<   2011年 02月 ( 15 )   > この月の画像一覧

 宮崎 駿氏の1984年『風の谷のナウシカ』は、エコロジー・ブームに乗って、難解な設定にも関わらず大ヒットした。『ルパン三世 カリオストロの城』がテレビ放映され、その面白さが広く社会に認知されたこともあったが、当時のソ連崩壊、ユーゴ内戦の影響を受けている。滅亡した王国エフタルの残滓ナウシカの世界をトルメキア軍が攻撃する。エフタルというのはかつて中央アジアにあった実在の国。平和な東欧を襲う残虐な戦争。このとき、彼はマルクス主義を捨ててしまった。というより、マルクス主義者が描いていたユートピアイメージを捨てたのである。

とたんに、彼は市場主義者になったのだろうか。社会潮流を捕えるのが実に素早い。環境問題に対する提案ではなく、告発的な問題提起のようであり、また、警告のようでもある。しかし、解決策はない。家族愛とか、権力の敗北で終わる。このあたりが平板なのだが、子供には分かり易いかもしれない。結局こうした単純なメッセージの方が安心して見ることができるようになる。映画にそれほど高次元のメッセージが求められている訳ではないからだろう。

 経営者としても優れた能力を発揮している。博報堂にいた彼の弟との両輪で経営が行なわれているスタジオジプリは1985年に徳間書店の出資を得て創立された。1986年の『天空の城ラピュタ』と1988年の『となりのトトロ』も多くの人々に感銘を与えた。その後、「魔女の宅急便」「紅の豚」「もののけ姫」「千と千尋の神隠し」と続き、ジブリ作品は興行的に必ずヒットし、彼は国民的映像作家としての地位を確立した。日本アニメファン達には神のことき存在である。ジプリ作品を見て育った世代はもう30歳台になっている。今の若者の心をとらえたジプリ作品は絶対的な信頼イメージがある。だから、これをけなす事は彼等の夢を壊したと、攻撃を受けるおそれもある。
 
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 宮崎作品に共通するのは雲や森の丁寧な画像である。これらは彼の工房で、多くのイラストレーターによって描かれる。特に、飛翔場面がうまい。芸術性というより、職人技、工芸品のような内容だと思う。だから、彼の作品の主人公の顔立ちは皆よく似ている。おひな様の顔が皆似ているのと同じだ。となりのトトロが、実は狭山事件にヒントを得たという都市伝説はかなり信憑性がある。宮﨑氏も所沢に住んでいた。また、彼は東映動画時代労組の幹部で共産党に共鳴、当時の狭山事件と闘争のことをよく知っていたはずである。ジプリファンの夢をぶちこわしているのかもしれないが、彼の作品にはある種の臭気がある。それはバタ臭さと平板なユートピア世界である。魔女の宅急便にせよ、天空の城にせよ、疑似西洋である。アメリカではない。ユートピアが描かれるが、主人公はそこを破壊するか、そこから去り、元の世界に戻る。そして家族の愛とか、故郷、友情が最高のことだという結論で終わる。現代社会に失われつつある世界、それが彼のユートピアなのだ。
 
 社会主義者の描くユートピアというのは神話の世界とか、宇宙の星にある架空の都市とかが多いのである。ナチスはゲルマンの神話世界から、チベット密教世界である。ソビエト連邦は宇宙である。ロケットの父ツィオルコフスキーの描いた未来の地球は、宇宙に植民地を持つ世界であった。ロシア革命では宗教は否定され、革命家は宇宙を夢見た。その伝統はポーランドのSF作家、スタニスワフ・レムの小説『ソラリス』によるタルコフスキーの映画、惑星ソラリスに見て取れる。何と全て宮崎作品に登場しているではないか。宮﨑氏の作品には何らかのモデルをモチーフにしている。これに環境問題とか、神話的な世界をミックスさせて粉飾しているのである。彼等の描く平等とか、自由というのは自らの不満から発している。だから、一旦獲得すると、今度は支配者の側になり、それを維持するためには手段を選ばない。スターリンに始まり、あらゆる理想主義者がたどった足跡がもの語る。彼等の正義とは攻撃手段である。彼等の自由は上に立つものだけが与えられ、平等は自分達が獲得した残りを平等に分けるという意味である。こんな筈ではなかったと批判する者には容赦がない。恐るべき社会となる。理想社会というのは恐怖に支配される世界の事でもある。人間同じ過ちを繰り返す空しさがあるが、そこから抜け出す努力も続けている。破壊とか逃走による結末ではなく、そうした明るさも描いて頂きたい。

 

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by katoujun2549 | 2011-02-28 10:45 | Comments(0)
 一昨年のイスラエルによるガザ地区攻撃以来、パレスチナは平穏に見えるが、静かな時程危機は潜んでいる。特に、今回の北アフリカの民主化、さらには近い将来行なわれるであろうアメリカのアフガニスタン撤退に予想される情勢変化にイスラエルは着々と布石を打っている。エジプト、リビア、バーレーン、チュニジアは権力者が変わって良くなるかどうかは別にして、国民国家の形に近づく。これはイスラエルにはマイナスだ。というのは中東唯一の国民国家であるイスラエルは独裁国家のお陰で安全を保って来たからだ。人気のない国王の為に命がけでイスラエルと戦争する人間はいない。だから、彼らは傭兵を雇っている。彼らの軍隊は国内治安用なのである。資源を独り占めにして国民を信用していない国家元首に忠誠心を持つ軍隊は無い。だから、いざ戦争となると、自分達の国家という意識の強いイスラエルには叶わない。今や、彼らの築いたパレスチナ人居住区を囲んだ壁はすっかり出来上がった。自爆テロを封じ込めるのだ。イスラエルが核保有国であることは国際的にもIAEAに入っていないが、常識である。イスラエルはイランがいずれは核武装することをふまえて準備をしている。本当は爆撃したいところを米国が抑えている。今戦争になればアメリカはイランとの戦いを囲い込み、地勢的にはイラン側とアフガニスタンの2正面戦線を抱えるこにとなる。これは軍事上の常識に反する事で絶対にやらない。

 世界のマネーゲームはユダヤ人が支配している。マネーゲームの客はアラブ人の金持ちである。このソブリンマネーがイスラエルとの戦争に使われないよう、投機に回せば安全対策として成功だ。アラブ世界がインフレでヘトヘトになってくれればなおさら結構ということである。アラブの金持ちをバクチに酔わせておけばユダヤ人は安心して眠れるというものだ。この構造が壊れるとき、イスラエルは産油国との対決に踏み切るだろう。こんなことは少し世界史を勉強すれば簡単に分かることなのに日本のマスコミは遠い世界の不思議な出来事のように眺めている。いやんになっちゃうね、沢尻エリカとか、海老蔵暴行事件の方が大事なんだからね。

 何故、マスコミは伝えようとしないのか。どうしてイスラエルのエルサレム東地区とヨルダン川西岸のパレスチナ人居住区に何万人もが入植し、住宅を造り、移住することが出来るのか。不思議ではないか。2006年でガザにはユダヤ人は0に対し、パレスチナ人は1,428千人ヨルダン川西岸はユダヤ人255千人が住宅を建設、一方パレスチナ人は2,460千人もいるのに住宅は建てられず、ユダヤ人はパレスチナ人と同じ量の水を供給されている。彼らの居住区を建設しているのは地元のパレスチナ人労働者である。パレスチナ人はこれを国際的に非難する。しかし、アッバス議長とそのグループは賄賂ずけで機能しない。ろころが、このお陰で、工事業者はパレスチナ人を使っており、彼らはそのお陰で仕事があり、飢えないでいられる。アメリカも実は知って知らぬ振りをして、ただやりすぎるなよと言っているだけだ。日本の報道ではイスラエル人の無法振りだけが報道される。ヨルダン川西岸地区に移住している24万人のイスラエル人は何故安全に暮らせるのだろうか。インティファーダはアラファトが引き起こした闘争方法である。しかし、結果的には破綻した。また、アラファトも莫大な国連援助金を横領し、彼らを裏切った。自爆テロは巨大な壁を築かれた。今彼らが、最終的に選択しているのはパレスチナ人居住区にユダヤ人を引き込み、自らの安全と仕事を確保することなのだ。壁の向こうには行けないが、ユダヤ人が来てくれれば仕事や金になる。さらに大きなことは、仮に戦争にでもなれば、ユダヤ人が彼らの外側に分離されていれば、ガザ地区のように完全なターゲットになり、爆撃され、多くの死者が出る。その教訓が1昨年のガザである。イスラエルはその前にガザ地区のユダヤ人を全員撤収させている。シャロンの巧妙な作戦であり、ユダヤの歴史をふまえた知恵であろう。これを国際社会ではイスラエルの無防備な人々への無差別攻撃だと非難しているが、実際は国連部隊も無力だし、国連安全保障理事会もアメリカの拒否権で何も出来ない。さらに、重要なことは、パレスチナ人居住区でユダヤ人が多数いるところにはイスラエル軍は無差別攻撃できないし、そうした地域が増えれば、アラブの大義といえども、イランやシリアも核攻撃は出来ない。勿論、彼らの聖地エルサレムには核は使えない。また、中東戦争のときの主力だったイラクはそんな余裕は無い。今のところイスラエルは我が世の春だ。余裕のあるうちにしっかり核戦争に備えているのである。
Wikipedia よりヨルダン川西岸の壁と地図

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 平和ボケなのは日本の政府民主党とマスコミだけだ。イスラエルの核戦力は既に配備され、さらに、核兵器は拡散し、イランとエジプトから挟撃される危険性に備えている。彼らは、4次中東戦争で全く危機一髪で国家存亡の危機を免れた。彼らの危機意識は半端ではない。では、戦争は起こらないかと言うと、その逆で、戦争が起きる事がおおいにあり得る。新しい国民国家になった彼らが準備の整わないうちに一発かまして、彼らの意欲を削ぎ、永久的なイスラエル国家への道を確保したいはずだ。産油国にもし、イスラエルの核が落されれば、サウジアラビアや湾岸諸国の王族も一巻の終わり。全てを失い、その後の焼け跡には貧乏人だらけの国民国家が出来るだけだ。イスラエルと世界のユダヤ人はこれくらいのことは考えている。

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 旅の効用はいろいろある。未知の文物に出会い、友人との絆が深まる。海外に行けば英語や語学をさらに学びたくなる。人生の思い出ができる。剣道を通じての海外旅行の意義はどこにあるのだろう。何を得るかは準備次第、その人次第ではある。
 日本に剣道修行にやってくる外国人は多い。自分の所属する興武館でもロシア、イギリス、カナダ、メキシコ、チェコ、ドイツなどからやってくる。アメリカから来るのは中国や韓国系の方が多い。特に、審査前には多くやって来て、一生懸命に都内の道場を回っている。七段、八段に挑戦している方もいる。
 海外における剣道が、世界選手権などで日本の剣道修行者にとっても親しみのある体験になり始めた。かつては日本人の駐在員などが現地交流の一環として献身的に取り組んでいたが、今はいろいろな剣道団体が諸外国に行くようになった。世界選手権も来年はイタリアで行なわれる。世界各国で剣道に取り組む人が増え、全日本剣道連盟の努力もあり、優秀な指導者が行くようになったので各地のレベルも高い。韓国は日本を追い越す勢いだが、アメリカ、カナダ、ドイツ、イギリス、オーストラリア、台湾の選手にも、一般の剣道愛好者のレベルを超え、中には専門家を目指す人もいる。求めるところは各様である。小生の印象では海外の剣道人は日本の剣道の本質的な、我々も認める共通の良い部分に魅力を感じている人が多い。剣道の中にある美的感性など、日本の若者と同じ目線を持って
いる。海外での剣道は国際交流として意義のあることで、竹刀を交えることだけでも相通じる。特に、稽古相手の限られた海外では、日本の剣道には興味を持って接してくる。
 
 真面目に取り組んでいる外国人が多い事を知れば、自分自身にも良い影響がある。外国人も、格闘技というより剣道を通して礼儀、相手の心を尊重する態度が大切だと言っている。心を読む力、生きる力、個人の潜在能力を引き出す力が稽古を通じて高められることを知っている。居合も同時に学ぶ人も多い。剣道を竹刀剣道のただの打ち合いとか、試合に勝つ事ばかりを考えているわけではない。日本人以上に、剣道に関して特別な思いを持って真面目に取り組んでいる。そのような相手と剣を交え、交流する学生の姿勢は素晴しい事だと思う。試合勝敗という以上に剣道とは何かを考えるうえでの、良き示唆を与えられるのではないだろうか。
                              

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 リビアで政変が始まった。産油国だけに世界経済に与える影響が大きい。原油価格はふたたび100ドルの大台に達し,さらに上昇するという推測だ。日本は幸いに円高、ややダメージは少ないが、結局世界の影響を受ける。貨幣安を演出したEUは痛いだろう。産油国はにんまり。今回の騒動の源がフェイスブックということだから、アメリカの陰謀という見方もしたくなる。価格高騰は産油国にとって長期的には需要が減ってしまうから損ということで、OPEC諸国は増産とか備蓄分で対応するから、あたふたすることはない。しかし、産油国の富が、世界の投機マネーになり、食料資源などの投機につながり、それが石油の恩恵にあずかれない自国のインフレで食料も買えなくなる貧困層を直撃、このような事態を招くのである。

 ジャスミン革命によってチュニジアの独裁政権が倒れ、さらにエジプトのムバラク大統領の30年にわたる圧政に終止符が打たれて、これがさらに、リビア、バーレーンに飛び火し始めた。リビア東部はカダフィ体制から離反したという情報もあるが、実際は分からない。彼らは部族社会でこれがどう動くかが全く見えないからだ。これは大変だ。両方とも産油国で、これらの国の不安定な状態はアラブ首長国連邦やサウジアラビアの介入を招きかねない。エジプトのムバラクが海外で蓄財した資産は5兆円という。日本では考えられない国家の富の横領だ。パレスチナのアラファトでも、2600億円を越える蓄財をなしていた。一部の独裁者や王族が国家の富を独占する傾向は皆同じである。オマーンもイギリスから独立した国。昔はこちらも、海賊の基地があり、今のイエメンのような状態だった。イギリスがその海軍力で海賊を制圧し、支配下に置いたのである。イスラム世界では軍事的に支配することで地域の安定をはかることは歴史的な定石である。我々のように何でも平和に解決しようにも、歴史が違う。血を見なければ何事も決まらない地域の悲劇が予想される。遠くは慣れた地域であるが、軍事的緊張は日本に何の益ももたらさない。リビヤはいずれ内戦になるだろう。まことに残念であるが、早くカダフィ体制が崩壊し、平和が戻ることを祈るばかりである。

 これらの北アフリカ諸国とアラブとは宗教こそイスラムだが、民族的にはハム族系で、アラビア半島のセムとは違う。ところが、宗派面からはイランやイラクに多いシーア派が多数派であり、この連鎖がイスラエル包囲網を強める効果になる危険性があり、これを最も恐れるのがアメリカである。スンニー派の宗主はヨルダンのフセインである。フセインは第二次大戦前はアラビア半島の支配者であり、メッカを抱えていた。それがサウジアラビアに乗っ取られた。もう一つの名家ハーシム家ファイサルはイラクでクーデターによって滅亡した。中東支配は第二次大戦後のアメリカ世界戦略である。この一角が崩れるかどうかで,アメリカはアフガンから撤退してでも維持したい体制なのである。
 
 産油国であるロシアはチェチェンやアゼルバイジャンに波及しなければ当面は高みの見物で、石油の値上がりを楽しみにしていればいい。アメリカはこうした独裁政権を支えることで効率的な外交を進めることができ、石油資源の利権を獲得してきた。イギリスもフランスも同様だろう。フランスはムバラク政権に賄賂で取り込まれ、その見返りに一族に便宜を与えて来た。子弟の教育にはじまり、一族のパリやロンドンの別荘、社交界など、彼らの文化戦略で取り込んで来たのである。

 北アフリカの民衆は莫大な資源を一部の人間に支配され、極貧と因習の社会から抜け出すことができない。特に、そのしわ寄せが女性に寄せられている。例えば、北アフリカでは何百万人もの女性が割礼を強制されている。強制ではないと彼らは言うが、我々には想像の出来ない風習である。
 アメリカは目下アフガニスタンで金縛りだが、そろそろ、本当に重要な北アフリカの権益確保に乗り出さなければ、ベネズエラも反米政権を抱えている今日、その経済基盤も心もとなくなるだろう。リビアのカダフィとの関係改善がアメリカにとっては渡りに船であったが、これが揺らぐということである。これを機にアフガニスタンからの撤退が実現できればアメリカに取っては好都合だが、北アフリカに出兵ということは避けたいだろう。できれば、イスラエル支援のため、地中海に空母を集中させて、軍事的なプレゼンスを高めることになるだろう。イランはスエズ運河を艦隊が通過することで、イスラエルを圧迫したいので、これも封じることができるのである。
イスラエルを台風の眼として、北アフリカが変わり、アラビア半島も動けば、今後の21世紀の世界は大きく転換するかもしれない。

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 「となりのトトロ」は狭山事件にヒントを得たアンソロジー的幻想劇、死の世界のメタファか?という都市伝説が話題になっていた。今から4年前、07年の話だが、都市伝説になったのだろう。たしかに、この物語は猫バスといい、トトロ、二人の姉妹も不思議な世界の物語だ。童話として素直に理解する方がハッピーであるが、童話というのは何かの事件がヒントになっていることがある。ハメルーンの笛吹きなどは実話だったと言われる。この都市伝説はどうも、発信源が「2ちゃんねる」らしい。末尾にその2ちゃんねるの一部を紹介しておく。むしろ、自分には狭山事件が既に風化し始めたなあという印象だ。学生の頃、狭山闘争とか左翼のテロ事件がこの事件にからんで起きたから、当時を知る世代には思い出深い事件だ。自分の世代では、童話と結びつけて騒ぐにはあまりにも生々しく思われる。狭山事件は社会に大きな波紋を投げかけた犯罪で、誘拐暴行殺人という重罪、かつ容疑者は一審で死刑という大事件で、かつこれが冤罪かもしれないという。都市伝説の内容と実際の事件はあまりにもかけ離れており、だいたい、被害者とか、周囲の人物像が違いすぎる。しかし、そのことを知らなければ結構共通点も見つかるだろう。詳細を知らない若い人達の半可通的な見解が生んだ都市伝説のようなのだ。映画のシックスセンスとか、アザーズなどを見た若い人が狭山事件を知ってトトロを当てはめてみたところ思いのほかぴったりしたというのが真相ではないか。都市伝説がどのように発生するかという良いサンプルである。いかにもありそうな話だが、作り話というのが都市伝説だ。
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ー狭山事件ー
1963年5月1日に埼玉県狭山市で発生した、高校1年生の少女を被害者とする誘拐殺人事件であるが、この事件は被差別部落開放問題などをからめ、長い間、新左翼、共産党など当時の政治状況の中で社会問題にもなった。犯人の青年が被差別部落の出で、殆ど字が書けなかったのに、脅迫状とか、万年筆が証拠として重要な要素であった。この事件に関して、不思議なことは重要参考人、親族など関係者が次々と自殺、事故で6人も亡くなったことである。被害者の姉も自殺している。警察の初動捜査ミスで犯人を取り逃がしたこと、今の検察の調書作成の作為とかが、50年前であればなおさら、あり得ただろうし、証拠の捏造など、不審なことが多かったが、本人は判決を受け入れた。ところが、今は無罪を主張している。犯人の石川氏は無期懲役の判決を受けたが、1994年に31年の刑期で出所し、その後再審請求され、未解決冤罪事件として今も東京高裁再審請求係争中である。

この「狭山事件」と「となりのトトロ」には奇妙な共通点があるとされている。実に驚きの内容。

①「となりのトトロ」の舞台は埼玉県所沢、事件のあった狭山市と隣接

②5月がテーマ
 主人公さつき(=皐月)とメイ(=May)は、どちらも5月を表す名前であり、物語も事件が起きた時と 同じ5月を描いている。

③七国山病院
 トトロの景色は事件当時の狭山市そのもので、狭山丘陵には母親が入院している七国山病院のモデルになった結核予防会の病院もある。メイの母は結核だった。そう、今から50年前は結核が死病で あった。

④ 被害者となった女子高生の母親は病死

⑤ メイは死んでいた
 唯一、事件の犯人と会ったという姉が事件後に姉が行方不明になった妹を必死に探している姿が目撃されており、劇中でさつきがメイを探し回るシーンを連想させる。

⑥ 猫バスとトトロ
 妹の酷い殺され方をした遺体が見つかった時、姉は錯乱状態に陥り「猫のお化けを見た」「大きな狸に会った」などの謎の言葉「猫のお化け=猫バス」「大きな狸のお化け=トトロ」を連想。

⑦作者の関心
 作者の宮崎駿さんは独自の視点から狭山事件を解釈し、当時の日本を象徴する出来事として「となりのトトロ」に盛り込んだのはないかという都市伝説である。

 となりのトトロはホラーだった。冤罪事件としてより、関係者が6人も不審死した事件は妖怪の世界で描かれるに相応しい。要するに、メイもさつきも実は死んでいるのであって、トトロや猫バスは死の世界の精霊であり、病院の母親も実は死の世界にいるのである。メイは池で死に、さつきは冥界の番人トトロに出会う。そこで猫バスに乗って、死んだ母親にも会う。あのドラマの中で生きているのは父親だけで、なるほど、死の世界から見て存在感が無い。このことを4年前からスタジオジプリに頻繁に問い合わせがあり、同社は一切関係がないと言っている。この答えをジプリが出した日がまた、5月1日で事件から44年目ということがさらに話題になるから性懲りが無い。しかし、この偶然の一致とか、符合するシンボルに関して、宮崎駿氏のコメントは無く、何らかの関係があるのではないかという都市伝説はますます盛り上がっている。


2ちゃんねるから抜粋
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by katoujun2549 | 2011-02-21 15:03 | Comments(0)
  仙谷由人氏が国会で自衛隊を暴力装置とマックスウェーバーの言葉を使って物議をかもしたが、まさに、軍隊は人間性を削ぎ落し、若者を組織の機械として動くように作り替える機関である。他人に銃を向ければ普通の神経では引き金を引けない。第二次世界大戦のとき、アメリカ軍のシャーマン機関が調査し、ヨーロッパ戦線で、ドイツ兵に銃を向けても撃たなかった米兵の比率が高かったことが分かった。何と、30%の兵が敵を見て撃っていなかった。それが朝鮮戦争、ベトナム戦争を経て90%に上昇したのは訓練方法を研究した結果である。戦時でも、人間を平気で撃てる人は5%くらいで、かなり精神病に近いか異常な人だそうだ。だからこそ、軍隊では標的を人間と見ないような工夫が凝らされ、反射的に引き金を引くように訓練される。その為には、理不尽な要求に意志を合わせる習慣、肉体的な苦痛が恐怖を上回る訓練が不可欠なのである。今も、ロシア軍や海兵隊では様々な暴力行為が初年兵に加えられている。海兵隊の初年兵訓練も有名で、大声で指導教官が耳元でがなり立て、集団行動を乱すと腕立て伏せなど、殴ること以外のあらゆる苦痛を与えるように仕組まれている。スタンリーキュブリック監督の映画フルメタルジャケットでは苛めのシーンもある。これは社会から入って来た若者が戦闘マシーンとして、これまでの常識が通用しないことを思い知らされるように計画されているのである。だから、沖縄で海兵隊員が街に出ると異常な暴力行為といったトラブルを引き起す。

三重県資料より(http://www.pref.mie.lg.jp/FUKUSHI/heiwa/shiryou/01-14.htm)

 e0195345_1211265.jpg日本軍の初年兵に対する暴力は、殴る、蹴るである。海軍では精神注入棒で腰を立ち上がれない程強く殴るのである。靴やベルトも使われた。特に、大学学歴を持った兵隊は過酷な仕打ちを受けた。学徒兵や幹部候補生に対する制裁は特に厳しかった。丸山真男などは兵卒として召集され、一高出身であることが、反戦思想の持ち主とみなされ、毎日のように制裁を受けた。これが、彼の反軍思想の原点にもなった。日本の場合、教育というより、階層社会のフラストレーションを解消する手段にもなっていた。ところが、陸軍では、前線では殆ど行なわれなかったと言う。これは弾丸の飛び交う戦地では、皆が仲間であり、多少の制裁は合理的な理由があればあったが、ここで、人間関係を悪化させることは危険なことであった。部下から憎まれ、後から弾丸が飛んでくることが怖かったのである。ところが、海軍では艦船に乗り組み、そうした危険は無いことから、下級の水兵は常に暴力の対象であった。だから、戦艦陸奥の爆沈とか、反感を持った水兵が無理心中的に艦の弾薬庫に放火することで仕返しをすることがあったという。その当時、士官達は下士官以下のリンチに近い制裁を見て見ぬ振りをしていた。そもそも、自分達が引き起こした悪習を見てみぬ振りをしたのだ。卑怯なことではないか。こうした無責任が軍に蔓延し、一見整然とした海軍の組織は腐り、末期症状を呈していたということである。この無責任と日和見感覚はこうした組織の悪習から生まれた。新発田第16連隊は勇猛果敢と言われた。インドネシア攻略で名をはせた今村大将は新発田中学出身で16連隊を率いたが、日清戦争からインパールまで戦い抜いた勇猛果敢な連隊であった、そこでは郷土愛が強く、しかも仲間意識が高いことで有名だった。そして、内部での暴力的制裁はほとんど無いことで有名であった。

 日本の軍隊は、陸軍はドイツ、海軍はイギリスを模範とした。その本家本元もこうした殴ると言う暴力行為は少なかったという。というより、英国海軍の軍律違反には鞭打ちがあり、これが日本では棒に変わったのだ。帆船時代のイギリス海軍ではハンドスパイキ(木製の円錐形の棒)や短いロープの切れ端で、ぼやぼやしている水兵の尻を叩き、水兵が上官に反抗したときは、被告の両手両足を縛り付けて、九尾の猫鞭と言うムチで背中を5~20回位叩き、背中に一生消えない傷を残して他の水兵たちへの見せしめとした。軍艦というのは危険なところで気合が抜けると死亡事故につながる環境であったこともある。勿論、戦場で命令違反は、将校が即時銃殺する権限があり、前線ではしばしばこれが行使されているから、殴るどころではなかった。山本七平もこの日本軍での殴るという慣習が何故頻繁になったか分からないと言っている。
 この旧帝国軍隊の暴力的風習は実は大正時代からであって、日露戦争前はあまりなかったという。日本の軍隊では下士官以下の規律や能力は他の国よりはるかに優れていた。識字率が高く、かつ最前戦で有能であった。ところが、将校の育成システムはかなり観念的で、ベテランの兵士から見て合理性に欠けた傾向があった。ノモンハン事件でもソ連軍のジューコフ将軍が嘲笑している。どうも、このことが、将校にとってはやりにくいことだった。
 日露戦争までは将校も実戦体験に裏打ちされた専門的指導能力もあった。ところが、大正に入り、日本は暫く戦争をしていない、平和な時代であった。そこで、陸軍士官学校や海軍兵学校出の将校より、長く軍隊に残っていた下士官の方が陸海軍とも実戦知識も豊富で、将校は指導力を発揮しにくかった。実際に戦った人間を未体験の上官が命令したり、説明しても反論されてしまう。そこで、彼らの地位を利用した暴力行為が頻繁に行なわれ、命令に服す習慣をつけさせようとしたのだという。組織マネージメントが誤ったまま修正不能というのは破滅の道である。この組織的な機能不全がトップにまで及び、天皇の軍隊という神格化によってさらに拍車がかかった。
 
 将校というのは上からの命令を噛み砕いて、部下に伝え、大組織を動かすように訓練を積んでいるはずであった。ところが、第二次大戦では精神性とか、天皇への忠誠モラルを指導者が利用することになってリーダーシップや訓練の合理性が失われた。実戦では多くの兵が動かなければ戦争には勝てないし、集団行動を統率する技術も必須である。彼らからの情報や要望を将校が吸収して、戦略に反映させる必要性もある。これは一種の専門的技術である。ところが大戦末期は全員が精神論者では技術的な主張が通らなくなってくる。最後には食料は敵から奪えばいいという極論になった。兵を動かすには食料や水が無ければ動けないし、敵に対して優位の火力と安全に移動したり、有利な条件から攻撃することで戦闘には勝利できる。このことが何故か忘れ去られた。兵は一銭五厘で召集され、使い捨てにするという悪習が軍にはびこった理由が分からない。この結果が組織暴力と作戦の過ちを連鎖的に生んでいる。兵士を大事に扱い、戦闘に有利に働かせ、勝利に導くという戦略が忘れられた。第二次大戦中の特攻、玉砕、食料の無いままインパール作戦を実施して悲惨な退却を招いた牟田口連也、辻正信などのミスはこの辺りに原因があるのではないだろうか。要するに日和見的な無責任を作戦の必然と混同している。阿川弘之などは海軍を美化し、そうしたトラブルとは無縁の山本五十六とか、米内光政、井上成美といった将軍の話がお得意だが、名も無く、海の藻くずと消えた兵士、アメリカの潜水艦の餌食になった人々の話を描くことこそ戦争体験者の責任ではないか。

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「終わらざる夏」 浅田次郎著 下

 戦争は悪である。兵士達にはそれぞれの人生と生活、そして家族があった。故郷で夫や恋人の帰りを待っている。彼らの生活を破壊し、未来を奪うものが戦争である。
 英文学出版社に勤務する片岡は米軍との和平交渉の通訳要員として召集され、秘密裏に占守に運ばれる。この意図を粉飾するため、2人の「特業」要員も召集された。盛岡の貧しい人々のため働いてきた医学生の菊池、熱河作戦と北支戦線の軍神と崇められた車両運転要員の鬼熊が召集され、彼らが占守島に運ばれるまでのドラマがぐいぐいと物語を引っ張って行く。3人の占守島への旅を軸に、片岡の家族、焼け野原の東京、片岡の長男、譲の疎開先からの脱走、鬼熊谷や満州から占守島に転属したベテランの戦車兵など、様々な場所でのそれぞれの「戦争」が描かれる。下巻は占守島の人間模様として、勤労動員された函館高女の学生達の話、少年戦車兵、参謀将校の物語も描かれる。この小説のクライマックスは占守島の戦いよりも、むしろ、8月15日の日を皆がどう迎え、新しい時代に向かったかである。多くの人間模様が終戦が彼らの戦いの始まりである事を読者に感じさせてくれる。
ソ連兵はスターリングラードからベルリンまで進撃した狙撃師団の兵達であった。歴戦の勇士である彼らが、何故戦場に行く事になったかも描かれ、最後に占守島で激突する。
 
 しかし、これだけ盛り上げているわりには最後が尻切れのような感じが残念である。戦闘の模様が断片的なのである。最終章では片岡が翻訳したヘンリーミラーのセクサスの断片がシベリアの参謀将校の遺品の中から医師の菊池が見つけるシーンで終わっている。最後の戦闘から過酷なシベリアでの彼らの苦難の描かれ方が中途半端なのである。そのあたりが残念だが、戦争末期、残された家族の姿が切々とした感じで、人情を描かせれば天下一品の浅田次郎らしいところ。

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私がすすめるがん治療ー抗がん剤が効かないなら患者・家族はどうすべきか
 近藤 誠医師の文芸春秋 記事

 近藤医師はこの3月号の記事を先に書くべきだった。内容は患者の立場も考慮した、常識的な内容である。現実的にこのように医療は行なわれていると思う。もし、抗がん剤を強要している医師がいたらそれこそ問題だ。大体、抗がん剤は効かない事が多い。効かなくとも要求するのは、何とかしたい患者の方であることも多い。近藤医師も書いているが、「がんへの治療法は本来、身体に加えられる治療法と、患者家族の精神的サポートを統合した内容であることが望ましい。」としている。「家族関係や経済状況をも考慮する必要があり、その検討、解説は至難である」ともいう。医療の限界を知っている医師であればこその言葉である。しかし、これから、本当にがん患者を支えるのはその至難な部分である。生存率の見方にしても、抗がん剤で効いた人と、効かずに逆に副作用で命を短くした人とは相殺され、効果無しとなってしまう。でも、統計値の母数には効いた人、延命した人も多いのである。
 抗がん剤の治験がどのように行なわれ、その母集団がいかなる状態の方々かも含めて明らかにしなければ、効く、効かないの話は説得力がない。そもそも、治験に参加する人は、万策尽きた人が多いのである。この問題に関して近藤医師は全く触れていない。放射線医師には薬の開発の問題は見えない世界なのだろうか。
近藤氏が指摘していることの一つで、乳癌や大腸がん骨転移の骨の破骨細胞を抑制するゾメタという薬にも疑問を挟んでいるが、骨転移したがん患者はかなり死亡する危険性が高く、さらにその効果を測定するのも難しい。ビスフォスフォネート系の骨転移抑制剤アレディア(パロドネート)とゾメタ(ゾレドロネート)が同じとして3ヶ月間分が曲線が重なっているから効果無しというのは良くわからない。効果が出るのはむしろ5ヶ月以降ではないか。それまでは、骨のように発育の遅い細胞では判定できない筈だ。そこで、個々のデータ内容で微妙な数字には誤差の幅が大きくこれが捏造であるかどうかを立証する事は至難だ。近藤氏は製薬会社の作為を思わせる書き方だが、こうした微妙な問題を切って捨てるのがジャーナリズムである。ところが、彼は大学病院の医師である。科学者らしく科学的な裏づけがもっと必要ではないだろうか。議論の場が雑誌ではなく、医療の世界でまずは行なわれるべきではないだろうか。
 放射線治療と抗がん剤との関係について流石に専門家らしい見解や助言が多く傾聴に値する。脳に放射線を当てた後、抗がん剤を投与すると危険な事もあるだろう。しかし、これはガンによって違う。乳癌では放射線治療の後、抗がん剤を長期投与する。全ての病院が近藤医師のようなきちんとした臨床経験則にもとずく治療を行なっているならば何の問題も無い。しかし、世にはいろいろな患者、様々なパーソナリティの医師がいる。アバスチンなどの高価な抗がん剤を使えば治ると信じがちな患者心理、また、自分の治療方針を曲げない医師もいるのだろう。患者と医師の充分なコミュニケーションが癌には必要であり、患者の医療知識もよく医師との擦り合わせが必要なのである。日本人は医療に関するリタラシーが弱い。黙って医師の指示に従うのが良い患者だという通説が今日の医療への疑念を招いている。医療に関しては情報は非対称で圧倒的に医師の方が情報量は多い。しかし、薬の知識にしても、自分の病気に関して医師と話し合うだけの学習ができなければ行き違いは避けられないだろう。医療におけるコミュニケーションの問題であろう。その為には、医師の持っている専門知識を引き出す最小限の知識として何が必要であるかだ。何でもおまかせ、お任せ民主主義の時代もあった。おまかせ医療では納得いかない人が増えている。患者も勉強しなければならない時代。

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エジプトの混乱は沈静化するが、自由な社会はほど遠い

 今回のような民衆蜂起がフェイスブックとかグーグルの情報力によって起きた事は否定できないだろう。閑な若者が多い程威力を発揮する。こうした、パーソナルなメディアがムスリム同胞団からさらにイスラム原理主義者に乗っ取られたりする危険はあるのだろうか。スエズ運河の安定とイスラエルのイスラム諸国からの安全を第一に考えるアメリカにとっては、民主化が全アラブに広がり、イスラエルが二正面作戦を強いられると、これまでのシナリオが全て崩壊してしまう。アメリカという国は民主主義を要求するが、これが単なる方便である事は明らかだ。露骨なダブルスタンダードである。自分の都合が良ければアラブの独裁国家は容認する。ここを中国から指摘されると弱い。とはいえ、民主化という潮流はこれまで圧政下にあった国民には魅力的であり、大きな流れである。これを圧迫する政治的手法は北朝鮮とか、ロシアにあるのだろう。リビアやイランも、こうした流れをどう調整するかが、国家の存亡に関わっている。
 
 エジプトはスエズ運河の莫大な利権、石油、綿花、遺跡観光などの資源を抱え、経済成長も6.5%を越えるのに、10%を越える失業率、低所得に庶民は喘いでいる。ところが、ムバラク一族は海外に5.8兆円といわれる資産を保有するという富のアンバランスが象徴的に存在している。石油資源等の富を一部が独占するという構図は、北アフリカからサウジアラビアに至る北アフリカ、中東共通の問題である。ムバラク政権下30年の間に人口は2倍になり、今や8400万人となり、かつ、24歳以下が53%という。この若い人々に失業が23%と集中し、都市部においてはさらに大きい。2010年7-9月の実質GDP成長率は、前年同期比5.5%。GDPの76.0%を占める民間最終消費支出が4.2%と好調、さらに固定資本形成が20.3%と大幅に増加。輸出、輸入はそれぞれ、8.6%、7.2%の伸び。産業別では、製造業(石油精製を除く、前年同期比6.2%)、建設(12.5%)、卸・小売(7.2%)、観光(12.1%)などが牽引。ところが、インフレが進み、昨年10月で13%を越え、食料品などが高騰、生活は苦しい。

 若者の失業に一番対応しやすいのが軍隊である。失業を吸収する仕組みとなるからである。今回も軍は大きな役割を果した。国家機能の中で最も組織論理と生活の安定した集団が軍である。かつて王制だった国が近代化するには軍事政権が重要な要素となる事が多い。第二次大戦に至るドイツや日本もその仲間である。ソビエトもそうだし、今中国が危険な軍事国家の道を歩んでいる。エジプトの大統領はナセル以来全て軍人である。今回の政権崩壊がエジプトを真の民主国家に発展する可能性はあまりないかもしれない。再びムバラクのような独裁者がさらに巧妙な仕組みをつくるだけではないか。フェイスブックもツイッターも政治構想力を持っているわけではない。いくらエルバラダイが民主的な思想を持っていようと、国内に権力基盤が無ければ理想は実現できない。単なる評論家でり、扇動者にすぎない。失業者を吸収して巨大化する軍隊こそがエジプトを変革する原動力である。これは歴史の定石である。チュニジアはいまだに混乱が続いている。こうした国では組織運営能力のある仕組みが乏しい。だから、個人の独裁者が生まれ易い。組織を支配する能力社を育てられるのは企業でもなければ学校でもない。宗教集団は海外からのテロリスト介入の危険に満ちている。国を治めることのできる唯一の組織が軍隊だというの
が不幸の源である。軍は組織をマネージできるが、人権や人々の自由からは最もほど遠い仕組みなのだ。


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新しい薬をどう創るか 京都大学大学院薬学研究科編     
講談社BLUE BACKS より

1.アスピリン

 これまで最も多く利用されて来た薬はバイエル社のアスピリンだろう。この19世紀の末に開発されてきた薬は消炎鎮痛剤として今日も使われ続けている。つま楊枝の「楊」という字は柳の意味だが、古代人はこれに鎮痛効果があると考えていた。歯痛の場合、柳の枝で歯を磨いたと言う。また、ヒポクラテスは柳の葉を使って分娩や痛風の薬として使っていた。これは柳のサリシンという成分にその効果があり、さらにこれを精製し、サリチル酸をリウマチなどの鎮痛剤に使うようになった。ところが、これは苦みが強く、また、副作用として胃を痛め、胃痛に苦しむことから敬遠された。しかし、バイエル社のホフマン氏がアセチルサリチル酸が副作用が少ない事を発見し、これを商品化したのがアスピリンである。何故効くのかは不明であった。分かったのは100年後であった。痛みや炎症をおこすのは、体内にプロスタグラジンが作用し、これが体内のアラキドン酸という物質から生成されること、さらに、アスピリンが生成を妨げることを発見したのです。この業績でスウエーデンのサムエルソン等3人はノーベル生化学賞を受けている。このことから、プロスタグラジンH(COX)をターゲットにした多くの鎮痛剤が開発された。インドメタシン、(サロメチールなど)イブプロフェン(ロキソニン:ロキソ『プロフェン』ナトリウム)などである。 アスピリンの場合のように天然化合物に修飾を加えた化合体(誘導体)を沢山合成し、その中から解熱・鎮痛という特定の作用に絞って探索するという手法が確立した。自然物から副作用を除去したり、純度の高い物質を開発する手法は長い間、主流であり、多くの薬が作られた。

2.ニトログリセリン

 ダイナマイトの原材料が爆発性の高いニトログリセリンというのは有名だ。これが狭心症の薬としても使われる。血管拡張効果があり、発作が起きるとこれを舌下にふくむと数分で痛みが和らぎ、症状が治まる。ノーベル賞の創始者ノーベルの工場で働いていた狭心症の患者が工場では発作が起きない事に注目し、これが血管拡張効果がることが分かったのである。これが何故効くかが分かったのは、1970年代後半の事だった。ニトログリセリンから発生したNO(一酸化窒素)が血管内皮細胞弛緩因子であることが分かったのは1986年であり、この発見者は1998年ノーベル生理学賞を取った。

3.バイアグラ
 ファイザーのヒット薬、バイアグラはシルフィナデルという、これは血管拡張物質cGMPを分解する酵素PDE(ホスホジエステラーゼ)を抑制する。特に心臓に多い5型PDEに作用するが、これは海綿体にも多く含まれる為に、治験参加者の男性が皆ピンと立ったことから、これは効くということになった。今や、ファイザーはこの売上げで3,000億円を上げている。だから、心臓病の患者は、血管拡張薬を使っているため、バイアグラを使うと効きすぎて危険な薬となるのである。このような偶然に発見される事が薬にはしばしばある。ペニシリンもそうだが、こうした現象をセレンディピテイという。

4.プラバスタチン(メバロチン):
スタチン系高脂血症薬ー世界で2兆円売れている

  三共製薬のメバロチンは大ヒット製品である。コレステロール値を下げる効果がある。
コレステロールを下げる薬剤を開発しようと三共の研究者が研究を始めたのは1971年、実に33年前、リーダーが『カビが好き』という理由で数千種類のカビから、コレステロールを下げるメバスタチンという物質を2年かけて発見した。動物実験をへて、臨床試験まで進んだが、残念ながら発売されるまでには至らなかった。
 一方、メルクなどの海外製薬企業も、三共のメバスタチンの開発を知り、同様の薬の開発を始めた。この競争は、結局メルクが1987年にメバコール(主成分ロバスタチン)日本の薬価基準には未収載)を発売し、メルクの勝ち。メバスタチンは、長期にわたって服用すると副作用がおこる可能性があり、この副作用をなくすことに大分苦労し、三共は1989年メバロチンにたどり着いた。

5. ヘルベッサー(ジルチアゼム)

  狭心症の薬としてよく使われるが、そもそもは、抗鬱剤を開発する中で生まれた。この開発においてランダムスクリーニング法という手法が進んだことが貢献した。1.5ベンゾチゼピン骨格をもつチアゼシムという化合物が抗鬱作用を持つ事が発見された。これに対抗する薬を田辺製薬が開発しようとした。同等のものを作る事に成功したが、商品として対抗力は無かったので中止した。ところが、その後、ランダムスクリーニング法の進歩により、数ミリグラムのものでも、また、一つの化合物から何十種類もの薬理活性が一度に調べられるようになり、これを既に研究所の片隅に放置されていた多くの化合物に当てはめる中から、この1.5ベンゾチゼピン骨格の誘導体から、抗鬱剤ではなく、冠状動脈拡張効果のある化合物が発見された。

6. ガマの油

  筑波山のガマの油は怪我に効く事と言われるが、本当はここの中禅寺の住職が、昔、徳川に仕えて、大坂の陣に加わり、けが人の治療にあたったところ、多くの怪我人から感謝された。その住職の顔がガマガエルに似ているというので、筑波山のガマの薬は効くという評判になったそうだ。ところが、筑波山の中から、菌類(ツクバエンシスという放線菌)を抽出した藤沢薬品(アステラス製薬)はこれをもとに、臓器移植の抗体抑制効果のある薬タクロリスムを開発し、今や、移植手術には不可欠となった。また、1980年代に欧米人に多い嚢胞性繊維芽細胞腫の特効薬を探しているとき、アフリカツメカエルの分泌物からは抗菌効果のある成分抗菌性ペプチドが見つかり、これから強力な殺菌効果がある物質が発見された。実はガマの分泌物にも薬効...抗菌作用があるのかもしれない。ここから、マガイニンという抗菌ペプチドのお陰で、これまでのワクチンという人間の抗原抗体反応を利用した感染症体対策、そして有機化合物である抗生物質に加えた治療薬となっている。これは抗生物質が効かないMRSAにも効果がある可能性で注目されている。動物に本来備わっている生体メカニズムが抗菌効果を持ち、外界と接触のある気道、皮膚、腸管などにそうした作用があることが分かってきたのはつい最近なのである。

7. 抗ウィルス薬

ウィルスに対するワクチンが、画期的な効果をもたらした時代は20世紀であった。ところが、21世紀に入り、SARS,HIV(AIDS),鳥インフルエンザ、MRSAなど、従来のワクチンの効かないウィルスが登場した。その中で、逆転写ウィルスなど、新しいウィルスは耐性が出来、対応に困る事態となった。これに対して、新しいコンセプトで薬が開発されるようになった。特に、HIVに対し、ウィルスの感染するプロセスに働きかけ細胞膜へ浸潤する機能、あるいは、細胞に取り付く過程をブロックする薬の開発が注目されている。これは驚く事に、古代の生物と言われるカブトガニの血液から抽出される。ウィルスの感染は細胞膜に取り付く段階、さらに細胞内に侵入してDNAを合成する過程がその薬のターゲットとなる。HIVは吸着、侵入に関与するウィルス性タンパク質gp120とgp41というタンパク質が細胞表面に取り付き、その細胞膜と融合し、ウィルス粒子が細胞内に侵入し、内容物が侵入、増殖する。この機能を阻害することが抗HIV剤のポイントである。ロシュ社のフゼオンというペプチド化合物がHIVの薬として使われている。また、もう一つの方法がレトロウィルスであるHIV−1がDNA転写することを阻害することである。AZT(アジドチミジン)はヌクレオシドによく似ており、これがチミジンというヌクレオシドがヌクレオチドに変化する時に取り込まれ、DNAを伸ばすことが出来なくなる。この手法はHIV-1から一般のウィルスに対しても応用が出来ると期待されている。
1995年12月,米食品医薬品局(FDA)は最初のプロテアーゼ阻害剤「サキナビル」を認可した。1996年春までには,さらに2つの阻害剤「リトナビル」と「インジナビル」が認可された。1996年7月にカナダのバンクーバーで開かれた国際エイズ会議では,関係者に希望を抱かせる発表が相次いだ。例えばニューヨークにあるアーロン・ダイヤモンド・エイズ研究センターのホー(David Ho)は,プロテアーゼ阻害剤とすでに1991年以降に市場に出回るようになっていたAZTタイプの抗ウイルス剤とを組み合わせたカクテル療法によって,非常に優れた結果が得られたと報告した。彼はこのカクテル療法が根本治療にはならないものの,エイズ患者の免疫細胞を増やすだけでなく,血液中のウイルス数を検出限界以下にまで減らした。

8. アルツハイマー治療薬 ドネペジル(アリセプト)

ドネペジル (donepezil) は、アルツハイマー型認知症(痴呆)進行抑制剤の一種。エーザイの杉本八郎らにより開発された。アリセプトという商品名でエーザイから発売され、海外市場ではファイザー製薬との提携により、同名(Aricept)で販売されている。
アルツハイマー型認知症の認知症症状の進行抑制に用いられる。日本国内で唯一アルツハイマー型認知症の保険適応である。アルツハイマー型認知症の早期に使用することによって認知機能の一時的な改善をもたらす。アルツハイマー型認知症の病態を治療したり、最終的に認知症が悪化することを防ぐ薬剤ではない。投与12週以降で臨床認知機能評価尺度の点数を改善する。
アルツハイマー型認知症では、脳内コリン作動性神経系の顕著な障害が認められている。このコリン仮説にもとづき、ベースとなる種薬ーよく似た効果のあるタクリンの誘導体をシードとして様々な化合物の作用を調べた。ところが、経口投与された薬剤がほとんど分解されるか、吸収さずに排泄されてしまう(生体利用率が低い)。700の化合物を合成した結果ドネペジル塩酸塩(アリセプト)が生体利用率が高いものであった。これは、アセチルコリン(ACh)の加水分解酵素であるアセチルコリンエステラーゼ(AChE)を可逆的に阻害することにより、AChの分解を抑制し、作用部位(脳内)でのACh濃度を高め、コリン作動性神経の神経伝達を促進する。新薬開発で欧米企業に遅れをとると批判されがちな日本の製薬業界であるが、アリセプトは日本国外市場でも市場占有率8割以上を誇る。欧米の方で先に治験結果が出てファイザーと提携して売り出され、ヒット商品になった。

9. H2ブロッカー

アレルギーや炎症を引き起こす原因にヒスタミンがある。この抗ヒスタミン薬はメピラミンといった薬でくしゃみ、鼻水を抑える風邪薬に含まれている。しかし、ヒスタミンが持っている胃痛の原因となる胃酸分泌促進効果を抑えることができない。これはH1受容体とは別の非H1受容体を介して胃酸の分泌を抑え、ヒスタミンを押さえ込めれば胃酸分泌拮抗剤となる。そのために、ヒスタミンに化学構造が類似した化合物を沢山合成し、その化学構造と生物活性の関係を調べた結果、ヒスタミンのイソミダゾール環の4位にメチル基を導入すると作用が逆転して非H1受容体に作用することがわかった。その後、側鎖にアミノ基の代りにグアニジノ基を導入してその効果を増幅し、プリマミドが開発された。彼らはH2受容体について何も判っていなかったので、まずヒスタミンの構造を少し変えた薬品を合成し、作用を確かめてみた。
 最初の進歩はNα-グアニルヒスタミンだった。この薬品はH2受容体を部分的に拮抗した。この延長線でH2受容体の詳しい構造が判り、最初のH2受容体拮抗薬であるブリマミドの合成に至った。ブリマミドはH2受容体に特異的な競合拮抗薬で作用はNαグアニルヒスタミンの100倍であった。ここにH2受容体の存在は確立した。これは静脈注射であるので、経口投与で副作用の少ないシメチジンが開発され、胃潰瘍では入院する必要がなくなった。これはイギリスのグラクソ(現グラクソスミスクライン)からタガメットとして発売されて、H2ブロッカーとして世界のヒット医薬品に成長した。今はタガメットよりさらに安いコストで肝機能の副作用が少ない製品が作られている。ガスター10、ザンタック、ガストなどH2受容合の働きが分かったお陰で、多くの類似製品が作られるようになった。

10.DDS (Drug Drivery System)

 薬が治療効果を得る為には、投与した時に薬物が体の中を移動して、目的の作用点に充分の量が到達し、一定の時間作用する必要がある。そのため、錠剤の形、薬の溶け方など様々な工夫がなされる。特に抗がん剤は、他の細胞にも害になるので、出来るだけ癌細胞に到達し、ガンにだけ作用することが求められる。目的とする抗原だけに結合する抗体、モノクロナール抗体をミサイルにしこれに結合した毒素でガンを攻撃する。抗体製剤は、がん細胞の表面にある特定の物質を抗原として判別できるようにつくられているが、必ずしも患者が同じ抗体を持っているとは限らない。がん細胞がこの抗体を持たない場合は、抗体製剤の治療対象とはならない。近年では、特定の抗原に作用する抗体を量産できるようになったことで、がん組織にだけ集中的に攻撃するミサイル療法などが試みられている。がん細胞の抗原は数多く発見されているが、実用化されている抗体製剤はまだ少ないのが現状。代表的な抗体製剤は骨髄性白血病の特効薬、リツキシマブ(商品名:リツキサン)、ほかには、乳癌のハーセプチン(トラスツズマブ)やセツキシマブも抗体製剤である。
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