エイリアン プロメテウス

 我々人類はどこから来てどこに行くのか、リドリースコットの大きな問題意識である。この壮大なテーマを映画で表現すると、エイリアン、ブレードランナーといった彼の作品につながる。エイリアンプロメテウスはあのスペースホラー映画エイリアンにそのようなテーマを結びつけた作品であるが、テーマが大きいために、見事につまらない作品になっている。1979年の第1作エイリアンに登場するギーガーがデザインした宇宙船や怪しいインテリアデザインがふんだんに表現されており、見ものである。リドリースコットのような巨匠は大きな資金で制作できる。しかし、資金回収も要求される。だから、その分、時間の制約や見せ場など、編集が観客を集められるかどうかという、別の視点からなされて、監督の伝えたい部分に制約が生じる。この作品も説明不足な箇所が多い。興行的には成功した。
 エイリアンが何故生まれたのか、人類を生んだ別の人類が、地球を滅ぼすために送り込もうとした新生物が登場するのだが、まるで、幼生は蛭で、それが成長するとほとんどタコではないか。このあたりが、全く失望である。エイリアンのすざまじい攻撃力と昆虫のようなグロテスクな姿にはつながらない。欧米人はタコとか、イカのような日本人が寿司種にするような生き物に恐怖を感じるようだが、タコに我々はさほど驚かない。


異星人の宇宙船内部
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宇宙人の船が撃墜される。
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 2ヶ月前に放映されたエイリアンコヴェナントを見たが、あのエイリアンが一体何でこんな形で登場するのかが分からなかった。人類より古い異星の「人類」が登場して滅亡する姿が描かれた。これが一体何を意味するのかが分からなかったが、この作品で説明されている。

 前日譚となったプロメテウスであるが、2012年、このプロメテウスの謎とエイリアンの成長を描いたのがエイリアンコヴェナントであるから、これを見ないと映画はおもしろくない。

 ストーリは大きなテーマを重ねすぎていて、説明不足だが、ホノグラムや宇宙服などデザインは素晴らしい。サイボーグのデヴィッドが何とも不可解な行動に出る。人間に忠実だが、彼を支配しているのが彼を作った社長であったり、彼が最後は異星人のエンジニアに頭をちぎられても、脳機能を失わないなど、かなり飛躍もある。このファスベンダー演じるディビッドなるサイボーグが曲者で、次のコヴェナントにも登場する。エイリアンは最後に登場するが、異星人エンジニアとタコ風の生物の合体なのかよく分からない。死んだとされた社長は突然現れ、結局異星人に殴り殺される。なんだか、内田裕也にそっくり、また、病原菌のような液体の実態もよく分からないまま、乗組員がやたら殺されていく。異星人の宇宙船がプロメテウス号の特攻によって破壊されるが、このあたりも船長の死を賭した決断が安易に表現されている。これだけのデザインや異星の姿を背景に持ちながら、勿体無い作品である。

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by katoujun2549 | 2017-10-20 08:34 | 映画 | Comments(0)