ジムトンプソン失踪事件を推理する 今だから解明できる
上段;キャメロンハイランドの茶畑 下段;ジムトンプソンが失踪した月光荘
1968年タイのシルク王と言われたジムトンプソンはマレーシアのキャメロンハイランド、タナラタの丘にある月光荘という別荘から忽然と姿を消した。日本ではニュースにならなかったが。彼はタイシルクのブランド化に成功し、西欧ではジムトンプソンブランドとして、ヴォーグ誌に取り上げられ、また、映画「王様と私」の衣装やデザインにも使われた。プリンストン大学を卒業後、第二次大戦中は諜報機関OSSに所属したが、この組織は戦後CIAになった。東南アジアの美術に造詣が深く、シルクビジネスの成功により大富豪になったことで有名だった。戦後もアメリカの東南アジアの情報通として諜報員との役割も続いていたと言われる。彼の失踪にはあらゆる事件を想定した大捜索が行われ、米軍も支援し、一民間人に対するものとしては異例で話題になった。それだけ彼はアメリカの重要人物であった。
今なおジムトンプソンのビジネスはタイ経済に貢献している。彼の屋敷は美術館として観光名所になっている。
戦争の影には諜報やゲリラの資金源として麻薬が結びつくことは歴史の常なのである。戦争においてむしろ麻薬は積極的に使われた。モルヒネは負傷兵の鎮痛剤
『ジム・トンプソン――失踪の謎』
1998年 ウィリアム・ウォレン著という書物も機会があれば、探して読んで見たい。
シルク王ジム・トンプソン失踪の謎解きに終止符? マレーシア共産党による殺害説
「熱い絹」「ジム・トンプソン失踪の謎」を読んで興味を持ち、こちらのブログにたどり着きました。
「CIA」による身内の関与という推理は、ウォレンも訳者の吉川勇一も触れることのないあっと言わせる発想で、正直驚きました。
ウォレンは、トンプソンがCIAに所属していたということさえ一笑に付していますし、
リチャード・ヌーンというトンプソンの友人は、「生きているにせよ、死んでいるにせよ、トンプソンはジャングルにはいない」と言い残して亡くなっています。
ウォレンの著書は、トンプソンの伝記的要素を下地に、彼の人生に置けるさまざまな背景を描いており、それだけでも一読に値しますし、吉川氏のひねりある文章も一気に読ませる力量のある訳となっています。
ぜひご一読されてください。
ありがとうございます。「ジム・トンプソン失踪の謎」は是非読みたいです。自分はジムトンプソンがCIAとは思いませんが、むしろその設立にも関わる当時の工作員の大先輩だったと思います。彼の養蚕事業や古美術の収集は当時の麻薬ビジネスとは相容れないものだった。背当時のベトナムやラオスの紛争と麻薬は結びついています。自分は麻薬のビジネスの陰には軍が利権を持つに違いないと思っています。今のアフガンも麻薬の産地です。中村博士の銃撃死事件も彼の真面目な灌漑事業は裏社会には邪魔だったのかもしれません。オピオイドは荒地でもよく、灌漑でまともな悪物ができるようになると裏社会は困るのです。
おっしゃる通り、彼はOSSの工作員として活躍し、抗日本対策としてタイへ潜入する1945年、セイロンを飛び立ったまさにその途中、日本が降伏したのでした。
政治的背景説(タイの中枢を知りすぎて消された)も、CIA説もある程度説得力はあるものの、著書の中ではこんな疑問が投げかけられています。
あの日、トンプソンがピクニックを共にした3人と、その後別行動をとるのがなぜ分かったのか?
ピクニックから帰ってリン夫妻とマンスコー夫人は午睡したのに対し、トンプソンはベランダで過ごすことを選択した。
拉致しようと狙っていた相手は、たまたま偶然にそんな好機に恵まれたのか??
そもそもマレーシア旅そのもが「行き当たりばったりの旅」で、計画的ではなかったと云われています。
katoujunさんご指摘の裏社会との利権問題というのも興味深いですが、いずれにしろ、誘拐説は、ここを説明できないと若干説得力に欠けるように思います。
では、ジャングル事故説か?
これも、アメリカ軍が加わってかなり徹底的に捜索したし、ジャングルを知り尽くすサカイ原住民も見ていないと明言、結局何ら痕跡は見つからなかった。
行方不明になって、未発見でも、何年かのち、ハイカーが偶然に服の切れ端とか見つけてもよさそうなのに、それもない。
61歳のトンプソンは、その少し前に事務所を移転させたり、写真集の出版も進めていたなど、相変わらず意欲的で元気、気力の衰えはなかったそうです。
一方、松本清張の「熱い絹」は「ジャングル密室」の背景を生かし、ピクニック写真をアリバイに使うなど、こちらの方はしっかり起承転結し、改めて清張の着眼の素晴らしさ、構成力に、何度読んでもワクワク感が止まらないです。
1967年からすでに53年、もうこの事件は解決しないのでしょうか。
彼の残したブランドが、今なお隆盛なだけにいつか真相が分からないかなと思います。
Amazonに今日、中古本を注文しました。4年前、自分はキャメロンハイランドの月光荘にいってみました。タナラタから車で10分ほどの人里離れた丘陵の上にありました。タクシーの運転手は場所を知っていましたがあまり人が来ないようでした。建物は侵入禁止になっていて、管理人の女性がいました。今は宿泊も可能だそうですが、行ってみてとても寂しい雰囲気で、霊能者なら何かを感じたかもしれない。勝手な推測ですがジムトンプソンの遺体は建物のどこかに埋められているような気がします。
ご返信有難うございます。
昨日本はAmazonから届き、今読んでます。立派な内容ですね。読後感は後日送らせていただきます。勝手な憶測ですが、ジムトンプソンは散歩から帰って来たところ誘拐され車で運ばれたと思います。リン夫妻は不思議な人物だと思います。3人のうち誰かが嘘をついていると思います。月光荘が昔ゲリラのアジトになっていて、何人も人が殺されていたとは知りませんでした。そんな家をよく買いますね?
毎日暑いですね。
楽しく読書を続けられてることと思います。
月光荘は、殺人のあったいわくつきの家で、戦争などの影響もあって安く手に入ったのでしょうね。
お盆休み、清張の方をまた読み直しました。何度読んでも面白いです。
やはり、トンプソンは「ジャングルで迷ったのではない」「自分の意思で、行方不明になったのでもない」と改めて強く感じます。
何がしかの陰謀に巻き込まれた可能性が大きいのではないかと。
その上で、長い年月が経っても関係者から何の情報も漏れて来ないのは、相当強固な組織が関与したのかとも推測されます。
それにしてもなぜ殺されなければならなかったのか。
OSS引退後(多少の繋がりはあっても)、20年もタイシルクと古美術という、自分の仕事と興味に邁進、貫徹した人がなぜ?
これだけの人物だけに、全うされた一生涯を見たかったと、つくづく残念に思います。
katoujunさんおっしゃるように、月光荘のどこかにひっそりと埋められているのかもしれませんね。