沖縄の不都合な真実 新潮新書 大久保潤 篠原章

1.辺野古埋め立て

 沖縄の米軍海兵隊普天間基地が世界有数の危険な基地だとか、辺野古移転を県知事が公有水面埋め立て認可取り消しで工事を差し止め、政府と訴訟に入っていることは断片的にニュースで取り上げられ、沖縄に同情的な報道が多いが、真実は何か、語られない事が多すぎる。沖縄タイムスがいかに偏向しているか、デモや集会の参加人数等もデタラメな主催者の発表を真実であるかのように報道する。沖縄の人に聞くと、移転に反対している人は少なく、辺野古で反対活動しているのは皆本土から来ている人達だという話も聞いた事がある。米軍基地のおかげで沖縄の地主に入る借地料は900億円。莫大な金額で、これも本土の人たちの税金負担。翁長知事があれだけ裁判に訴え。国に抵抗する理由は何かだ。常識的には辺野古に移転しなければ普天間は返換されない。この反対運動を沖縄の有権者は支持したかのように見える。どうも、もっと複雑な事情があるという。ただ、米軍基地の縮小閉鎖というわけにはいかない事は、近年の中国の尖閣諸島等の動きを見ても明らかだ。米軍は尖閣諸島に関しては安保条約の範囲内だと見解を出している。もっとも、攻撃されてもアメリカは軍を差し向けないだろう。それは過去において、何度か中国の漁船が100隻以上も尖閣諸島に出て来たり、巡視船が漁船に体当たりされてトラブルになっても、米軍は微動だにしていない事からも分かる。では全く意味がないかというとそんな事はない。翁長知事はどう考えているのだろう。彼は那覇市長から仲居間氏を抑えて、辺野古反対を唱えて当選した。でも、彼を支持した人は辺野古反対派だけではない。仲居真県政に失望した人々である。仲井真氏は、毎年3000億円の振興支援を政府に今後10年間約束させた功績があるにもかかわらず再選されなかった。それは翁長氏が仲井真と組んで辺野古移転承認の取引で勝ち取ったものである。ここに翁長氏は金脈を見つけ、仲井真氏と選挙で争って勝った。今の政治家に共通していることだが、単なるポピュリズムなのではないか。


2.沖縄の不都合な真実 翁長知事の不可解な行動

 翁長知事は9月に国連で政府は沖縄の主権を踏みにじり、人権侵害を行なっていると訴えた。彼は普天間移転に関して、国の辺野古埋め立て許認可を無効として、工事の中止を求め、司法に訴えている。国が取り消しを撤回する代執行を求めた裁判の最初の弁論が行われた。彼は沖縄に基地が置かれている経緯から、分かりきった事をくどくど説明しているようで、何か、裁判を使ってPRしたいのでしょうか。到底勝ち目の無い事だが、彼の狙いは一体なんだろうか。この訴訟に敗訴する事で、彼の選挙における反対の活動に終止符を打ち、その責任を追及されれば辞任し、参議院選挙に出て活動しようという事だろうか。あるいは、居座れれば、那覇空港拡張や、仲井眞前知事が獲得した3,000億円の政府の沖縄振興支援金のおこぼれに預かろうという二股で行動しているのだろうか。とにかく、彼からは沖縄の負担軽減の事は聞こえるが、今になって、何故普天間辺野古移転に反対するのかよく理由がわからない。米軍基地の過重負担は、戦後70年たったいまも、国土面積の0・6%しかない沖縄県に73・8%の米軍専用施設が集中している現状が物語る。沖縄と本土の極端な不均衡は何も改善されていない。このことは、ニュースステーションなどのキャスターがそうだそうだ、改善は当然だと宣うが、実は米軍基地の83%は本土にあり、騒音や住宅街に近接していることからは厚木や横田だってそうだ。しばしば普天間の基地に隣接した小学校が引き合いにされるが、戦後23年経って宜野湾市が基地の真横に小学校を建て、迷惑しているのは米軍だ。移転すべきは小学校ではないのか。東京だって横田基地がある。国の首都の中に米軍基地がある国なんて世界で日本だけである。沖縄の米軍からの収入は全体の5%だと言うが本当だろうか。しかし、今回の辺野古の交渉過程で、毎年3000億円もの予算が国から出て、辺野古の工事費だけで5000億円が使われることが計算に入っているのだろうか。沖縄の負担というが、これまで莫大な国家予算を沖縄には投下して来たわが国、イコール国民の税金なのである。合計10兆円を優に超えており、もはや沖縄振興予算は沖縄にとって一つの産業といっても過言ではないです。

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国が借金大王になった原因の一つでもある。根拠を示してもらいたい。少なくとも、自主財源が25%しかない沖縄、県民所得は全国46位、失業(全国1位)と自殺(全国5位)が多い県、沖縄を米軍基地なしに生きて行けるのだろうか。知事はそこに取り組まなければならないのに、暇人のように既に決まった辺野古移転をひっくり返して支持を得ようとしている。沖縄のGDPは3.7兆円で、半分が民間、36%が政府支出である。一般消費と観光、土木工事で9000億円を占める特異な経済構造である。畑にならないような土地が殆どで地主にとって米軍基地の借地料900億円は殆どコストのかからない純利益みたいなものである。

 翁長知事が言うように「米軍施政権下と何ら変わりない」のであるなら、彼は本当はそうなった方が得だと思っていて、米軍と実は繋がっているのだろうと思いたくなる。


3.本音は何か

 米軍の本音はあんな辺野古みたいな海の上に行きたく無い。できれば今のまま固定化した方が楽で、日米の約束が果たせない事を逆に批判していればいい。アメリカと日本が他の事で交渉するたびに日本の喉に刺さった骨のごとく不利な状況になるのは日本政府だけである。

 扇長知事の裏には、沖縄の基地を固定化したいアメリカの意図があるのではないかと思うほどである。政府と沖縄が対立する事でアメリカは全く損をしない。沖縄が地上戦で大きな犠牲を払った事は皆知っている。しかし、広島・長崎はどうなんだ、東京だって大空襲で10万人が死んだ。沖縄特攻で日本の若者が3,000人以上も命を落とした事を沖縄だけの負担と言うのはあまりにも歴史を知らない独善ではないか。朝日新聞やテレビは6月の沖縄戦終結の記念日のニュースを流しても、安倍首相の姿や追悼は放映しても、それっきりで沖縄の真実は語らない。特に沖縄の利権構造は全く報道されない。この本では仲井眞前知事も、翁長知事もそうした利権構造の裏の面を持っていることが分かる。沖縄で本当に政治が機能してその福祉にあずかりたい人々は実際は政府の支援の恩恵にあずかっていないという現実を著者は示している。その張本人は、沖縄支援の補助で利権の恩恵にあずかる沖縄県の公務員、土建業者、地主、教員、マスコミなのである。この沖縄の利権構造と補助金で成り立っている県財政、やたら沖縄の美しい海を埋め立てようとしている沖縄県側の実態など、我々は聞いて驚く事ばかりである。


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by katoujun2549 | 2015-12-09 12:04 | 書評 | Comments(0)