人気ブログランキング | 話題のタグを見る

学校剣道の限界から始まる自分の剣道 教えられた基本から発展した基本

面打ちの指導
学校剣道では集団指導が基本である。だから、個別の進歩の度合いに応じた指導が難しい。個人指導をどこまで受けたか、また、一人稽古で、どこまで基本を身につけたかで大きな差が生まれる。一流の選手は必ず、人より早く道場に来て、一人稽古をするか、自宅などで工夫して、道場で実行し、試行錯誤している。
初心者に対して、先は竹刀の握り方、構え、気合、足捌き、そして面打ちの基本を教えるが、それぞれに関しては極めて奥が深く、剣道を学ぶ全てにおいて高段になっても意識し、工夫を要することである。あらゆる状況においてこの基本どおりに体が働けば理想である。先は竹刀の握り方においては両手の親指と人差し指がV字型になり、付け根のラインが一直線になるように握るのだが、面を打った時に両手が茶巾絞りになるように手の向きを内側に絞ることが正しい面の打ち方である。手の内がギュッと締まり、竹刀の先にパワーが伝わって行かねばならない。その為には竹刀を握る手を柔らかく竹刀の柄を浮かせるぐらいにしておかねば打った瞬間に締まらない。これを覚えるまでに、素振りを何千回と振るわけである。ところが 、面の素振りが出来るようになり、防具を着用すると、籠手の重みと手袋の圧力で、これが思うように出来ない。初段から二段になるくらいになってやっと籠手をつけて正しい面打ちが出来るようになる。しかし、いかに相手より早く、刃筋正しく、遠くから打てるかということになると、何段になっても大きな課題である。特に、高段になるにつれて、年齢も上がり、体力、筋力が衰えてくると、これまでのような筋肉に記憶させただけでは思うように動かない。また、足の捌きなども上手く連携しなければ正しい面打ちにならず、かえって、変な癖がついてしまって、見ても美しくなくなる。
学校剣道の限界から始まる自分の剣道 教えられた基本から発展した基本_e0195345_11555029.jpg
持田範士十段の構え
学校剣道の限界から始まる自分の剣道 教えられた基本から発展した基本_e0195345_11565487.jpg
高野佐三郎師の構え

構えの構成要素と延長線
学校剣道の限界から始まる自分の剣道 教えられた基本から発展した基本_e0195345_1158273.jpg
学校剣道の限界から始まる自分の剣道 教えられた基本から発展した基本_e0195345_1159188.jpg


日本剣道形では剣先は相手の目の位置につけるということだが、自分は身長が無いので大きな相手には喉元につけないと構えが上がって打たれやすい気がする。自分の身長、脚力なども考慮して決めることで決まりきったことでは無いと思う。
剣先を下げると突きを食らうリスクが大きい。

構えは剣道において重要な要素であるが、この教え方については、恩師中倉先生は、左手の拳を中心に、竹刀を構えの形で握り、臍の当たりからスーッと前に出し、相手の目に延長戦が当たるように構えるのが正眼の構えと教えられた。千葉仁先生は逆で、面を打った形から、剣先と左手を臍から一握り離した形で、剣先を相手の喉元から目につける形と教えてくださった。脇もきちんと締めておかねばならない。これを学んだのは大学卒業後5段になってからだ。それまでは体で覚えろという一点で何とかやってきた。当初は、初心者の時に、左手は臍の位置から拳一つ空け、相手の喉元に竹刀の延長が付く形としか教えられなかった。また、構えた時の姿勢、重心の置き方なども合わせて、本来きめ細かく指導すべきであるが、集団的に初心者を教える場合、そこまで行き届いた説明は出来ない。防具をつけて立ち会った時など、疲れるとその形が崩れてくる。故今井三郎先生などは、地稽古の最中も相手に手の甲が横になっているからもっと内側に手首を入れてとか、地稽古中に声を出しながら故人指導された。これこそ指導だと思い感銘した記憶もある。面うちにおいても、ただ薪割りのように振りかぶって打ちおろすのは刀の使い方としても間違いである。
 居合いをされる方でも、竹刀の基本素振りのように振りかぶって打つ動作をする方がいるが、実際刀を使って切る時はただ打ち下ろすのではなく、左拳を前に出し、手の内を使って切り下ろさないと切れない。よく、円形線ということを聞くが、日本刀はよく切れるのでそのような形を作らずとも切れるのだそうだ。問題は手の内である。竹刀の場合も左腰を前に出し、左拳を連携して押し出す動作を意識し、右手の力も使って竹刀を絞り込む。右手は前に突き出して竹刀を握る。
手の内の冴えの効いた一本がこれで可能となる。左腰が前に出ることで少なくとも10cmは距離が稼げる。よく居合をされている方に見受けられる大振りの面であるが、これが手の内を効かせ、左手を伸ばす。同時に右の手を前に出して握りを締めて成功である。足の裁きも合わせて、右足を前に出すときは当然左足に体重が掛かるし、左に重心があれば打ち込む機会である。間合いに入る時にどう構え、相手に悟られないかなど、課題は多い。その相手の動きにも左右されるが、観察力も重要である。相手と接触する竹刀の感触、目の動き、手元の動きなど、注意点は多数ある。この足腰と連動した面をうつことを今七段となった自分が稽古の最中で、これが出来れば一応完成形と考えている。面打ち一つにしても、稽古者の身長、体力、年齢などに応じてベースが変わるので、指導の場合はきめ細かく注意しなければいけないのだと思う。

by katoujun2549 | 2015-12-22 11:45 | 武道・剣道 | Comments(0)