カメラウィルスと時計病

 赤瀬川原平さんが亡くなられた。彼は「老人力」という本で、高齢社会のウィットに富んだライフスタイルを世に出した。かつて、彼のデザイナーとしての特技を生かして、千円札を細密にコピーし、それを印刷したかどで逮捕され、偽札偽造の罪で有罪になったことがあった。マニアックなご性格と,とどまる事を知らないユーモアの持ち主であった。彼は、喫茶店で、わざと偽の千円札を床に落として、それを拾う人の行動を観察したりしているうちに、印刷迄していた事がばれて御用となった。その裁判は法定が爆笑の渦になったくらい「愉快」な意見が飛び交ったらしいが、詳細は知らない。しかし、偽札作りは重罪で、江戸時代なら獄門の刑である。マニアというのはある種の欠乏症である。彼の場合偽札を思い立ったのはお金が無くて困った記憶からだと思う。物に拘るばあいはそれが欠乏症になる。彼は写真機マニアでもあり、ライカ同盟という本を書き、ライカウィルス病と言う言葉も生んだ。今頃、銀座の松屋で開かれる世界のカメラ店は中古カメラマニアで溢れていた。ここに集まる中高年層のオジさんは、作品より、古いカメラのレンズの性能を楽しむのであって、作品を競うのではないのが特徴である。赤瀬川さんはその道の大家であった。こうした道具マニアは至る所に様々な形で存在する。マニアが病になるのは「金がない」「買えない」という事態に常時あり、欲しい目当てのものを思っただけでよだれが出て目がうるうるしてしまう。さらに現物を見た途端に身体が硬直し、その前にたたずんでしまうという症状である。中高年男性のマニアでカメラの次に多いのは時計ではないだろうか。

価格のワリには地味すぎるグランドセイコー:これで50万円はどうか?
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 昨年、自分も、仕事をしながらろくな時計を持っていない事に気がつき、奮発して時計を買った。セイコー、シチズンなど性能は素晴らしいが、デザインがどうも気に入らない。そこでオメガのコンステレーションというのを店員が薦めるので買ってしまった。これはまさにピンキリで、装飾によっては100万円以上のものがある。さらに、ローレックスとか、パテックフィリップ、カルチェ、オーディマピゲ、ピアジェ、パネライ、ヴァシュロン・コンスタンタンとか、世界の名だたるスイスを中心とした時計メーカーが豪華な1,000万円以上もする腕時計を売っている事に驚いた。今や、デジタル時代で、時計の精度を問題にすることは無くなった。仮に500円以下の時計でも、先は1年は殆ど狂わない。これはセイコーの生んだクォーツのお陰である。しかし、高級腕時計は今なお自動巻やゼンマイなのである。正確さよりクラフトマンシップを買われている。今、セイコーの高級機種で、グランドセイコーのスプリングドライブ、GPSで世界の時間が性格に衛星情報で動くソーラー電波時計のアストロンなど優秀なメカを持っている。これらはスイスを凌駕していると思う。セイコーの製品は日本人の几帳面な性質の反映で我々のライフスタイルそのもの
である。だから、国産の時計を尊重したい。しかし、世界のメーカはそれほど精度にはこだわっていない。そんなに正確な生活をしていないからそこまでの機能は不要なのである。それよりも何よりも材質とデザインであろう。日本人も定年後はのんびりと外国産の狂った時計で生活するのも乙ではないか。中でも、ローレックスは世界の時計界の王様である。確かに、ローレックスは用途に応じたダイバーウオッチ、サブマリーナとかヨットマスター、ディープシーなど素晴らしい。黒を基調として金などを使わずにステンレス製で安心と機能を感じる。デザインやアフターもブランド価値がある。しかし、他の豪華な機種は負け惜しみもあるが買えないし、魅力を感じない。あのゴツいデザインはいかにもローレックスですよという感じだし、ゴールドは成金的職業のオッサンが身につけているイメージが出てしまう。ただチェリーニは凄いが金だと自分には似合わない気がした。

お気に入りのローレックス、チェリー二
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これを着けてリゾート気分もよし
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 結局、オメガのコンステレーションというのを買った。店員はしきりに10万円高い金のはいったのを薦める。こちらは意固地になってシリーズで一番安いのにしてしまった。実はこれまで、腕時計をあまり買った事が無かった。大体、形見とか記念品で済ませていたのだ。ところが、後日ある銀行の支店長が来たが、その腕時計を見たら、同じコンステレーションで金が使ってある分10万円価格が高いものをつけているではないか。情けないが、内心、チェッと思った。物の魔力と言うのだろう。くだらないと思いつつ、自分の安物を見てニンマリされて、優越感をもたれる!という恐怖に襲われた。途端に次の金ばりのものが欲しくなった。いろいろネットで世界の時計を見てみると、あるわあるわ、凄いのが一杯ある。たかが時計ではない。スポーツカー並の何千万円というものがある。でも、基本的には、価格からも性能などをみてもロレックスは大した物なのだろう。しかし、自分は、やはりデザイン、風格、求めやすさなどからオメガに軍配を上げたい。何も高ければいいというのではない。そこで自分の次の目標はオメガデビルのコーアクシャル・パワーリザーブという製品に目をつけた。これはホワイトゴールドと金と両方のタイプがあるが、形、機能、気品と申し分が無い。勿論セイコーアストロンという高性能もあるが、この年になると時計には機能以外の要素、品格、質感も価値として考えたい。しかし、金だと100万円をこすので、そうは簡単に手が出ない。あくまでもよだれを垂らしながら、眺めるだけの時計病人になったという訳である。この時計の形、姿どうでしょうか、素晴らしいと思いませんか?e0195345_14552720.jpge0195345_1455497.jpg

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by katoujun2549 | 2015-02-03 13:00 | カメラ | Comments(1)
Commented by 田中 at 2015-08-14 20:18 x
画像だけではわからないと思いますが
Gsの実物みると余裕で値段分の質感ありますよ
同価格帯のロレックスやオメガより高級感あります
逆にロレックス、オメガのほうがカタログの写真と違い実物は価格以下にしかみえないですね