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いのち;前代未聞の重複障害者殺害事件に思う

 2016年7月26日未明、神奈川県相模原市にある障害者施設「津久井やまゆり園」で、入居している障害者が19人も刺殺され、20人以上が重軽傷という痛ましい事件が起きた。何と、犯人は元職員だった。犯行後、自首して逮捕されたが、この施設に約3年2ヶ月もの間勤めていた。さらに驚くべきなのは、犯人は偏執狂的なサイコパス、障害者が大嫌いで、「障害者は社会的に不要な存在だから死ぬべきだ」というナチスのような思想をもち、重度の重複障害者を狙っての犯行であった。被害者は身体障害が重度で、身動きや会話もままならない、介助なしでは生きてゆけない人々である。重複障害は、厚労省の定義では、視覚、聴覚、平衡機能、音声、言語、咀嚼機能、肢体不自由、内部障害、知的障害、知能障害のうち2つ以上を抱えていることである。

 このような障害を幾つも抱えると、日常生活で自立できない場合が多い。寝たきりになったり、植物状態に近い方もいる。まるで、体がその人の命の監獄のようになってしまう場合もある。ALSなどの病気もそうであるが、先天的な場合はさらに深刻である。今回、犯人は苦難にある人を殺害したのである。こうした人々を支える仕事は高い倫理観、使命感がなければ従事できない。なぜ、今回の犯人のような人物を採用したのか。人材不足という事情もあったのだろう。

 重度の重複障害を家族に抱えると、そのご家庭は大変である。しかし、一方では、家族全員が障害者を支え、団結することも多い。障害者が家族の絆を強めている。そうなると、体が不自由なことと反対に障害者は魂の塊として、周辺に命の信号を送る存在となる。障害者こそ世の光であるという言葉もそこから生まれたのである。被害者の家族はやむなく、彼らを施設に入所させているのであって、家族から切り離されているわけではなく、愛情を持って支えられている。いくら金持ちになっても、高学歴でも、愛の無い家庭よりは障害者を抱えたご家庭は幸せということもある。犯人は家庭の幸せを踏みにじった。このことを無視して、殺害に及んだ犯人の罪は重い。この事件はヒトラーやISのテロにも通じることである。人間のいのちを軽んじているという点では共通なのである。

 



by katoujun2549 | 2016-07-30 01:34 | Comments(0)