なぜ安部政権は安保法案成立を急いだか

 
なぜ安部政権は集団的自衛権容認を急いだか

1.安保法成立後の与党の対応

 アベノミックスは第3の矢が打てない。アメリカの利上げでドルがアメリカに還流するとさらに円安になり、エネルギーや輸入原料、食料コストが上がり、今の安部政権を支えている大手企業の業績向上と株高の構図は成り立たなくなる。当面の原油安がどこまで続くかは分からないが、今の経済はそのお陰で何とか失速していない。これが上昇し始めたときが利上げの引き金だろう。しかし、アメリカとイランの和解が進めば、イラン原油が大量に市場に出てくる。このインパクトは大きく、長期的には原油は70ドル/BL以下に安定する。経済は戦争によっても潤うが、平和によって得るものは人間の命と富である。どちらが良いかは自明である。今回の違憲行動は野党の攻撃ターゲットとして参議院選挙までセクハラを受けた女の復讐のように、非難を受け、国会においては廃止法案が、さらに実施においては裁判に持ち込まれ、延々と公判が続けられる。恐らくこのことくらいは予測しているだろう。今の政権には相当な悪がいて知恵を絞っている。第3の矢はイノベーションや産業構造の転換による経済の再生であるが、容易ではない。何年もかかるし、今の教育制度ではイノベーションを起こす人材は生まれない。消費税2%増の期日も迫り、参議院選挙は来年の夏である。既に決まっている近い政治スケジュールが見えないわけが無い。いやその為に急いでいる。前回の参議院選挙で回避したように来年の参議院選挙では防衛問題は論点にしないように画策するはず。

2.国民の関心を安保からそらす

 アメリカは大統領選挙、そして、TPPが決着する。経済問題や消費税延期を種にはぐらかしにかかるに違いない。そして、いんちきな景気回復が図られる。集団的自衛権に関する法律は、外務省や防衛省の官僚が周到に計算し、勉強を重ねて作ったはずだ。現政権は憲法の改正をせずに、解釈を閣議決定で行い、法案を成立させようと言う手法を考案した。首相ブレーンの中にはナチスのやり口をまねようとする輩がいる。ナチスは全ての権限を総統に集中させ、議会を無力化した。そして、このとんでもない仕組みを国民はいつかなれてしまい、問題点を忘却するというヒトラーの「わが闘争」に書かれた手口を今回使おうとしている。そんなにうまくいくはずはないのだが。しかし、国民は経済がうまくいけば批判は収まるということもドイツではあったのだ。その仕組みの一つがベルリンオリンピックだった。2020年東京オリンピックは与党にとって重要な祭典である。来年、リオが終わればさあ東京だと大騒ぎ。これで官僚どもの作戦は軌道に乗る。

3.経済再生は軍事費から
 
 その主な狙いは立派な軍隊に成長した自衛隊の活用、そして、安部政権が1年前手がけた武器輸出3原則の緩和の実行である。経済の再生の切り札はこれである。アメリカと共同作戦を行なうには、アメリカが日本に合わせるわけが無い防衛資材、武器などの手直しである。特に電子機器とか装備品の共通化は急務だ。これによる波及効果は大きい。産業界は期待している。来年度の防衛予算も過去最高で、今回でこれは確定したようなもの。さらに経済界の期待も大きく、彼らの殆どが充分議論をしてもらいたいとか言っているが、結論は先に出ていて賛成なのである。景気のカンフル剤、いや覚醒剤として、早速この分野が水を得た魚のようになるだろう。来年度予算でも、防衛費は拡大の一方だが、これで予算は満額通るのだろう。予定の行動だ。南スーダンに派遣した自衛隊の駆けつけ警護に関する施行規則は早速作成される。安部の国会での事例説明にあったホルムズ海峡の機雷除去とか、半島有事の米韓による日本人婦女子を乗せた船の警護などは故意にありえない事例を出して、国会を紛糾させ、審議時間稼ぎをするための作戦だろう。

4.アメリカと歩調を合わせれば政権安泰

 何も失うことの無いアメリカは大喜びだ。いつの間にか、こうした防衛装備の一元管理のための防衛装備庁が10月1日から発足。ずいぶん手回しの良いことではないか。安部政権も安泰。憲法違反を訴訟にかけてきても、最高裁判決はいつ出るか分からない。そんなところは彼らは当然読み込み済み。悪賢い連中だ。普天間はのどに刺さった骨のごとく、痛い部分だが、いずれ、沖縄県知事は民生が疎かになり、政府の支援もなくなるから県職員からの支持を失う。失点があった時に攻撃すればそれで済む。とにかく、アメリカに逆らわないこと。これが日本の安全を脅かそうとも、政権安泰で自民党多数が維持できればよいという姿勢なのである。そんなにうまくいくのだろうか。国民は馬鹿なのだろうか。

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by katoujun2549 | 2015-09-19 09:59 | 国際政治 | Comments(0)