カテゴリ:映画( 85 )

サンフランシスコ便で7本の映画を見た
UA機内で見た映画

1.The last King

スウエーデン映画である。13世紀のスウエーデンは内乱の時代だった。北欧といえばバイキングだが、中世に移行し、十字軍などの時代もあった。日本では馴染みの無いスウエーデンの歴史。血塗られーた権力抗争があった。日本では未公開だと思うが、冬の寒々した風景のなかで繰り広げられる追跡劇に息つく間もないスピード感で見入ってしまった。何と、追跡は古典的な一本棒のストックで走るスキーなのである。成る程、北欧らしい設定である。国王は毒殺され、その弟が権力を握る。王になろうとするが、2人の騎士がまだ生きていた、乳飲み子のような王子を抱えて脱出する。追手は国王を暗殺した弟の軍勢。真冬の森の中を赤ん坊を懐に政権を奪おうとする弟王の軍勢と追いかけっこだが、スキーで逃げるシーンがド迫力。結局逃げ切り、クーデター側の陰謀は頓挫する。皆髭面で、顔が同じに見える。俳優のパーソナリティーがよく分からないのが欠点だったがそれにもまして冬の森での戦いとスキーの脱出劇に目を奪われた。
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また、Wikipediaによると、この映画の舞台となった現在のスウェーデンの首都となるストックホルムは、13世紀半ばにスウェーデン東部のメーラレン湖東にある小島スタツホルメン島にフォルクンガ朝のビルイェル・ヤール王による砦として築かれたのが最初で、砦としてだけでなく、都市としての機能も形成された(島を囲むように丸太の柵が巡らされていた為に、「丸太の小島」と呼ばれるようになったが、これはスウェーデン語で「ストックホルム」と言い、都市名もそれに倣って決定された)。ストックホルムの街は次第に拡大して行き、スウェーデンの有数の都市となり、ハンザ同盟においても重要な都市として発展していった。

2.モアナと伝説の海

リトル・マーメイド」「アラジン」のロン・クレメンツ&ジョン・マスカーが監督を務めた。2017年アカデミー賞アニメ分野で受賞。海を愛する美しい少女モアナが、島の危機を救うために冒険を繰り広げる。かつて世界を生んだ命の女神テ・フィティの心が、伝説の英雄と言われたマウイによって盗まれ、世界に闇が生まれた。それから1000年にわたり、モアナの生まれ育った島モトゥヌイでは、外洋に出ることが禁じられていた。そんなある時、島で作物や魚たちに異変が発生。海の不思議な力に選ばれた少女モアナは、いまもどこかで生きているマウイを探し出し、テ・フィティの心を元あった場所に戻すことができれば世界を救えると知り、父親の反対を押し切り大海原に旅立つ。マウイは上半身刺青タトゥーを彫った青年で、この刺青が踊ったりするのが斬新なアイデア。波と風、そのなかで疾走するカヌーが生き生きと描かれる。
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3.LaLalandララランド

2回目見たことになる。二度見ても飽きなかった。改めて、これはアメリカ版寅さん、男は辛いよストーリー。エマストーンはやはり凄い。今回の目的地はサンフランシスコだが、あのLAのバイタリティーと野心家の世界が懐かしい。ロスはあまり綺麗な町という印象はないが、グリフィス天文台やロスの美しいい夜景が懐かしい。ロスに住んだり行った方は必見。この前のエマストーン作品はアメージングスパイダーマン。スパイダーマンの恋人役を演じた。


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4.アメイジングスパイダーマン

スパイダーマンは結構好きな映画でよく見ている。荒唐無稽な筋書きのわりに出ている俳優がよい。今回もハクソーリッジのアンドリューガーフィールドと、Lalalandのエマストーンが主役で出ているので興味をもって見た。なかなか面白い設定で、IPS細胞などのバイオテクノロジーによって新しい生物のエネルギーが生まれる。蜘蛛の機能が乗り移ったパーカーとくそ真面目な博士がトカゲの再生機能とDNA取り込んでスーパートカゲになって暴れまわる設定が滑稽。スパイダーマンはいつも主役が高校生である。しかし、サム・ライミ監督が描いた第1弾の半額の約2億ドルにしかならず、全世界でもトータル興行成績は約7億ドル。映画会社としては期待はずれで次のシリーズはこのスタッフではない。スパイダーマンことピーター・パーカーを演じたアンドリュー・ガーフィールドと、ピーターの彼女であるグウェン・ステイシーを演じたエマ・ストーンが実生活でも交際し、本作の撮影がきっかけだったそう。しかし二人は2015年10月には既に破局していたとのこと。
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5.スターウォーズ エピソード4

オビ=ワンとルーク。ミレニアムファルコンの密輸船長であるハン・ソロと相棒のチューバッカと出会います。ダース・ベイダーに捕らわれたレイアは「反乱軍の本拠地を教えないと故郷の惑星オンデランドを破壊する」と脅迫を受けていた。そして、本拠地を教えたが、ダース・ベイダーは惑星オンデランドを破壊。故郷を破壊され絶望するレイア。ああ、これはエピソード4だが最初に見たスターウォーズであることを思い出した。
ハン・ソロの登場、レイア救出、ダース・ベイダーオビ=ワンの対決ハン・ソロ、ストームトルーパーとの撃ち合い、R2-D2はコンピューターを解析してレイアが監禁されている情報を得て、3POと救出に向かい、見事レイアを救出することに成功。最初のスターウォーズはこんな素朴な映画だった。その後、莫大な資金をかけた作品が続々と製作された。

レイアを救出したルークやハン・ソロはファルコンでデス・スターを脱出し反乱軍の秘密基地があるヤヴィン第4衛星に向かいます。デス・スターの設計図を解析し弱点を見つけることに成功。ルークは反乱軍のパイロットになってデス・スターを破壊すべく準備を進め、デス・スターの弱点を突いて勝利するストーリー。強力な武器を前に反乱軍はピンチに陥るが、ハン・ソロのファルコンが助けに、そしてみんなの協力でデス・スターを破壊することに成功、反乱軍が勝利を収める。懐かしい作品。レーア姫の女優、キャリーフィッシャーは咋年末お亡くなりになった。
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6.マリアンヌ

巨匠ロバートゼメキス監督作品。ブラッド・ピットの第二次大戦ものとしてフューリー以来だ。女優はマリオンコティヤール、エディトピアフ愛の讃歌でアカデミー賞を取っている。豪華配役だと言える。今年の2月に公開されていた。特にこの女優は堂々たる存在感。
第二次大戦中のモロッコ、カサブランカからストーリーは始まる。連合軍側の諜報員だったマリアンヌのコテイヤールは恋に落ちるが、彼女はかつてナチスのスパイであった。それを悟られず二人は恋に落ちる。恋愛サスペンスに仕上がっている。結構見ごたえがあった。ブラッド・ピットはフューリー、イングロリアスバスタードもそうだが第二次大戦ものになると輝きを増す。

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マリオンコテイヤール
大物女優


7.インフェルノ

トムハンクス主演の天使と悪魔に続く、イタリア観光サスペンスシリーズ。ロンハワード監督作品。ダ・ヴィンチコードもそうだったが、トムハンクスは大学教授。彼は突然倒れ、病院のICUに入るが、記憶喪失状態。婦人警官の格好をした殺し屋が襲ってくる。女性医者が彼を助け、彼女のアパートに逃げ込む。彼はダンテの神曲にある煉獄を描いたボッチチェリの絵に謎が隠されていることを彼女から知らされる。世界の人口を半分にする伝染病ウイルスを暴発させるテロを企てる陰謀を知り、WHOの係官が彼を追う。ウイルス爆弾はテロの首謀者が隠しておりそのヒントが絵の中にある。しかし、首謀は自殺しており、その謎解きはトムハンクス演じるダンテの研究者の教授の知識にかかっている。実は女性医者もテロリストの一味で爆弾の場所を探しており、爆発を防ぐために操作しているWHOを妨害し、予定通り爆弾が破裂するよう行動している。ところが、その情報をビジネスに使い、一攫千金を狙うグループも爆弾の在りかを探していた。殺し屋の女警官も彼らの仲間で、ストーリーは混乱する。
とにかく、フィレンツェの町とウフィツ宮殿美術館が戦いの舞台となる。世界遺産の美術館の天井裏でバトルが繰り広げられ、美術館の天井が破壊されるのにはびっくり。登場人物が錯綜し、誰が敵か味方か分からない。最後はコンスタンチノーブルの地下水道遺跡でのバトルがすべてを明らかにする。観光サスペンスアクションとなっている。ストーリーが二転三転するから、誰が善玉か分からなくなる。筋の運びに無理があるが、テンポの速い展開と、フィレンツェの観光スポットに気をとられ、最後は地下貯水池の遺跡の中での乱闘で危機は回避される。



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またもや、メル・ギブソンが監督し、HacsawRidgeという変な戦争映画が昨年公開された。you-tubeで一部を見ることができる。沖縄戦の史実、日本では前田高地の戦いという激戦で、今の浦添市での出来事である。アメリカ陸軍のDesmond T. Dossという衛生兵の物語である。彼は兵役につくが、銃を射つことをキリスト教の信念に基づき拒否し、幾多の弾圧にめげず、衛生兵として従軍、沖縄戦で決死の活躍を見せ、70人以上の負傷兵を救った。その功績でアメリカの歴史で初めて名誉勲章を授与された。そのテーマは素晴らしいのだが、映画表現ともなると、メル・ギブソンの残虐趣味がいかんなく発揮され、実に酷い映画となった。この映画の製作意図は一体なんだろうと思わせる。日本公開は6月だそうだ。沖縄戦の実態は鉄の暴風といった表現、ひめゆりの塔とか、悲惨な物語が多々あるが、アメリカ兵にとっても過酷な戦いであった。この戦いではアメリカ兵は300人以上の戦死者が出たが日本人は10倍であった。この映画では日本兵は残虐な攻撃者で、どんどん機関銃で撃ち殺される。日本兵はまるで、野蛮人のように凶暴である。日本軍は統率においては世界でも名だたる軍隊であったことは無視されている。沖縄戦の特徴は日本軍の巧妙な陣地構築による抵抗がメインで、米軍は日本兵の姿を見ることができないことも多かった。しかし、沖縄戦の現実は実はそのようなことよりも、一般人が軍人以上に殺されたことにある。この映画の舞台となった浦添では住民の半数が犠牲になった。組織的な集団投降もあったが、米軍高官が狙撃されたりすると、住民の虐殺、投降兵の処刑なども行われ、絵で描いたような戦場ではなかった。映画パシフィックではその実態が描かれていた。アメリカは国土が近代戦の戦場になっていない。彼らにとって戦場は外国であり、スポーツのような勝ち負けの世界だ。戦死した兵士のみが過酷さを味わうような表現になるが、実態は一般の人々の恐怖や苦しみ、悲しみは大きく、そこは伝わってこない。商業化されたアメリカ映画の限界かもしれない。
沖縄戦の過酷な状況に関しては、日本の映画界も描くべきではあるが、アメリカの物量、大規模な攻撃の様子が再現できない。お金がかかりすぎるし、彼らの装備なども時代考証がうまくできない 。近年、パシフィックや、硫黄島からの手紙など、アメリカ側から映像が制作されている。これらにおいても、アメリカ軍も必死に戦った。前田高地は嘉数高地の戦いの後4月26日から行われた。嘉数ではアメリカ軍の戦車は30両のうち22両が破壊された。日本軍の反斜面陣地が機能した。しかし、日本軍はこの戦いで兵力の半分を消耗させて結局敗北することになった。日本軍は牛島司令官の下に「典型的なおバカ帝国陸軍軍人」の長勇中将という参謀が前近代的な戦法で突撃を主張して戦力を失い自滅したが、その後、司令官は八原大佐というアメリカにも留学した見識ある参謀の意見を取り上げて持久戦に転じアメリカに大損害を与えた。反斜面陣地の概念図
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映画では今回のハックソーリッジもそうで、日本ではどうしても制作できないのが戦闘シーンなのである。アメリカ側からの日本軍はおバカな突撃をする姿しか映像化されない。東宝映画激動の昭和史シリーズ「沖縄決戦」が1971年に公開されている。日本は中国戦線に関しても映画は少ない。こうしたことが、日本の社会における戦争への反省のつまずきになっているとしたら残念なことである。沖縄では摩文仁の丘が観光地になり、その悲惨さを伝えているが、アメリカとは前田高地から嘉数、シュガーローフ、首里攻防戦が最も激戦であった。日本軍は犠牲は多かったがよく戦った。米国側は1万2520人。何千人もの米兵が戦後もPTSDで苦しんだ。ヨーロッパ戦線では見られない規模であった。日本側はその15倍、18万8136人が亡くなったとみられている。このうち沖縄県出身以外の日本兵は6万5908人。沖縄県出身の軍人・軍属は2万8228人。一般の住民は9万4千人。沖縄県民全体では12万2千人以上、県民の4人に1人が亡くなったといわれている。沖縄戦が終了後、アメリカ兵に強姦された女性は1万人ともいわれ、戦後も沖縄の苦難は続いた。日本映画は沖縄の悲劇の一部しか伝えていない。アメリカは総司令官のバックナー中将も戦死した。日本の牛島司令官も自決したが、両軍の司令官が戦死するという厳しい戦場だった。多くの戦死者、特攻被害を考えると本土決戦でどれだけの被害が出るか恐怖し、原爆の使用に踏み切ったことも現実であった。太平洋戦争において日本軍の近代戦に関する誤りから損害が大きかったこと、沖縄においても多くの作戦の誤りから、必ずしも物量の問題だけではない。結果的には県民の25%を失ったことを考えない歴史認識は誤りである。日本が悲劇の主人公であったわけではないことを国民は知らされていない。
日本側の記録として外間守善氏の「私の沖縄戦記ー前田高地 60年目の証言」を読むことをお薦め致します。

私の沖縄戦記 前田高地・六十年目の証言 (角川ソフィア文庫) 文庫 – 2012/4/25


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大ヒットとなった「ラ・ラ・ランド」を新宿東宝シネマズで見た。アカデミー賞も6部門受賞した。安心して見れるし、ミュージカルということで、明るいストーリーと思い、上映ギリギリの予告編も終わったころ、滑り込みでかなり前4列目の席で観ることになった。この映画を一緒に観た人は、 「恋人・気になる異性」と「夫婦」が調査では多く、デートムービーとしての位置づけを獲得している。 脚本・監督はデミアン・チャゼル。主演のミア役エマ・ストーンはアカデミー主演女優賞、セバスチャン役ライアンゴズリンが好演技で素晴らしい作品となった。音楽もピアノのバラードからジャズ、ポップス、ミュジカル音楽と多彩で素敵な作品だった。30年前に何度か行ったLA.ハリウッドの風景、夜景などが思い出深く美しい。ドラマはとことん2人の関係を軸に展開するが、実は多くの脇役が良い味を出している。ライアンゴズリンがすごいのはピアノ演奏は代役なし、エマストーンはダンスも上手い。彼女はミュージカル、キャバレーでも主役になった経験がある。彼をクビにするレストランんのマネージャーなども味のある名優だ。
ハリウッドスターの演技力は大したもの。この作品ロスの風景などと合わせ様々なメタファーが隠されている。グリフィス天文台はジェームスディーンの理由なき反抗の名場面に登場した。2度観る価値もある程奥行きが深い。ミュージカルの部分は2人の夢を描いたものだ。
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昔見たシェルブールの雨傘に似た結末だが、見てのお楽しみだから、印象だけを語ろう。ハリウッド作品の恋愛ドラマとしては渋い演出。高速道路での出会いから始まる恋の予感。渋滞の車列の中で群舞が繰り広げられる。一体どうやって撮影したのか、一時フリーウエイを封鎖して撮影。流石!ハリウッド。冒頭のシーンでこの映画はミュージカルですよと宣言。

映画女優志願のミアはピアニストのセバスチャンと恋をし、それぞれの俳優とミュージシャンという生きる道への理解を深める、将来は2人でジャズライブバーを開くことを夢見る。しかし、セバスチャンは人気ジャズバンドのピアニストとして巡業の日々。とうとうミアは我慢がならず、オーディションに失敗した後故郷のコロラド州ボルダーに帰ってしまう。ところが、最後のチャンスだったオーディションに成功、女優の道を歩む。必ずしも美人とは言えない彼女が、オーデジションに落ち続けるシーンから成功への道に進むにつれ輝きを増してゆく。エマストーンの演技力が光る。
ここから先は意外な展開、ネタバレになるので書かないが、結局女は待てないのだ。あのフランス映画の名作、シェルブールの雨傘もそうだった。昔はイプセンのペールギュントの物語にあるように女性はひたすらまつ。
夢見る男ペールは純情な女ソルヴェイと恋に落ちるが、彼女を待たせたまま放浪の旅に出る。それは19世紀のお話で、今時の女は待ってくれない。自分の道を歩む現代女性の淡い恋の物語。男は寂しい。男はつらいよ!セバスチャンは何だか寅さんにも重なるが、例えがわるい、ムードが壊れるか!
この映画には様々な人生訓もある。成功のためには何かを捨てなければならない。恋愛と仕事、自己主張と妥協、そしてハリウッド万歳と言いたい作品である。
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新築なった東宝シネマズ



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you-tubeでいくつかのポーランドとロシアの映画を見た。最初はアメリカのハリウッド映画だがThe Rebel Sonユル・ブリンナー主演の映画『隊長ブーリバ」、次は
イェジ・ホフマン(英語版)監督の映画『火と剣とをもって』(1999年)
Bortko監督の映画『タラス・ブーリバ (2009年映画)タラスブーリバはゴーゴリ、火と剣はクオバデスを書いたシェンキービッチの名作である。
ウクライナコサックとポーランドの猛烈な抗争が描かれている。今の時代になぜだろうかという思いもあったが、歴史的背景を調べてみた。これらは1648年から9年間続いたフメリニツキの乱を描いたものであることが分かった。当時、ポーランドリトアニアはヨーロッパ最強の国だった。ドイツは30年戦争後の荒廃、イギリスは清教徒革命、フランスはスペインとの戦争に明け暮れヨーロッパ全体に影響する余裕はなかった。一方オスマントルコ帝国はイスタンブールを攻略し、ヨーロッパに進攻し、ウイーンは2度にわたり包囲攻撃されカトリック勢力を支えたのがポーランドであった。フメリニキの乱はプレウスラブ条約によって一段落し、ロシアの庇護を受け得たコサックが自分の領土と国を確保した東欧の中世からの転換点となり、急速にポーランドが衰退する契機となったのである。シェンキェヴィチの三部作『トリロギア(Trylogia)』の第一作目『火と剣とをもって(Ogniem i mieczem)』(1884年の作品)がこの『ファイアー・アンド・ソード(With Fire and Sword)』(シェンキェヴィチの作品ではこの『トリロギア』の方がポーランドでは知られている)
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映画の方は、1999年に上映されたもので、日本でDVDになったのは2005年。これは地中海世界を中心に我々の世代は世界史の教育を受けたために見失いがちだが、現代の世界の動きを見るために不可欠な視点であろう。コサックの長フメリニツキはヨーロッパの大学で学び、5ヵ国を話すインテリでコサックの尊敬を集めていた指導者であり、これらの映画でも登場し、歴史を知らない自分はドラマの中でも一体誰なのか分からなかった。この映画の主演女優はイザベルスコルプコといって007ゴールデンアイに出ている。ポーランド人であり美人女優である。左が007での写真で右が現在で44才にしてこれだけの美を保持している。
この映画はDVDでは3割以上もカットされ、ただでさえ複雑な歴史物語なのが、単なる恋愛映画で終わってしまい、なぜ戦争になっているのか、主人公が対決しているのかさっぱりわからないまま縮小され、とんでもない映画になってしまっている。元の作品も、戦闘シーンや歴史的背景がポーランド人ならよく知っている話なのだろうが予備知識のないわれわれには理解しがたい。今回いろいろ調べてみてやっとわかった次第。
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第二次ウィーン包囲は、16世紀後半以来徐々にではあるが衰退していたオスマン帝国のヨーロッパにおける軍事的優位を決定的に崩す事件となった。第二次ウィーン包囲がオスマン帝国の衰退を決定付けたとみる評価がオスマン帝国史の叙述においては通説となっている。1689年第二次ウィーン包囲からカルロヴィッツ条約に至る16年間の戦争によってオスマン帝国の版図はバルカン半島および東ヨーロッパにおいて大幅に後退し、オーストリアとロシアがこの方面における覇権を握るきっかけを作った。
近年ポーランドやルーマニアなど旧ソ連支配だった東欧の国々が自国の歴史を偉大な国だったことを国民に訴え愛国心を喚起しようと熱心に歴史映画を製作している。ロシアもテレビドラマも含め、独ソ戦のドラマを流している。この意図を考えると、ロシアのプーチン大統領がかつてのソ連の復旧を目指し、それを警戒する周辺諸国の反応とみ見ることもできる。トランプ大統領の国家エゴとも見える言動がマスコミに取り沙汰されるが、既にロシアを中心に周辺国に広がっている。ロシアファースト、ポーランドファーストだ。フメリニツキはポーランドでは侵略者だが、ロシアでは同盟を結んだ英雄で彼の名前を冠した勲章もある。
かつてクリミヤ戦争はロシアの南下政策からエルサレムを支配したオスマントルコへの攻撃を牽制した英仏の中東権益の確保が原因と言われたが、実態は第一次世界大戦にもつながる複雑な背景があった。プーチン大統領は核攻撃を仄めかすなど不穏な地域である。今日のロシアのクリミヤやウクライナ紛争が大きな戦争の引き金にならないことを祈るばかりだ。
これもポーランド、イタリア合作の英題the day of seige別題,Vienna、
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日本題では神聖ローマ帝国運命の日オスマントルコ帝国の進撃という長ったらしい邦題。1683年9月11日に起きた、オスマントルコによるウィーン包囲を題材にした歴史ドラマ。ヨーロッパ侵攻の足掛かりとしてウィーンを囲んだオスマン軍をめぐる戦いの行方を活写していく。『アマデウス』のF・マーレイ・エイブラハムらが出演。壮大な合戦描写に加え、細部まで再現された17世紀の美術にも目を奪われる。オスマン帝国の大宰相カラ・ムスタファは、30万もの兵を率いてウィーンを包囲する。1万5,000の兵力しか持たず、オイゲン公の槍騎兵(そうきへい)などの援軍を含めても5万足らずにしかならないウィーンは窮地に立たされる。そんな中、奇跡の修道士として人々の圧倒的支持を集めるマルコ・タヴィアーノ(F・マーレイ・エイブラハム)と4万の兵を連れたポーランド王ヤン3世ソビェスキ(イエジー・スコリモフスキ)がウィーンに進撃しこの町を救う。これもポーランドとカトリックの愛国映画。
ポーランドとオスマン帝国の戦闘を描いた映画がポーランドというカトリック王国で作られている。イタリアではカトリックは死に体だが、ポーランドではしっかり生きて自己主張をこんなところでしている。ISとの対決姿勢ともとれる映画だが。Husaria(ポーランドの重装槍騎兵)という映画では物凄い攻城戦が描かれる。これらはロシアの周辺国として双方が国民を鼓舞している。不気味な風潮である。シリアの次はポーランドとバルト三國、ウクライナといった旧ソ連の支配下にあった国々と旧ソ連の権益復活を狙うプーチンの野心を支えるロシアの介入が悲惨な結果にならぬよう祈るばかりだ。
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「この世界の片隅に」は「君の名は」に続き大ヒットとなった。映画館に直接行くと切符が売り切れていることが多く、正月期間は無理かと思ったが、息子からネット予約を進められたのでチャレンジし、テアトル新宿16時15分で予約がとれた。80%以上がネット予約を取っているのではないかと思われた。午前中にも関わらず90%は席が埋まっていたからだ。
アニメとはいえ、完成度の高い映画だと思った。俳優を使わない分、精密な絵の
作業が合理化できる。作者の意図に忠実な表現がアニメの制約を越えて出来ている。最近の粗製乱造の、演技がシロオトの人気俳優よりも微妙な味が出る。ギャラの負担やスケジューリングのロスからも解放され、その分画像の丁寧な描写に力を注げる。また、クラウドファンデングで資金調達し、画像も市民の意見も取り入れている。黒沢明にはできない技である。
この作品では広島から呉に嫁いだ女性の戦争中の体験が描かれる。日々の生活を懸命に生きる彼女がたった一つ生きがいにしていた絵を描くという幸せを戦争が奪っていく。そして、彼女の大切な家族も。軍事基地のあった。呉の空襲は都会では無かった艦載機の攻撃が多かったという。そのことも良く時代考証されている。広島の原爆によって父や妹も奪われ、実家の家庭が崩壊していく。戦争が描く残酷な日常がたんたんと描かれる。直接の被害の描写はないが、被爆した人々の姿が生々しい。実写では表現できない姿が見える。日常は暗い時代や世界にあっても家族の愛や笑い、心の交流があり、それらが随所に描かれる。下関から出戻りの義姉とその一人娘との交流がほほえましく描かれる。戦争はそうした関係をも奪っていく。
こうの史代の漫画作品を映像化したもの。片渕須直監督の力量とスタッフの努力に脱帽である。シンゴジラ、君の名はも、この作品も、日本人の原体験である敗戦、軍備のない丸腰の国になった恐怖、時おり訪れる自然災害などの島国日本の平和な日常が壊されることへの恐れを観客に思い起こさせている。/font>

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新年のテレビ番組ののつまらないことこの上無しで、映画にいくことにした。今年の新年は映画でスタート。新宿バルト9でスターウォーズーローグワンを見た。戦闘シーンや宇宙の映像、惑星の惑星風景など、これまでの最高峰ではないかと思った。このシリーズ、SFXや、宇宙での戦闘シーンが中心であるだけに、主人公以外のキャラクターはボケる。ハンソロを演じたハリソンフォード、オビワンケノービー役のアレックギネス、ナタリーポートマン、リーアムニーソン等は存在感が大きかったが、次から次へと毎年製作されるせいか、印象に残る俳優が少ない。やはり、ダースベーダーとか、R2ーD2Cー3PO、チューバッカー、ヨーダといった宇宙キャラクターが印象にのこって、他の俳優が記憶に残らない。帝国軍は独裁的な専制主義、同盟軍はデモクラシーで、西欧的なカルチャーなのだろうか。帝国軍は男社会で、同盟軍は多民族、女性リーダもいる。ローグワンも主人公は女性である。これは一体何を意味しているのだろうか。ローグワンはまるでシリアの反体制勢力のようでもある。この作品では新しい元帝国軍のドロイドが登場。帝国軍は最新科学を駆使して宇宙を支配したいらしい。惑星破壊兵器デススターをめぐり、その設計図データを奪取しようと女性戦闘員ジン・アーソとドロイドK2ーSOが新鮮な雰囲気を出していた。ネタバレだが、最後にレイア姫が登場し、設計データを受けとるシーンがあった。このレーア姫役のキャリーフィッシャーさん昨年の12月27日に心臓発作で60歳で亡くなったとのこと。これもびっくりであった。
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新宿三丁目のバルト9で久しぶりに映画を見た。今評判の君の名はだ。正直なところ、あまり感動しなかった。だいたい、人類の住む街に彗星が落下したり、隕石で町が壊滅した歴史は無い。少なくとも日本には無い。口噛み酒なる風習は沖縄にはあるが、本州には無い。人間の意識の遠隔入れ替わりもあり得ない。こんな出鱈目をよくもまあ描いたものだ。とはいえ、このアニメの東京や地方の自然の描き方は素晴らしい。そこに引き込まれ、まんまと騙される。その意味においては大した成功である。日本は原爆や大地震といった日常が一瞬にして破壊される経験をした。シンゴジラもそうだが、我々は日常の平和と美しい国土に潜んだ危機感を持つ。描かれる平和な都市、通勤電車や田舎の祭りがそれゆえに美しい。
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観客の入りは満員であった。珍しい現象だ。昔の大ヒットドラマ「君の名は」と同じ題名、昔のドラマは佐田啓治と岸恵子が演じた。65年も経つとこんな物語に転じるというより、全く違うドラマであるが、男女の出会いの物語という点で同じである。男女の縁というのは、何か、偶然が重なり、出会い、あたかも宿命的な関係のように見える場合がある。この物語でも、組みひもを織るという仕事を主人公が祖母から習っていた。この紐が出会いを暗示し、あたかも意味があるように見えてくるが、全体の筋とはあまり関係がないのではないか。高山に隕石とか彗星の落下した遺構はないのだが。彗星の落下という前代未聞の災害が、ある高校生の男女に過去と未来を駆け抜け、意識の入れ替わりが東京と飛騨の小さな町の女学生との間に起きる。時空を超えた関係が物語の流れを混乱させ、不思議な体験に観客を引き込むのである。そういえば、昔の君の名はも、真知子と春樹は東京大空襲の夜に出会い、再会を誓った。
町の山奥にある祠、神社も美しく描かれているが、口噛み酒などというのは日本ではもう消滅している。巫女が行った儀式ではあるだろうが、いかにも現代でも行われている奇習のように描かれえいるのは違和感がある。日本の古代と、夢を通じての意識の交換という空想をモチーフにしているところで十分ではないだろうか。
このアニメでは、東京の新宿や四谷、麻布界隈がとても美しく描かれている。また、飛騨の山並みや小さな町の姿が、日本のどこにでもありそうな風景として、NHKの日本紀行という番組をほうふつとさせる。最近のヒットアニメ、「この世界の片隅」でも同様の郷愁を感じるのである。
「君の名は。」は、原作、脚本ともに新海誠監督による劇場用アニメ、今年8月26日に公開され、学生を中心に大ヒットした。われわれ日本人は広島の原爆、そして東日本大震災や空襲の恐怖を、また最近でも津波を記憶として共有していることが心を打つのである。シンゴジラもそうだが、理不尽な災害とか戦争で肉親や友達を失う悲劇を多くの人々が体験している。そうしたわれわれの心に響く物語であり、ここがヒットの理由ではないか。特に、3.11を体験した若者にはこの記憶が心に沈殿している。記憶を呼び戻しているのである。
東京風景がこれほど印象的だったか、四谷周辺がよく出てくるが、中央線だろうか、電車が出会いの重要なファクターである。最後に主人公の三葉が立花と出合う場所は見覚えのある市ヶ谷の坂道ではないかと思ったが、これは四谷の須賀神社だそうだ。1000年ぶりという彗星の接近が1カ月後に迫ったある日、山深い田舎町に暮らす女子高生の宮水三葉は、自分が東京の男子高校生になった夢を見る。日頃から田舎の小さな町に窮屈し、都会に憧れを抱いていた三葉は、夢の中で都会を満喫する。この東京の美しさは地方の人のイメージではないか。都会の人間には喧噪としか映らない。一方、東京で暮らす男子高校生の立花瀧も、行ったこともない山奥の町で自分が女子高生になっている夢を見ていた。立花のバイトしているイタリアンは新宿御苑のラボエームという店のようだ。高校は新宿高校のようでもある。
四谷の須賀神社といい見慣れた風景が郷愁をそそる。
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ラボエームの外観
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実際にはこのようには見えないが、素敵な東京風景

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ルーマニアの歴史ドラマ映画は物凄い。Mircer ミルシアproud heritage1989年
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、Blad公(Blad the Inparer1979年ドラキュラ公真実の生涯)、
e0195345_23444027.jpgt: 1.2; color: rgb(0, 112, 0);">英雄ミハイMichael the Brave(MihaiViteazal1970)。
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吸血鬼ドラキュラのモデルとなったルーマニアの英雄ブラド串刺し公ドラキュラの肖像と映画Blad the Inparerのシーン
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これらの作品は社会主義政権時代のもの。
e0195345_23341358.jpgheight:1.2;color:#007000;">ルーマニアは体操王国だった。オリンピックで、コマネチは過去最高の10点満点という偉業を達成した。かつて、チャウシェスクが独裁者として君臨したが、革命で銃殺されたり、東欧社会主義国家の崩壊の始まりだった。そんなことしか、記憶にはなかったが。最近、you-tubeでルーマニア映画の幾つかを見ることができる。この国民は映画大好きで、最近もベルリン映画祭金熊賞や、カンヌ映画祭の賞を取っている。ルーマニアでは多分、国民は皆知っている英雄の物語がある。日本でいえば楠正成、黒田官兵衛、真田幸村といった武将達である。ルーマニアではオスマントルコ帝国との戦いがテーマである。3つの作品を見たが、いずれも字幕が無い。だから、ストーリーはよく分からない。しかし、戦闘シーンだけでも見る価値がある。社会主義国で人件費が安い成果。またヒマな軍隊を動員した戦争ゴッコだからか、凄い迫力なのである。旧ソ連の戦争と平和のボロジノの決戦シーンは10万人のエキストラを使って、本当の戦闘を再現した。ナチスドイツの宣伝映画、コルベルグもナポレオンのフランス軍に包囲され、それに耐えた町の話。大戦末期のナチスドイツのあがきのような作品。これは、ゲッベルスが、東部戦線から1944年に18万人の兵力を引き抜こうとした。実際はエキストラとしてドイツ国防軍から数千人の兵士、千頭の軍馬が協力し、戦線崩壊を招いたとも言われている。社会主義国の映画は大量動員を得意としたものが多い。その凄さに驚く。ルーマニアはそこまではいかないが、3つの作品はいずれも馬が多くでてくる。平原を疾走する騎馬を見るだけでも目の保養だ。12世紀中世から、17世紀近世までだか、既に刀や槍だけではなく、大砲や鉄砲も使われ、やたら賑やかである。もう一つ凄いのが、2007年ロシア映画、TarasBulbaだ。隊長ブーリバ(アメリカ映画のリメイク)で、原作者ゴーゴリ生誕200年を記念して製作された。アメリカ製はユルブリンナー主演、トニーカーチス、クリスチーヌカウフマンという俳優陣で、疾走するコサックが、超迫力だったが、原作の半分。それを意識してか、ロシア製はゴーリキー原作に忠実で全編だが、後半のシーンは物凄い残虐シーンがあり、後味がわるかった。プーチン時代を象徴しているのかもしれない。


ルーマニア
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最近はアメリカ製のゴジラばかりで寂しい限りだったが、久々のゴジラ。素晴らしいできだった。本来のゴジラは放射能汚染の恐怖がテーマで、恐竜や超大型生物がテーマではなかった。今回は原点に戻った作品となった。ゴジラは超能力の神がかった存在で、街を破壊し、人類に警鐘を鳴らす。東京湾で白昼突然出現したゴジラが、京浜地帯に上陸したが、そのゴジラときたら、まだ幼生なのである。再上陸で巨大化して、大暴れし、レーザービームで、最終兵器や、巨大ビルを破壊する。なぜ東京に行きたがるかは不明。破壊のシーンのCGがすごい。津波の映像で災害の実態を知っている日本人には悪夢を思い起こさせる。目の肥えた観客にも納得のいくCGだった。見覚えのある京浜や川崎の破壊される様子がリアルで見応えも充分だった最初のゴジラも、戦後間もなく10年も経っていなかったから、空襲の恐怖とゴジラが重なったものだった。
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日本はこの5年間、大震災や原発事故という未曾有の事件に見舞われ、政府の対応が問われた。政治家の影に、閣僚以下、官僚達の混乱や対応があったが、それらはあまり語られていない。実際はもっと緻密なものだろうが、防衛のための自衛隊出動や武器使用にいたる判断には課題と法律行為がある。対応をめぐり、彼らの混乱や苦悩、えげつなさも描かれている。余貴美が小池や稲田を連想させる女性防衛大臣を演じ、総理大臣に決断をせまる。このシーンはなかなかドラマチックで法律論もリアル。第1作でも当時日本には貴重な戦車やロケット砲が登場した。子供心にあのような武器があったら戦争に負けなかったのに、ゴジラには通じなかった。今回も、10式戦車やF2戦闘機、アメリカのステルス爆撃機が登場し、ゴジラのレーザービームに一蹴される。
この映画の残念な部分はアメリカとの関係が日本が被害者であるかのように描かれたこと。なぜ、ゴジラを退治するために、東京を核攻撃しようとするのか、あまりにも乱暴な筋書きではないか。東日本大震災の時には被災者、住民の支援や基地の設営に米軍は大きな貢献をしたのだから、もっと好意的に描くべきだった。日本の映画人の国際感覚を疑う。アメリカ特使役の女優(石原さとみ)
の下手くそな英語と甘っちょろい風貌が全くちぐはぐで安っぽく、難点だった。







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 バックトゥザフューチャーⅠを久しぶりに見た。過去2回は見ているが、今回意外と忘れている部分もあって、懐かしかった。1985年のスピルバーグ制作作品だ。監督はゼメキス。この時代、アメリカがレーガン政権二期目を迎え、自信を取り戻しつつあった。この2作目は未来の2015年に行くのだが、この時代がもう来てしまった。昨年30周年、そこで、昨年主演のマイケルJフォックスがアメリカのテレビに登場し、何とか生きている姿を見せてくれた。彼は、パーキンソン病にかかり、この10年以上世に出てこなかった。テレビドラマなどに復帰しており、また、マイケルJフォックス財団を設立してパーキンソン病対策支援活動を行なっている。病を克服している姿を見せてくれたとはいえ、完璧にではなかったが。この病気は脳のドーパミンが不足し、手足の震えや麻痺を起こす厄介な病気で、未だに治療が難しい。進行は遅らせることが多少できるようになった。30年間、世界はあまり進歩していないのではないか。ベルリンの壁崩壊は1989年でソ連は崩壊したが、ロシアのプーチン政権は時代に逆行し、アラブの春は混迷を続けている。この映画でもテロリストはアラブ人だ。多分、リビアのテロリスト、アラファトやパレスチナゲリラを意識している。
 1985年から30年前の1955年にタイムマシーン、デロリアン号で戻るドラマである。町の発明家、クリストファーロイド演じたドクことブラウン博士とマイケル演じるマーティ・マクフライの掛け合いが絶妙である。1955年は父親ジョージマクフライ、母ロレインが結婚のきっかけを得た年であったが、ふとした事から若きロレインはマーティに恋をしてしまった。このままでは父と母が結婚せずマーティが生まれなかったことになってしまい、存在が消滅してしまう。ドラエモンのいじめっ子ジャイアンのようなビフが好演している。この映画では父マクフライはSF作家として大成功し、ビフはこの家のお手伝いをする身分になっている。彼の復讐が次のパート2を騒がせてくれる。タイムマシーンデロリアン号に乗って30年前の高校生時代の父親と母親に出会うという筋書き。現在との整合性がスリルを生み、1955年当時の古き良きアメリカがノスタルジーをそそる。これはあのレーガン大統領が俳優として活躍していた時代でもある。
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デロリアン号


親父は何とも頼りなく、自分の母親をデートに誘えない。これが成立しないと自分が生まれないわけだから、マーティは苦心惨憺。ドラエモンのジャイアンのようないじめっ子と仲間が立ちふさがる。アメリカ人の日常が面白おかしく描かれる。1989年にはベルリンの壁が崩壊し、この年、バックトゥーザフューチャーⅡが公開される。この映画は2億ドル、240億円を稼いだ。近未来からさらにⅢでは西部開拓時代に戻り、ヒヤヒヤドキドキの大活劇となる。2001年の9.11前、アメリカが一人勝ちになった時代だ。この作品がスピルバーグのかなり初期の作品であることを改めて思い起こした。1985年というのは日航機の御巣鷹山墜落事件や、夏目雅子が亡くなった年、我が息子、聡一郎が1歳になった年ではないか。思い起こすと懐かしい。日本もバブル崩壊を前に元気が良かった。

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