ISIL(イスラム国)の実態について:複雑怪奇

1.複雑怪奇なISILを取り巻く情勢
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 今、イスラム国、ISILの拡大が問題になっている。実はこうした対テロ有志連合のISIL爆撃が有効に働いているかのごとき報道とは裏腹に、逆にアメリカなどが一方では支援しているという情報もある。これは奇怪な話である。実はアメリカはシリアを攻撃したいがロシアがこれを認めない。そこで、シリアのアサド政権打倒の為にISILを使っている。そして、最もISILに勇敢に戦っているクルド族に対しては支援もするが、ISILとの戦いで共倒れとなる事も狙っているのではないか。トルコなどはクルドの独立運動に頭を痛めており、ISILに加わる若者はトルコ経由で流入し、それを見て見ぬ振りをしているのではないかという疑惑もある。イラクのキルキークには最大の油田があるが、ここはクルドの部族自治エリアであり、クルド人が独立でもすると、この利権構造がとんでもない形になってしまう。エクソンなど大手石油資本はここから石油を買っておりアメリカも都合が悪い。イラクは当然、絶対に認めない。また、イスラエルが実は重要な役割を果たしている。アメリカの影でユダヤ人は政治経済に影響力を持っているが、彼らの支援するイスラエルの安全はシリアの弱体化で確保される。シリアは中東戦争における不倶戴天の敵。シリアはゴラン高原からはエルサレムまで一気に攻め上れる距離にあるからだ。中東戦争の重要な拠点であり、シリアの混乱はイスラエルの安全を意味するのである。また、ガザ地区のハマスを支援するイランも大敵で、このイランはスンニーのISILを嫌って、シーア派のイランは空爆に参加している。イスラエルに取って対イランにおいてもISILは重要な戦力なのである。だから、アメリカがシリアのISILを空爆するが、イラクのISILに支援物資を送っているという疑惑も生じている。とにかくこの地は連衡合従で、まるで春秋戦国の入り組んだ勢力関係になっていて、池上彰さんの解説のように分かりやすく説明し難い。この辺りを最も冷徹に情報を集めて分析できるのはイスラエルのみであろう。

2.若者がISILに流れて行くのは止められるのだろうか

 ISILにヨーロッパから若者が流れて行く原因が、失業問題とか、宗教対立やフセインイラクの崩壊などで説明されるが、実は原因はきわめて複雑で、どれも当てはまるが、それらはすべてではない。先進諸国も悩んでいる、実は国民国家という統治機構の限界に生じた諸問題の縮図であり、国内問題ならまだしも、外交、国際問題となると手が打てない。この悩みに、解決策は無い。むしろ、アジア諸国のほうが国家統治においてはうまくいっているのではないだろうか。アメリカ式を世界に押し付けた結果だという反省がアメリカに必要である。この混乱の原因は東西対立終焉後のアメリカの政策でもある。ウクライナやグルジアも同種の外交政策の結果ではないだろうか。
 今後、非人道的な支配が誰の手によって制御されるのか、先が見えない。アメリカも、ヨーロッパも対テロという点では一致するが、中国やロシアの民族問題が同時的に起きている状況では、先進諸国の足並みが軍事的にはそろわない。若者がイスラム国に走る原因は失業とか、貧困に原因があるというが、失業や貧困がなくなるわけは無いので、答えになっていない。宗教対立も、物質文明に対する疎外感など、解決できるわけが無いことで説明されても納得できないし何の役にも立たない。海外から流入する若者は、むしろ、9.11の時のように、中流層、富裕層も含めた若者であり、知識層も入っている。そうした分類では説明が出来ない。オウム事件のときもそうだったことを思い出すべきである。ということは、解決策はISILのような組織は生き残れないし、これに共鳴する人物も同様であることを世界の常識として示すことしかない。要は絶滅政策しか道は無いということだ。その手は軍事だけではなく兵糧を断つ事もあるだろう。
他国からISILに加わる若者は騙されているとはいえ、身の危険を承知である事は確かだし、これに加わる事はこれまでの社会にあっては自殺と同じである。自殺を無くす事が出来ない以上そうした場にこの武装集団が機能しない事が唯一の方策である。今日、NHKの土曜週刊ニュース番組、深読みでも取り上げられていたが、あの番組は深読みになっていない。明るい無辜な小野文惠アナウンサーがおとぼけぶりを発揮し、NHK好みの、お馬鹿な老人ホーム向け大衆迎合ムードを作っている。いつも出演キャスターに迎合したり、大衆的な純情意見を述べて反論されて喜ぶ。素人のど自慢じゃーないぞ。真面目にやれってんだ。ファンの方には申しわけ無いが、突然脱線してすみません。

3.中東の風土と日本の差

 申命記2:32~35
シホンは、われわれを迎え撃つため全軍を率いて出撃し、ヤハツで戦った。しかし、われわれの神ヤハウエが、かれをわれわれの前に渡したので、われわれはその子ら、その全軍を打ち破った。われわれはそのとき、その全ての町々を攻め取り、どの町も、男も、女も子供らもすべて聖絶し尽くし、誰も残さなかった。家畜だけをわれわれの分捕り品とし、われわれが攻め取った町々を戦利品とした。

 モーセが出エジプト後にカナンの諸都市を攻略した様子が描かれている旧約聖書申命記の一部である。このような記述が多くあり、当時の都市の攻略は文字通り理解すると絶滅戦だったようである。必ずしも、全員殺害したかどうかは聖絶という文字からは必ずしもそうではないという説もある。しかし、基本的には旧約聖書における他民族への戦いは奴隷に取る場合もあっただろうが絶滅戦であった。これは島国で他民族に支配された経験の少ない日本人には理解しにくいことである。確かに、70年前戦争に負け、アメリカに支配されたままではあるが、東西冷戦のお陰で、何とか日本の独立は守られ、国土も分断されなかった。窮屈ではあるが、この島国日本は有難い国だ。日本は戦後、アメリカが天皇制を形を変えて残すというマッカーサーの名統治のお陰で今日あるのです。カオスにならずに済んだ。平和ボケ万歳。font>
 



(注)1.山尾氏のブログ引用

イラクにおいては、国家機構の再建、政治制度の形成、そして民主化が、何の区別もなく同時進行で行われた。その結果、多様な利害を持つ政治勢力が、自らの権利を拡大しようと競合を始め、民主主義の理念からは乖離した形で民主制度を運用するようになった。言うまでもなく、国家機構が確立していないので、こうした「勝手な」制度運用を矯正することはままならなかった。国家機構が破壊され、再建段階にある国で、民主化は成功しないのである。

したがって、アメリカによるイラクの民主主義が失敗した要因は、「民主化を国家機構の建設と同時に進めたこと」に求められる。

このように論じてくると、失敗したのはあまりにも当たり前のことのようにみえる。だが、アメリカの覇権が続く現在に生きる私たちは、この当たり前のことが、当たり前に理解できなくなってしまっている。

不安要素はまだある。イラクの場合、莫大な地下資源があるため、課税の必要性がそこまで高くない。したがって、課税権力を行使できる中央集権的な国家機構を再建するために、政治アクターがわざわざ妥協を繰り返すインセンティヴが低くなる、という点である。

このことは次のように説明するとわかりやすい。旧バアス党政権は、少なくとも理念的には社会主義国家であり、権威主義体制を維持するためにも、過度に中央集権的で肥大化した官僚機構や軍・警察が必要であったことは上述の通りである。だが、イラクは今、「民主主義」国家になった。正統性が曖昧な政権を維持するためだけの巨大な国家機構は必要なくなった。課税の必要がなければ、なおさらである。その結果、国家機構を再建し、福祉などの行政サービスを提供していこうという動きが加速されにくくなる。国家機構が再建できなければ、民主化は定着しないし、福祉などの行政サービスが提供できなければ、国民の不満が蓄積する。イラク政府は、合従連衡による勢力均衡によってのみ、秩序を維持していく他なくなるのかもしれない。

幸か不幸か、課税権力と暴力を集中的に管理する近代国家を先に作り、その後で徐々に民主化していくというモデルは、20世紀後半には既に現実には成立しなくなっていた。アメリカの覇権が続く限り、イラクのようにまず「民主化」し、国内の勢力の均衡によってのみ秩序を維持していくという事例が増えていく可能性も否めない。

こうなれば、外部介入者としてのアメリカができることは、ほとんどない。国家建設も、その後の民主化も、イラク人自身が進めていくしかないのだ。それにしても、アメリカは、民主化支援の失敗が生んだ惨事の被害に対して、どのように責任を取るつもりなのだろうか。

2.WEB情報


以下コピー  欧米の新聞は、アメリカ主導の有志連合が、中東で「イスラム国」 ISIS/IS/ISILと戦っているという報道で日々満載なので、この最新のいわゆる‘対ISIS戦争’の欺まん的性格を更に実証することが重要だ。欧米が生み出し、イラク軍とレバノン政府の一部も、大きく関与しているこの集団と、シリア代理戦争が始まって以来、戦っている主力は、シリア軍とヒズボラとイラン革命防衛隊だ。
国際テロに対する戦いと、反政府集団と積極的に戦っている勢力への支援への、ロシアの姿勢はゆるぎなく、ロシア特殊部隊が、シリア国内で、積極的に対テロ作戦を遂行していると推測する報道もいくつかある。ロシア外務大臣セルゲイ・ラブロフは、対ISIS有志連合の支持を繰り返し表明したが、その有志連合とは、国連安全保障理事会によって承認され、国際法にのっとったもののことだ。こうした部隊とは、戦っていると主張している集団に資金を提供し続けている、ISISに対する姿勢が二枚舌の、アメリカが率いる有志連合ではなく、本当にISISと戦っている組織のことだ。
“アメリカと、いわゆる反ISIL有志連合は、このテロリストや犯罪集団に対して作戦を遂行していると主張しているが、ジャラウラ地区(イラク、ディヤーラー県の町)に、兵器、食糧や医薬品を供給している。これは有志連合とアメリカの主張”の欺まんをはっきりと示していると、イラン国軍副参謀長、マスード・ジャザエリ准将は、ファルス・ニュースに語った。イラン自身、2014年12月、アメリカ主導の有志連合の枠外で、ISIS拠点に対して空爆を行ったと報じられているが、これは欧米が資金提供している反政府派と戦うというイランの一貫した政策を裏付けるものだ。2011年以来、アル-アサド政権が、欧米が支援するテロ集団と戦っており、シリア政府戦闘機も、長年ISIS拠点を爆撃している。

バグダッド・アメリカ大使館 - ISIS司令基地
イランのバシジ(志願兵)軍司令官のモハマド・レザ・ナクディ准将は、バグダッドのアメリカ大使館が、ISIS司令基地であり、アメリカは依然テロリスト党派“直接支援している”と述べた。
“アメリカは直接イラクのISILを支援し、アメリカの飛行機が、イラクのISILに、必要な支援物資や兵器を投下している”これはもちろん、アメリカが、こうしたものは、投下地域を間違えて、単にうっかり落としたものだと主張しながら、ISIS戦士に、医療用品、手榴弾、弾薬や他の兵器を含む兵器を、空中投下しているというニュースを裏付けるものだ。捕虜になったパキスタン人ISIS司令官も、パキスタンで、シリア政権と戦う反政府兵士を採用するISIS活動を行う為に、アメリカから“転送された”資金を受け取ったことを最近明かした。イラク・イスラーム最高評議会議長アマル・アル-ハキムは、アメリカ主導の有志連合のISISに対する偽善的な姿勢を批判し、有志連合軍は、テロ集団にとって戦略的に重要な“極めて重要な地域”において、主要な役割を演じていないと断言した。
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by katoujun2549 | 2015-02-27 09:15 | 国際政治 | Comments(0)