ソビエト連邦の成功と失敗 スターリンの側近モロトフ ソ連=党が所有した国家

ソ連 党が所有した国家 下斗米伸夫著

鉄のカーテンに閉ざされた共産主義体制の牙城ソ連の誕生から崩壊までの政治史教科書といって良い。グラスノスチにより情報公開され、ソ連の実態が明らかになった。ロシア革命は「内戦、階級闘争が逆に巨大な官僚制を作り、そのにないてになることに何の問題も感じていなかった。いな、国家の巨大化を通じて「国家の解体」と社会主義の勝利が可能であるという背理を内包していた。党は自ら組織化し、官僚制となり、その担い手を粛清した上で大衆党と化した。226p」その中でモロトフを軸にその栄枯盛衰を語っている。ソ連の出来事は新聞で断片的な情報しかなかった。ペレストロイカによってその全貌がわかってきた。第二次世界大戦でロシアの戦死者は軍人で800万人、ソ連時代に政治要因によって処断された1150万人は公式数字である。国民全体では2750万人である。
追放移送、食料の没収によって餓死や死亡した国民は1000万人は下らない。スターリン死亡時に収容所には250万人が拘束されていた。その政策のほとんどに関係していたモロトフを軸にソ連の歴史を語っている。我々の世代は資本主義国家アメリカと対立したソ連を教条的にしか学んでいない。ロシア革命は労働者の革命だったのか、1925年時点で工場労働者は191万人と人口の1%しかいなかった。ソ連は農業国だった。ボルシェビキも、SLも農地の解放を訴え、共産党は軍備のため農民の穀物を輸出のために取り上げ、何百万人もの餓死者を出した。平等な社会を標榜し、特権階級ノーメンクラトゥーラを生んだ。物資の適正配分の仕組み、ゴスプランが機能していないのに市場経済を批判した。ロケットや宇宙開発、軍備は収容所列島の強制労働によって実現出来た。そのような仕組みはどこかで行き詰まる。自壊したのも当然であった。この書ではスターリン以降も政策の中核にいたモロトフを軸に、フルシュチョフの権力闘争、ブレジネフ、アンドロポフ、チェルネンコ、そしてゴルバチョフの政策を概観できるよう丁寧に書かれている。

ーザリ・カガノーヴィチロシア語: Лазарь Моисеевич Каганович1893年11月22日 - 1991年7月25日)は、ソビエト連邦政治家官僚ウクライナ共産党第一書記、ソビエト連邦運輸人民委員ロシア語版(運輸大臣)を歴任した。また、ヨシフ・スターリンの側近を務めていた。

ヴャチェスラフ・モロトフロシア語: Вячеслав Михайлович Молотов1890 - 1986年)は、ソビエト連邦政治家革命家。ソビエト連邦首相、外相。第二次世界大戦前後の時代を通じてヨシフ・スターリンの片腕としてソ連の外交を主導した。「モロトフ」はペンネームであった。
この2人はソビエト国家=共産党の独裁体制をスターリンと共に半世紀にわたり支えた官僚である。
ロシア革命はレーニンとスターリンによって地獄と化した。NEPと農業政策の強引な推進によって飢餓が生じた。革命時の民主的な統治や自治、組合運動は共産党一党独裁の中央集権に反する、反革命、労働者の敵とされた。革命の始まりだったクロンシュタット水兵と労働者1万5千人が殺害された。レーニンが始めた赤色テロは恐怖政治の始まりでチェカー、GPU、KGBといった秘密警察が逮捕監禁処刑を推進した。歴代の秘密警察長官は皆粛清された。輸出のための穀物調達は略奪と化した。これにより農村は数百万人の餓死者を出す。こうした施策はスターリンとその取り巻きによって実行された。その首謀者がこの2人であり、彼らはソ連崩壊直前まで生き延び、天寿を全うした。
世界はソ連で粛清によって大量殺戮が行われていることは知っていたが、その規模や過酷さはペレストロイカ後の情報公開まで知ることができなかった。ソ連の悲劇はスターリンだけではできなかった。多くの小悪魔達が仕出かしたこと。その筆頭であった2人は大量の犠牲者も革命と社会主義国家実現のため許容されるという考え方を死ぬまで捨てなかった。流石に中国共産党も日本の共産党もこうした事実は知っていたが、反スターリンの立場をとり、自らの社会主義思想を正当化していた。日本共産党の幹部の30人以上がソ連で処刑されている。野坂参三は共産党の最高幹部であったが、100才を越えて、実は日本公安のスパイであったことがソ連からの情報で明かになり除名された。こんな政党が今もなお国会や地方政治に関わっていること自体全く理解できない。彼らの人権抑圧体質は今もかわらない。彼らの社会主義が共産主義とともに破綻した考え方であることを今なお宗教のような理念として保持しているとしたら恐ろしいことである。彼らの理想とする社会は一見理想の国家、平等や人権が守られ、理にかなった統治が行われるかのように見せ、実際は秘密警察や軍隊、裏切り密告が横行する世界なのであるカルト集団のような体質を今なお持った政党がもっともらしく、時の政権に反対意見を述べ、便利なのでマスコミは流すが一体どういう了見だろうか。中国も北朝鮮も全体主義的中央集権統治であり、ナチス以上の国家犯罪を産み出す共産党、共産主義を許すわけにはいかない。




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by katoujun2549 | 2017-04-13 13:54 | 書評 | Comments(0)