橘玲著「言ってはいけないー残酷すぎる真実」

 この本は疑似科学、心理学、大脳生理学の集大成のような本ではないか。著者の橘 玲(たちばな あきら、1959年 - )は、日本の作家。本名は非公開。早稲田大学第一文学部卒業。元・宝島社の編集者であるが、遺伝学や優生学、遺伝学に詳しい。アメリカの実験心理学や人類学者の見解をつなげて、進化論、格差、犯罪、差別の必然性を唱えている。何も肯定しているわけではないが、現実を見よと見たくないものも見せつけられている。遺伝決定論と環境決定論の二つを組み合わせて、センセーショナルな結論を導いているのではないか。一種のアジテーションである。人間のDNAは石器時代から変化していないとか、本来人類は一夫多妻でもなく、一夫一妻せいでもなく、乱婚制だという人類学上の仮設を述べている。ドナルドトランプが聞いたら喜びそうな理論である。ナチスの優生学はそのルーツはアメリカにある。アメリカは結構露骨な人種差別の激しい国である。この本にも例として黒人やユダヤ人の話が出てくる。一卵性双生児を例に、遺伝的要素がいかに強いかを説く。そういえば、トランプは優秀な子どもを作るために、3回も結婚したのではないかと思わせるくらい、子供が優秀だ。美人は得だし、外見で人は判断する。教育でも、親が優秀なら勉強のできる子供は多い。そうした気安く口外しにくい現実をそれなりに理屈をつけ、それに反する事例はさておき偏見を裏付けた本ともいえる。
この本の論調はナチスの人種理論にもつながるのではないか。この歴史をどう考えるか。この反省に立って、遺伝学は封殺され、科学の指針も大きく変わった。まさに「言ってはいけない」独断偏見を根拠づけようとしたのではないか。

以下にナチスの行った悪行と、ヒトラーの予言についてご紹介したい。

ベルリン、ダーレムのカイザー・ヴィルヘルム協会人類学・優生学研究所所長のオトマール・フォン・フェアシュアーは、双子に関する研究を手広く行っていたが、戦争が始まると弟子のSS大尉、ヨーゼフ・メンゲレ博士をアウシュビッツに送り込んだ。彼はアウシュビッツの降車上に自ら赴いて、何千もの双子を集めてコレクションし、過酷な人体実験を行った。メンゲレは3000対の双子を人体実験にかけ生き残ったのは100名だけだった。ナチ的な曖昧な人種理論の証拠探しという側面もあった。人種が優れている、劣っているなどというのは、今日においては疑似科学であることは誰も疑わない。何をもって「優れて」おり、何をもって「劣って」いるのかなど、そんな定義が歴史上存在したことは一度としてない。にもかかわらず、ナチはアーリア人が優秀で、ユダヤ人が劣等だと決めつけた。それは政治が勝手に言い始めたことで、これを裏付けるために科学が総動員された。ナチの医学者たちは血眼になってアーリア人が優秀で、それ以外がそれよりも劣るという「証拠」を見つけようとした。それは髪や瞳の色であったり、顎の形であったり、背の高さであったりした。
ス・ドイツの「優生思想」で、障害者や難病の患者は「安楽死計画」の犠牲になった。
1939年から1941年8月までに、約7万人の障害者が「生きるに値しない生命」として、抹殺された。
「安楽死計画」の事務所(中央本部)がベルリンのティアガルデン4番地の個人邸宅を接収して、そこに置かれたことから、この計画は暗号で「T4作戦」と呼ばれた。

●かつてアドルフ・ヒトラーは次のような発言(予言)をしたという。
「“2つの極”はますます進む。人類と社会のあらゆることが、未来には、両極端に分かれてしまう。
たとえばカネだ。一方には腐るほど大量のカネを持ち、広く高価な土地を持ち、労せずして限りなく肥っていく階級が現われる。だが少数の彼らが現われる一方、他方の極には、何をどうやっても絶対に浮かび上がれない連中も現われるのだ。それはカネだけの問題でもない。より正確にいえば、精神の問題だ。限りなく心が豊かになっていく精神の貴族、精神の新しい中産階級が現われる半面、支配者が笑えと言えば笑い、戦えといえば戦う『無知の大衆』『新しい奴隷』も増えていくのだ。 〈中略〉  それは1989年だ。そのころ実験は完成する。人間は完全に2つに分かれる。そこから引き返せなくなる。」
「……人類は、完全に2つに分かれる。天と地のように、2つに分かれた進化の方向を、それぞれ進みはじめる。一方は限りなく神に近いものへ、他方は限りなく機械的生物に近いものへ。これが2039年の人類だ。その先もずっと人類はこの状態を続ける。そしておそらく2089年から2999年にかけて、完全な神々と完全な機械的生物だけの世界が出来上がる。地上には機械的生物の群れが住み、神々がそれを宇宙から支配するようになるのだ。」この予言が当たらないように人類は行動しなければならない。


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by katoujun2549 | 2016-11-14 15:24 | 書評 | Comments(0)