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 10月7日月曜日の朝8時半、会議が始まったとき、正面の窓の外に白鳥の群が飛んでいるのが見えた。この日は晴天、そして真っ白い羽を懸命に羽ばたきながら南の方向に向かっている。おそらく、福島潟か、瓢湖の方角だろう。今年も白鳥が新潟に渡ってくる季節になった。その後、毎日不思議な事に朝の8時半ごろ、同じ時間に白鳥の群が前と同じ方角に飛んで行く。この群は恐らく、シベリアかカムチャッカ半島から飛んで来て、新発田の上空に到達した群。新聞では6日の瓢湖に初めて観察されたから、月曜日の朝に見たのは第二陣だったのだろう。昨年も今頃、事務所の上を嬉しそうな叫び声、やっと日本に着いたといわんばかりの声を上げて群は飛んで来た。長旅といっても、風に乗れば一日で到着するのかもしれない。とはいえ、海を渡る旅は危険に満ち、白鳥にとっても命がけのことである。この新発田上空というのは、ソ連の旅客機がウラジオストックあたりから来る時は上空を通過するから、シベリアからの最短距離をなす線上にあるのではないだろうか。翌週、福島潟に夕方行ってみると、30羽ほどの群が遠方の稲刈りの終わった田んぼの畝に体を寄せ合って落ち穂を食べていた。
聖籠町弁天潟の白鳥
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編隊で着水前の白鳥
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遠くからやって来た編隊
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 全く不思議な事である。千キロ以上離れたシベリアやカムチャッカから、この新潟の、点のような瓢湖や福島潟の位置がどうやって方角を過たずに飛んでこられるのか。日本に到着しても、瓢湖などはそれほど大きな水面ではない。それを上から見定めて飛んでくる。一帯誰がリードしてくるのか。数十羽の群が逆V字形の編隊で飛んでくるが、方向を誰が指示しているのだろうか。群の先頭は飛んでいる間に交代するのだそうだ。後の鳥は前の鳥の羽ばたく気流に乗る事が出来る。お互いに支えあいながら飛んでいる。絶妙な編隊飛行なのだそうだ。その渡りの生態は未だに解明されていない。最近、発信器をつけた白鳥が、GPSでその飛行経路を明らかにした。瓢湖に来る白鳥はシベリアとカムチャッカ半島からである。それ以外はよく分かっていない。冬の間、白鳥は近隣の水田の落穂拾いをする。数十羽が田んぼの畝の中におさまって集団で餌を漁る。勝手に群れを離れて他の畝にはいかない。臆病な鳥だが、中に見張りの役がいて、警戒を怠らない。近寄って写真を撮ろうとすると逃げてしまう。危ない経験をした場所は二度と近づかないそうだ。朝早く集団で飛び立ち、餌場を探して、夕方瓢湖などに戻ってくる。何か言語のようなものも合図として彼らは使うのか。それが自然の為せる技か、白鳥をみると神の節理としか思えない、不思議を感じる。

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 新発田の隣町に阿賀野市がある。ここには全国的に有名な、瓢湖という池がある。ラムサール条約で保護されている野鳥の楽園である。ここには4000羽を超える白鳥が毎年飛来する。この数はものすごい規模である。酒田、秋田や北海道などでも白鳥の飛来する所が各地にあるが、新潟には、鳥屋潟、福島潟、聖籠町の弁天潟といった湿地が多くあり、そこに来る白鳥の数は他所を遥かに凌ぐ。他県では大体数十羽だが、新潟では100羽単位で群れを作る。10月になるとシベリアやカムチャッカからV字型の編隊を作り、飛来してくる。新発田の上空を通過する。雄叫びのような白鳥の声に驚かされる。遠くシベリアから無事に越冬の地に到着した事に喜びの声をあげているのである。冬の間、白鳥は飛来してもそのような声は上げないから、やはり、日本に到着した時の歓喜の声なのだ。

 彼らは、体重が10キロを超え、渡り鳥としては鶴の次に大きな種である。雁とか、鴨より遥かに重たい体を広げると2m近い翼を使って懸命に飛ぶ。東京では皇居のお堀を優雅に泳いでいる姿しか見ない。これが、上空を飛んだり、朝になると5羽から10羽が多分家族なのだろうと思うが、群れをなして飛び立つ。体重が重いので、水面を足で駆けるように蹴りながら滑走しながら飛び立っていく。昼間は10km〜20km先の田で稲穂や湿原でマコモを好んで食べる。泥んこになって、白い羽が分からなくなるくらいに汚れるが、どこかで奇麗に掃除をして、もどって来る時は真っ白である。
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新幹線で新潟に近づくと広大な越後平野の田園が見えるが、その田んぼの中に、白鳥の群れを見る事が出来る。不思議な事に、示し合わせたように複数の群れが団体行動をとり、畝の中に収まっている。そして、どうも、隅々に見張り役がいて、危険を察知すると一斉に逃げてしまうという。カメラなども、露骨に接近すると逃げられてしまう。臆病でかつ用心深く、一度危険な目に合ったと思った所には二度と近寄らない。しかし、安全だと思うと、パン屑を撒く人に近寄ってくる。毎年、怪我などで瓢湖に居着いてしまった白鳥が数羽いるが、この白鳥にオイと声をかけるとウエッと答えてくれる。オイオイというとウエッウエッと答えるから不思議である。白鳥の生態は連中が用心深いせいもあり、あまり良く分かっていないようだ。しかし、つがいの鳥の仲が良くいつも一緒に行動する。灰色の羽を持ったのは子供でこれも家族単位で行動している。鳥同士の絆を感じさせる美しい姿であり、アベック飛行する比翼の姿も見る。
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 夕方になると、群れごとに一斉に干潟に戻ってくる。大体4時から5時で12月頃は暗くなるから、帰還するところを撮影するのは難しい。天気の都合で早く帰る時があるので、そのタイミングを狙うのである。戻ってくる時の姿は実に優雅だ。羽ばたく必要がないので滑空してくる。そして、バラバラにならずに、編隊のまま着水する事が多い。下には沢山の水鳥がいるが、その間を狙って、正確に着水するのである。翼の角度を立てて、水かきもブレーキとして使いながら見事に着水する。その姿はまるで、自衛隊のアクロバット飛行隊、ブルーインパルスが着陸するようなダイナミックな姿で感動する。

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 瓢湖に行ったとき、頭上を飛んでいた白鳥をi-phone で撮ったもの。「天にあっては比翼の鳥となり、地にあっては連理の枝とならん」。これは、中国唐代の詩人白楽天(772-846年)の長編叙事詩「長恨歌」の中の有名な一節で、安碌山の乱が起きて都落ちすることになった玄宗皇帝が最愛の楊貴妃に語ったと詠われているものである。そんな雰囲気の、飛翔に感動した。
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by katoujun2549 | 2013-01-18 16:03 | | Comments(0)
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編隊を組んで着水してくる
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 新潟県阿賀野市にある瓢湖は白鳥の飛来地で有名である。観光名所になっていて、五頭温泉あたりからは毎朝、白鳥ツアーバスが出ている。早朝、夜明けとともにえさ場に食料を求めて飛び立つ姿を見ようというのである。飛び立つときは水面を羽ばたきながら力強く飛び立つ姿が勇ましい。しかし、白鳥が帰巣のために夕方帰ってくる姿は自分はさらに美を感じる。自分の降り立つ位置を確かめるように、羽ばたかずに滑空し、水面に着陸する姿は優雅である。羽のみならず、水かきのある足や首など体全体を使って滑るように水面に向かって、時には編隊を崩すことなく着水する。朝の出立時は、水面から順次飛び立つので写真に撮りやすい。ところが、帰巣時はどこから飛んでくるか分からないし、夕方で太陽光が乏しく、また、天気が悪いと光線が不足して撮影できないときもある。
 
瓢湖に戻ってくる姿は優雅だ。羽ばたかずに滑空している。
何処からともなく飛来して水面の空いた所を狙ってくるe0195345_1147240.jpge0195345_11463045.jpg滑空する姿は実に優雅e0195345_11452193.jpge0195345_11443760.jpg白鳥の家族ー黒い羽根のあるのは子供の白鳥で、青年期
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by katoujun2549 | 2013-01-15 11:48 | | Comments(0)