている訳で、諸問題を同時並行的に取り組まねばならないから大変なのである。
 
 規制緩和、自由化、民営化、緊縮財政など、小泉改革は当時成功した英国のデフレ政策、アメリカのレーガーノミックスという新自由主義政策を遅れて日本が真似しようとして今日の停滞を招いた。その反省が経済産業省には全く見られない。当時、竹中平蔵のようなアメリカの政策に詳しい学者が、強引に実行した中途半端な構造改革。これを、アメリカからやんやと言われ、また自国の利権構造とか官僚社会、規制の旧態依然にうんざりしていた国民が歓迎してしまった。しかし、学者というのは過去の例を正確に説明するのは得意だが、地図の無い世界を導く能力は無い。もともと、臨機応変な行動が苦手だから学者になったのだ。また、イノベーションを切り開く力も無い。ところが、小泉改革も当初はうまくいかなかったが、2004年に中国の好景気に押されて突然回復したのである。これを竹中氏は自らの成功と勘違いしている。何も、経済政策が当ったのではない。民間企業の利益追求努力の賜物以外の何ものでもない。

 今の経済はその不況の原因を国民の活力によって改善する事はできずにきた。それは政策ミスだからだ。震災復興ではやたら、国民の一致団結が呼びかけられたが、かつての一億玉砕といったかけ声と同様である。敗戦は国の指導者に戦争を中止する勇気が無かったがために、多くの犠牲を出した。国民のせいでは無い。これまでの何重にも重なった政策の誤りを直し、結び目を解く道を示してからでもTPPは遅くはない。今の政権では交渉能力も各国から疑われている。

 それどころか、自民党の3人の総理大臣、民主党への政権交代と鳩山、菅というトンチンカンな政権交代後の民主党政権の迷走によって、6年間も無策の時間が続き、リーマンショックと欧州のデフォルト対応という大問題にも煽られつづけて翻弄された。デフレという深刻な経済の病気をいまだに日本は脱出する道を見出していない。

3.反対論の狙いは何か
 
 TPPはこのデフレ対策には全く効果がないどころか、輸入の促進でさらに深刻化すると中野氏は言う。しかし、関税が無くなり、外国製品やアメリカの農産物が突如と大量に入り、デフレが加速し、失業者が急増するという図式はあまりにも単純だ。確かに農協は大変だろうから、世論を動員して阻止したいだろう。形勢不利だから余計に声が高い。

農業は確かに大変だ。日本の農業とアメリカの農業の違いを考えなければその影響は分らない。農業製品関税の自由化で、壊滅するのは1,600%の関税のかかる「こんにゃく」とか778%の米、「サクランボ」、国際相場の倍である小麦、とうもろこし等だ。日本のような多品種の繊細なものは苦手だし、米は既に日本人は食べなくなっている。だから余るのだ。アメリカの農家は農業を食料というより、市況商品として作っている。相場が高くなるものばかりを狙う。だから、品種が少ない。ただ、小麦のうち製麺やパンの材料になる上質の製品は既に90%が輸入品だ。外食材料、飼料などが安くなる。生鮮食料品はそれほど外国産は売れない。しか、日本の食料自給率はカロリーベースだから、低カロリーの野菜は変わらない。牛や豚、鳥の材料も下がる。日本人の味覚に合った、安全なものが出るまでに、安い原料が入り、日本の畜産農家は高付加価値の味で勝負のものを市場に出すだろう。何も、肉そのものばかりではなく、チーズとかハム、ベーコンなども製品として付加価値がつく。日本は国産肉を使った肉製品を開発する力がある。日本酒や味噌なんかは発酵食品だからアメリカで作ったものは味が変わってしまう。今だって、日本の農業の20%は黒字で、彼等が都市に商品としての農業商品を供給している。残りは家畜の餌にしかならないような小麦とか、自己消費の米を作っていて、すでに彼等は経営的には破綻している。そして損失補償があてがわれるであろう。今や農業従事医者は人口の5%しかいない。赤字農家の為に補助金が出ているし、TPPに反対している人のほとんどが兼業で農協員である。枝野経産相は、兼業農家の収入では工場勤務など農業以外から得る額の方が多いとした上で、工場がなくなれば「農家の大部分の皆さんの収入は半分以下に減る」と指摘している。何もしなければ壊滅は時間の問題。そもそも、FTAでもアメリカと結べば同じことだ。米にしても日本は「ウルチ」米を作り過ぎ。世界にはもっといろいろな米があり、西洋料理やカレーには輸入種で食べた方が美味い。食生活が多様化する。とにかく、農業の危機は今に始まったことではない。TPPとは関係なく日本の農業は滅亡に向っている。

 マクロ経済学の供給と消費、供給曲線、需要曲線、そして雇用など、政府の介入や国民の行動によってそう理論的には行かないのが現実である。TPPが危険なものかどうかは、これを機にどこまで政治家や官僚が意識を変え、国益を尊重した国民の良識、さらに市場を育てられるかだ。

4.環太平洋という地勢的な同盟という外交

 TPPをそれほどエキセントリックに否定するようなものでもないような気が小生はする。これから大いに議論したらいいことで、中野氏の言う通りにやったら保護貿易になってしまう。我が国は貿易立国であることを捨てるわけにはいかない。TPPの中に入ったら、日本は全くアメリカの言いなりになって、身動きができなくなるというものだろうか。貿易交渉というのは双方が納得し、条件とか、各国の立場を尊重しなければ成立しないもの。押しつけは実を結ばない場なのではないかと思うが?しっかりやってもらいたい。確かに危機感を煽る方が今の時代には必要か。中野氏の論法は、官僚が反対に回って攻撃するとこんな感じかなあという印象もある。彼等は理論闘争となるとあらゆる屁理屈を使って論陣を張って来る。どうだろうか。

 為替対策でインタビューを受ける安住財務大臣の自信のなさそうな顔をみるにつけ、我が国に取って、経済の応用問題の中での難問を彼が良い方向に持って行けるとは全く思えない。今回のTPPも、経済政策に人気のないオバマ政権が、選挙前の起死回生の雇用問題、貿易収支改善のために、何とか日本を巻き込んで政権を維持する為の策なのであろうか。むしろ日本が何でこんなに熱心にTPPに関心があるのか首を傾げているのかもしれないし、これもうまくいくとは限らない。貿易協定とか国際会議は、なかなか一方的な結論は出しにくい。形だけでもWinWinの結論が必要になる。今日WTOが、あまりの国情の違いから統一した結論が出ず、暗礁に乗り上げている中、地勢的な共通点のある環大平洋諸国が共同して貿易ルールを決めようとしている事である。結構なことである。何も相手の国を滅ぼすような事を強要する、かつての武力を背景にした砲艦外交でもない。ノーという事も大事である。むしろ、問題は、TPPが危険なのではなく、これにつまずく日本の姿勢なのではないか。いくら、しっかりした階段でも、足元がふらついて登れば危険である。TPPの目指すものはアメリカや他の諸国に取っては都合のいいものであり、得るものが大きい可能性と、失うものも大きい日本のリスクが読めない我が国、そして、方向を見失いがちな政府なのである。

5.国民という最後の砦

 賛成論も反対論も国民が市場で選択する時の良識を育てるべきだ。政府よりも、マスコミよりも、さらには産業界よりも、国民の良識が正しい。国民の力が発揮出来るように情報を公開し、危ないものは危ない、メリットはきちんと説明してもらいたい。
 とにかく、マスコミと政府のTPPに対する強引な主張は全てを誤らせるに違いない。アメリカの為に日本の経済基盤が弱体化し、農業や雇用などの不安定感を一層増す事は予測出来る。こうした失ったものに代えて何をアメリカから引き出せるのだろうか。きちんと作戦を練らねばならない。TPPがオバマ政権の陰謀という図式は良くない。そんな陰謀論は本質ではないし、そんな事実は無いと思うが、国家として、事態を予測出来、戦略的な彼等は、自分達のメリットにどん欲なだけである。
 日本は経済も政治も立場が弱っている。トモダチ作戦や普天間で借りのできた我が国の外交が何かを引き出せるか。TPPの趣旨は我が国の事情を除外すれば誠にご立派な理想を述べている。この協定趣旨も当初はニュージーランド、チリ、シンガポール、ブルネイなどの規模の小さな国の事情で成立したものに、アメリカが相乗りした。日本はこの枠組みを現実に即したものにどんな条件を付けることが出来るかである。問題になるのは農業以外では医療やサービス業も対象になることである。言語や文化の違いを越えて、消費者にメリットがある内容なら受け入れることもあるだろう。規制だけがバリアではない。悪いものは国民が拒否する。医療の世界は混合診療や医療産業の侵入だが、国民にメリットがあるものは規制すること自体がおかしい。厚労省も何が問題であるか、予測する能力が無いとすると危険である。
 しかし、これに参加することによる代償はきちんと予測されているのだろうか。これに関わることは中国と韓国との関係であるが、TPPは我が国の参加によって中国包囲網となる。政治はこれを中国に対し内政干渉させない自信があるのだろうか。日本の経済が中国の景気によって立ち直ったことを忘れてはならない。日本はアメリカと中国の両方を立てなければならない。また、FTA協定を結んだ韓国はこれに入らない事を決断している。なんだか、どちらでもいいような気がして来た。変な約束はしないようにしてもらいたい。
 結論として、TPPという難問を解くには、今の民主党政権はあまりにも、基礎学力が足りない連中ではないかという不安が残るのである。TPP交渉に入る事が避けられない時代であれば、国民が最後に市場で選択する事ばかりなのだから、今後政府が国民に政治的にも、情報面からも影響や効果について理解させる努力を続けることである。全て消費者である国民の協力にかかっている事である。


 


TPP賛成派の意見
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by katoujun2549 | 2011-10-31 11:53 | Comments(0)
TPPに攘夷論はいらない。民主党の国際感覚が江戸幕府なみであることは認めよう。でも、反対派がこれを幕末の不平等条約に例え、賛成派が開国になぞらえルるのは単なる政治家のレトリックで問題の本質が分らなくなる。

 最近のTPP問題にはマスコミ、産業界、民主党政権、特に前原など異常なコールである。こうした時こそ危険が潜んでいる。あれだけ農業従者が嫌がっていることであれば、充分な説明と、これまでの農業政策の過ちをきちんと説明して、被害をどのように最小限とするか提案出来なければいけない。ところが、彼等が、交渉もする前から不平等条約とか攘夷論のような論点にすり替え、政治としては単なるゴリ押しになってしまいそうな勢いだ。推進派も何が日本の開国だ。もうとっくに開国しているのに。日本は自動車産業や家電メーカーだけの国ではない。しかし、攘夷的な原則論に火を注ぐような論点もまた危険だ。TPPを進める政権党の心もとない感じ、デフレの出口が見えない事、アメリカの不況、中国の台頭、韓国との競争さらには震災復興と国庫の逼迫、少子化、消費の低迷などをこのTPPにからめて論じるのはまるで、夫婦喧嘩で茶碗や靴が飛び交っている様相だ。マスコミはきちんとした議論や提案が出来ないのか。

 TPPはTrans-Pacific Partnership、Trans-Pacific Strategic Economic Partnership Agreement
だから、環太平洋の条約であり、アメリカが一番大きな影響力を持つのは当然だろう。
これはアメリカの陰謀だとか、分けの分からんことを言う人がいる。当然アメリカは色々考えている。しかし、これは、2006年にAPEC参加国であるニュージーランド、シンガポール、チリ、ブルネイの4ヵ国が発効させた、貿易自由化を目指す経済的枠組み。工業製品や農産品、金融サービスなどをはじめとする、加盟国間で取引される全品目について関税を原則的に100%撤廃しようというもの。2015年をめどに関税全廃を実現するべく協議が行われている。この協議に加わる事がそんなに問題か。

 TPP参加が今後の日本の将来を決める重要な問題であることは論をまたない。このような国際案件は原理主義では全く解決でできない。むしろ方向を誤らせるだろう。一かゼロかという議論をする段階では既に無くなっている。しかし、反対論者は問題を正しく掴んでいるのか。危惧が反対の原点か、これは単なる攘夷主義とか、原理主義ではないか。とにかく、国民の懸念を煽るだけの論が多すぎる。自分も手を挙げてTPPが良いとは思えない。想定外のことはこれから続々と起きるだろうが、想定出来ることは何とか交渉の条件や対策を図るならば恐れるには足らない。世の中で大事な事は想定外の事に素早く対応する危機管理力ではないか。国益にかなわなければ参加しなければ良い。
完璧に日本にだけ有利な国際交渉などありえない。日本人はビジョンとか戦略は苦手だが、対策は上手な国民だ。勿論、野田政権が TPP交渉を国民の誰もが納得出来るとは思えない。しかし、実際に行なうのは彼等というより官僚達である。他に出来る人はいない。

 TPPが日本の国際取引の無条件降伏のように言う事は杞憂、交渉や条件次第だろう。それはまかり間違ってそうなることがあって、避ける事ができないならば本当に最悪である。目に見える危険は避けなければならない。今TPP交渉をするのは無条件にならないためではないのか。20以上の分野全てが無条件ではない。医療、弁護士、教育など専門職種を要する分野など、同等ではない。
TPPが農業問題ではないというのは分るが、最も影響を受けるのが農業だから問題なのだ。これにはもっと真面目な議論が欲しい。農業者は被害者意識だけはなく、農業を保護主義から脱却してどう改善するか、対応を提案してもらいたい。これまで、日本は石炭産業とかアルミ産業など切り捨てて来た。農業は切り捨てる訳にはいかない。原子力だってそうだ。数十年間、日本国民が自らの手で、一向に解決せず、損失補償給付金とか、減反、誰も食べない穀物に補助金が浪費されている。この問題の圧力団体、農協は全く消費者を無視している。農協を離脱した農家に成功例が出ている。そもそも既に農協は集票力も無い。大体、日本人は米を昔のようには食べていない。アメリカの米はうまいものもあるが、良質の米を造る技術のイニシアチブを日本は取ることができる筈。特に、中国の富裕層は日本の米を競って買う。こうした米を売っているのは農協を通さない起業的農家だ。80%の農家は赤字だが、実際は自己消費している。出荷しているのは補助金で膨らませた売値のもの。高い米を我々は食べている。競争原理を欠いた市場は、生産者を育てない。66歳以上の高齢者が農業従事者であるから対応出来ないという声がある。しかし、補助金で食べている未来の無い産業に若者は魅力を感じない事が分らないのだろうか。
  TPPが我が国の閉塞感を打開出来るかどうかは今後の構造改革次第である。でも、日本はこれまで多くの国際的な条約や公約を放置して来た。鳩山の普天間や地球温暖化対策の炭酸ガス排出規制もそうだ。
 日本人は明治維新と敗戦時以外は自ら自分の問題を解決しなかった。これは過去の歴史が証明している。自己改革能力は全くと言っていい程ない。性懲りの無い国民だ。これまでも、日本はアメリカに何も言えない情けない国だ。それは実は東西冷戦の結果アメリカに保護されて来たからだ。日本製品はどんどんアメリカで売られて来た。多分こうした事態に手をいれてこなかったアメリカの政策は昭和天皇の崩御で終わっている。日米の自動車や繊維の貿易摩擦、オレンジ交渉がどうだったか思い出してもらいたい。そのことに気づかず、この20年間何故バブル崩壊から停滞の20年を過ごして来たか反省したのだろうか。唯一上昇したのは小泉がアメリカにすり寄った時だけではないか。アメリカという日本に取って最も重要な国が望んでいることを真剣に検討していない。それは反対する事で自説に権威づけしたり、それで収入を得ている文化人がいるからだ。
 
 アメリカと日本のGDP比較で大量の生産物がなだれ込む危機感をあおることは正しくない。これは消費者が決める事、GDPは国内消費に加え貿易収支など産業指標の合成だから、単なる分量やシェアだけでは語れない。アメリカが大きくなるのは当たり前。アメリカはドルを増刷し、価値を下げて対応できる世界唯一の国。でもこれはリーマンショックで終わりだ。TPP反対論者は単に日本の小さなことを上げて国民を脅している。こうした差を乗り越え,今日まで日本は国際競争を戦って来た。韓国のTPKと比較する反対論があるが、対米依存度は日本の比ではないし、韓国が中国や北朝鮮の脅威にさらされている国だということを無視している。韓国は戦略上世界で日本のシェアに食い込む事ことばかりを考えている。シンガポール、マレーシアと韓国の関係を語らずに、韓国FTAを例に挙げるのは乱暴ではないか。
 
 医療が自由化されることはあり得ない。しかし、日本の医療は海外から閉ざされた領域だ。インドネシアから看護師を数千人も入れておきながら、語学教育の訓練もせぬまま、看護師の資格試験を受けさせて、有能な看護師も使い捨てにして来た。日本は医薬品でも国内の治験が効率が悪いから外され、抗がん剤を始め、新薬の使いにくい国だ。これは医療が国際的にも共通の技術分野であるのに、国の指導で閉ざしている結果、割りを食っているのは国民。日本の医療水準は今やレベルはタイ並みという事が分っていない。この際あらゆる分野で棚卸ししてみたらいい。
 TPPで江戸幕府の不平等条約締結を例にするのは全くの間違いではないか。それなら、歴史観として、明治維新も開国も敗戦の原因だ。ここでそんな歴史観を持ち出すのは全くのアナクロニズムか詭弁。そんな原理主義よりも今の閉塞した日本をどう世界に伍して行ける国、新たな富国強兵策を出してほしい。菅政権が尖閣列島でやったことは例にならない。論外だ。あれは特に、情報公開しなかった事、司法の判断でごまかした事など。行政ミスである。そんなことをTPPに持ち出すのは全く反対の為の反対という感じだ。
 日本が貿易で海外から評判が悪いのは関税よりも、非関税障壁だ。規制緩和がなされていない。例えば、建材など、海外の良質な製品が,様々なルールで使えないようになっている。市場で勝負していない。日本の自給率というのは殆どが国内の食料として自給しているものばかりで、先進国ではこんな事とはあり得ない。生産額ベースで70%というのはそんなに低い数字ではないが、イギリスではマトンやチーズ、ビールなど、フランスはワインなど海外に輸出し、それも自給率の分子分母には入っている。だいたい、カロリーベースというのはアメリカのオレンジ輸入を防衛する為に日本だけが考え出した数字で世界では全く採用されていない。日本人はもう米に頼らず、スパゲッティや牛肉、中華材料のピータンとか、韓国キムチも食べている。ウドンの90%はオーストラリア産で、日本の麦は補助金の乗った家畜の餌だ。このために日本の畜産コストが上がっている。日本の農産物はリンゴ、柿、苺など世界で賞賛されているものがあるが、少しも輸出されていない。山形県の立派なサクランボは一部の人間のものだが、同じものが3分の一の値段でカナダやアメリカで売られている。消費者はそちらが欲しい。ワインやチーズ、ハムなど高付加価値のものになっていない。むしろ入超である事が問題なのではないか。
 
 今の政権批判は常にあること。では自民党なら出来るのかといえば全くだめ。野党としてのキチントした批判も議論もできない。ただ煽るだけ。問題はドンドン放置され、意思決定の早い韓国や中国に先を越されつつあることだ。これは本質的な政権党の能力問題であって、TPPとは別問題だ。普天間や尖閣列島、竹島、北方領土も国際的な世論を,味方に付けなければ解決出来ない。国際的な日本の地位は国防にもつながるから関連するだろうが、ここはTPPに限って議論しよう。現政権が国際交渉能力に欠けていることは分る。でも、問題は拡散させずに領域の広いテーマであるTPPに絞ってもらいたい。
 むしろ、一挙手一頭息をあげつらうマスコミや知識人の無責任な言動が国益に反していることもある。そうした風潮が沖縄の普天間問題も難しくし、沖縄の戦略重要性を沖縄県知事の立場を不必要に強めている。交渉もせずに、始めから方法について語るのは違和感がある。そんな事行っていたら外国との交渉は誰も出来なくなる。多分、野党は民主党がTPPを放置したら、早速バスに乗り遅れたと攻撃するだけ。無責任な野党である。TPPがアメリカの雇用政策の一環であり、経済不振の打開策だと言うが、それは当たり前の事だ。では日本は何をしているのだ。

 アメリカの経済不振の原因が貿易の不均衡であるなんてアメリカは実は思っていない。本当は分っているからアフガンから撤退しはじめ、イスラエルとパレスチナの衝突を避ける為にハマスとの妥協を静観している。貿易不均衡は原因の一つではある。どんな国だって自国の商品を買ってもらい、貿易収支を改善したいに決まっている。アメリカの国際収支悪化や国家財政の逼迫はひとえにイラクとアフガニスタンでの戦争のせいである。軍事費では100兆円もの国庫負担を積み重ねてきても、儲かるのは関連産業だけ、それによって国内経済に循環するものは殆ど無い。この戦争による負の資産はは400兆円だとスティグリッツは言っている。そこではハリバートンや兵器産業だけが儲かる構造である。アメリカの雇用悪化は製造業の不振、特に、自動車産業の売れ行き不振がどれだけ雇用悪化させたかを見れば一目瞭然だろう。個人消費につながる工業製品はかつての栄光を失い、アメリカが発明した現代商品は皆輸入されている。あの国ではテレビもカメラも、家電製品、衣服も皆輸入で国内メーカは消えた。雇用を回復させるものは消費物資関連産業のイノベーションしか無いのである。デフレ対策に金融政策が通用しなくなって久しい。何故、これが効かないのか。藻谷氏の「デフレの正体」を読んだ方が分かり易いし、今更、ケインズを持ち出しても、今の解決にはならない。


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