マレーシアの経済繁栄 と ロングスティ

 8月21日から、9月1日まで、マレーシアに剣道の指導と観光を兼ねた旅行に行きました。原油価格下落と世界経済の低迷から、2年前とは変わったかと思いきや、全く相変わらずの活気に溢れた街の様子に驚きました。町にはヨーロッパと中国の製品が溢れ、日本は自動車と回転寿司、うどん屋、100円ショップ、イオンなどの量販店で何とか存在感を保つ程度です。若者と人種の坩堝で沸き立つように見えます。ガソリンが40円/Lというのは日本の3分の1であり、LNGと石油資源に恵まれたこの国は経済活性化のため、石油輸入国でもある。原油安が必ずしも経済発展にそのままつながらない日本とは違い、消費国として経済循環している。かつて、マハティール大統領がルックイーストとして日本に学んだ結果、経済発展したが、その陰には産油国のメリットもあった。クアラルンプールは今もなお、猛烈な建設ラッシュである。そして、開発地には巨大なショッピングモールがあり、日本のイオンや伊勢丹なども進出し、多くの人々でにぎわっている。KLからジョホールバルまで、シンガポールまで2時間半で行ける高速鉄道を計画中で、新幹線の売り込みに日本政府は力を入れている。
 
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 この国は、プミプトラ政策で人種差別的な制度をあえて行い、多数派のマレーシア人を優遇し、多民族政策で中国人やインド人をコントロールし、彼らの権利を抑えることで、逆にエネルギーを増大している。強いもの、多数派を生かして弱者や底辺を底上げしている感じなのである。日本では、平等が良いことであるが、この国では不平等をてこに底あげしようというのだ。途方もない金持ちと底辺の移民労働者が、それなりに幸せに暮らせる社会、都市というのはこの国を盛り立てている。もちろん、国民に不満や、テロリストを生むような要素もあるだろう。しかし、治安警察によって押さえ込まれ、今はインドネシアやフィリピン、タイより社会の安定には成功しているように思えた。はっきり言って、プミプトラ政策で満足しているのはマレーシア人だけかもしれないが、その壁を乗り越える活力がこの国にはある。移民にしても、弱者保護に関しても規制緩和が必要である。我が国ほど平等社会にむけて社会制度が行き届いている国は先進国でも少ない。ルックイーストに成功したマレーシアに今度は学ぶ時期に来ているのではないか。消費と人種のるつぼが生み出すパワーに日本が構造改革に向けて学ばねばならない時かもしれない。
キャメロンハイランドのタナラタにあるヘリテージホテルの一角にある日本人ロングスティの多く住むコンドミニアム
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対日感情が良く、物価が安いし、食べ物も豊富、英語が通じるといった住みやすさから、ロングステイや永住権をMM2Hという制度を利用し、3000人以上の日本人がKL、ペナン、キャメロンハイランド、イポーなどに暮らしている。皆60歳以上のリタイヤしたご夫婦が中心である。しかし、旅行に来るのと居住するのでは大きな違いがある。英語力も必要だが、結局日本人同士で付き合うことになる。高齢者が多く、結局老人ホームにいるのと変わらない。かなりの日本食が揃うが、日本の米や酒は高い。治安は良い方だが、ひったくりやこそ泥は多く、日本人は狙われやすい。タクシーは乗る前に交渉しないとふっかけられる。シートベルトをしていないなど、警官に罰金をぼったくられるといった日本では考えられないことが起きる。ゴルフやトレッキングは楽しいが、山岳地帯に近ければ、虎やキングコブラ、ニシキヘビ、グリーンスネークなどの毒蛇、サソリ、巨大な蚊やそれが媒介するデング熱にも警戒が必要だ。特に危険なのが野良犬。狂犬病を持っているものがいる。日本では絶滅したが、世界では毎年5万人が犠牲になっている。海はランカウイなど綺麗なところもあるが、ペナンなどはたいしたことがない。マラッカとか、キャメロンハイランドも良いところだが、1週間もいたら飽きそうだ。日本の方が綺麗なところは沢山ある。問題は日本に残した資産を維持しながらだと、使わない住居の維持や税金など、トータルコストはかえって高くつくことだ。金持ちで日本に味わえない贅沢がしたければ良いところだが、ただ、安く生活するだけなら結局メリットは無い。ロングスティ派も、年に数回は日本に帰っているから、ご夫婦だと結構費用がかかる。昆虫採集や熱帯へのこだわりとか、余程の決心と、現地のマレーシア人と友達が多いという前向きな条件がなかったら、日本の田舎に住む方が気楽で良いような気がする。

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by katoujun2549 | 2016-09-06 16:17 | 国際政治 | Comments(0)