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2015年の日本と世界ー良き年でありますよう祈る


1.2015年は幸せな世だろうか
 安倍政権が年末選挙で圧勝、長期政権への道が開けた。これまで、安倍第一次内閣以降、毎年の様に政権交代が6年も続き、国際的な政治評価はガタ落ち、同盟国アメリカからもまともに相手にされず、韓国と中国からは馬鹿にされ、デフレからも脱出出来なかった。黒田緩和によってようやく、デフレから抜け出しつつあるが、今度は、スタググフレーション(不況下のインフレ)の懸念が増しつつある。弱いものはさらに弱る。皆が一緒に栄え、成長する時代はもう来ないかもしれない。分断の時代が始まる。世代間、地域間、企業間に格差が広がるからだ。

2.政権交代と軍備
 民主党のテイタラクは安倍政権独走への道を開いてしまった。民主主義の発展においては好ましい事ではないが、これまでの遅れを取り戻すには良い機会である。特定秘密保護法、集団的自衛権、武器輸出三原則の緩和など、日本の軍事力への道筋が出来て来た。日本は軍事国家にはならない。とはいえ、危うい部分もある。日本は地理的には大陸の入り口に当たり、また、海上交通依存度が高いので、限りなく海軍力を必要としている。この1世紀の間、空母を含む連合艦隊で戦ったのはアメリカと日本だけである。日本は戦後、海軍の生き残りで海上自衛隊を再興し、日本海軍の伝統を継承し、極めて優秀である。戦争に巻き込まれるリスクは高い。
 我が国は平和国家として世界の優等生であったが、70年間、世界では戦乱は絶えなかった。日本が憲法第9条によって得た利益と信用は計り知れない。それを改正したがっている安倍総理の魂胆は見え透いている。東西冷戦、朝鮮戦争、ベトナム戦争、湾岸戦争、イランイラク戦争、さらにアフリカの内戦と今日もアフガニスタン、シリア内戦、イラクとイスラム国内戦と続いている。その間、核兵器も含め、人類を何度も絶滅させることの出来る軍備が世界に蓄積されてきた。しかし、ハイテク兵器やロボット兵器など軍事技術は独自に進歩を続けている。21世紀に入ってからの戦争は、かつての国民国家の対立の構図より、民族対立や宗教紛争を原因とした代理戦争、むしろCivilWarの様相である。対テロ戦争も含め、その根本には貧困とか言論の自由、失業といった社会経済事情が渦巻いている。そこに資源とか大国の利害がからみ、状況把握が極めて困難な時代になった。こうした中で、情勢を分析するその国のインテリジェンスが不可欠になる。しかし、我が国ではそんな能力は無い。資源も、情報も他国頼みなのである。我が国は戦争でも経済、政治でも、アメリカの情報に頼らざるを得ない、情けない国家である。どうせそうなら、アメリカがやって欲しいという事だけやればいいのだ。日本が国防に無力な原因は世界の実態から平和を盾に距離を置いて来た、ある種の無菌状態が、危機対応能力を限りなく0に近づけて来た。国防という側面から臨戦態勢にあるのはイスラエルである。この国は周りが丸焼けとなろうとも、自国の安全が確保出来れば良いといエゴイズムを持っている。イスラエルにとっては平和は作られているもので、少しでも手を抜くと消えてしまう。日本は国防上の課題はイスラエルに学ぶといいだろう。畳の上の水泳と真剣勝負の差はあるが。

3.借金大王
 日本政府の借金は1177兆円、GDPの243%にも上り、財政再建が急務であると朝日新聞は叫ぶ。確かに節約や構造改革は必要である。しかし、その構造的な課題がどうなっているかは明らかにしていない。というのは、日本政府の負債は、大量の国際を政府が日銀に引き取らせており、この分は割り引かねばならないし、政府関係外郭団体にも分散しており、純粋の負債はGDPの80%程度であるという計算もある。確かに社会保障費はうなぎ上りで、対応は必要だが、負債を多めに喧伝して、増税の根拠にしようとする財務官僚の思惑も入っている。日本の国債の引き受け手が国内金融機関であり、対外債務ではないから幾らでも公共投資をやっても平気だという理屈は、日本の経済が国際的信用を生んでいる現実を無視している。国際的な信用なども含め、わが国が今も経済が順調で、危機からは遠いという評価が前提であって、これが一度危うくなれば、国債評価が下がり、金利上昇によって巨大な負債を抱える政府は途端に苦境に陥るのである。戦争にでも手を出せば一巻の終わりである。あくまでも金融の世界は、日本の産業が健全で順調に成長する力があることが前提なのである。戦争というのは一見経済にはプラスである。莫大な公共投資である。しかし、若者の血という途方も無い負債を残す。

4.第三の矢はどうなるか
 では、アベノミクスの第三の矢が地方創生、国土強靭化による公共投資で推進出来るのかは、あくまでも、その実行内容による。特に、2014年補正で地方創生の1,000億円の追加補助が行なわれれるというが、その内容で、景気の循環に貢献するかどうかである。これが、土木や福祉のばらまきになっては砂漠に水を撒いたようになってしまうだろう。アベノミクスの効果は、円安と金融緩和で日本の産業に新たな循環が生まれ、若い人の消費が拡大する事で真の経済再生が始まるかであって、一部の大企業や、資産家がもうけるだけでは改善されない。輸出企業、大企業は蓄積した資産を国内経済の循環には使わず、さらなる対外投資、企業買収等に使ってしまう。株で儲けた人は、時計とか、宝石、ペルシャ絨毯に使うほかは、更なる株の購入や、土地建物に向かって、インフレを加速させ、所得が目減りした庶民の消費は拡大しない。自分は一番効果が上がるのは人づくり、街づくり、教育ー特に大学への投資だと思う。日本の高等教育予算は先進国の中では極端に低い。大学は4年くらいで学生は育ち、就職すれば初年度から消費に向かい、さらに、数年で生産性向上に寄与する。iPS細胞も大きな発見だが、産業化に結びつくには長い時間がかかる。3年で効果が出る施策であるべきだ<。TPPは構造改革に結びつくが、失うものも大きい。

5.TPP
 来年はTPP交渉がまとまるだろう。そもそも、日本が聖域としている米や牛などは守りきれない。というより、TPPが無くとも、後継者がいなくなり衰退してしまうだろう。TPPという厳しい現実は日本が工業国としての存在を守る為のもので国内産業である農業や規制に守られた医療等を犠牲にする。犠牲こそ、日本人の知恵を働かせる。この知恵によって克服出来る。かつて、アメリカが自動車の市場として期待していた日本市場を全く理解出来ず、逆にアメリカが攻め込まれてしまったことを思い起こして欲しい。日本の底力を示すべきであろう。何事も、メリット、デメリットがあるが、最初から儲かる話なんぞ無い。交渉というのは互いがイーブンになった時点で成立する。だから、決まった時が出発点でこの時点から経済の問題は出発する。わが国は、必ず克服するだろう。
 今、新潟県を始め、「特区」による保護事業が始まろうとしている。しかし、こうした規制緩和措置中心の方法では何も成功しないだろう。人間は競争や批判を乗り越えてこそ新しい世界が切り開ける、おそらく、特区の中だけでしか市場も開拓出来ないで終わるのではないだろうか。TPPという農業に厳しい国債競争から抜け出して来た事業こそが全日本に、あるいは世界に受け入れられるのではないか。今行なわれている、8,000億円以上の上る農業戸別所得保証制度は選挙の票の為に出来た制度で、欧米の様な農業の産業化を促進していない。農業において自分で消費するしかない米作りにも補助が行なわれている。事業として農業に創意工夫をしている専業農家は、多くが年収2,000万円以上を達成しているという。彼らの作る農産物は市場の情報をとらえ、気候や土地の風土に対応した創意工夫溢れるものである。これらが、日本の国内市場も分からないアメリカや海外のものに負ける訳がない。先は輸入攻勢をしてきた、農産物の中で、市場のニーズから外れたものから淘汰されて駆逐、その後、これらを送り込んだ産地目指して逆に殴り込みをかけるのである。農産物の消費者と直結した日本人のきめ細かい嗜好、サービス、アフターケアを織り込んだ商品展開をすれば負ける訳が無い。6次化の成功が不可欠である。日本人の底力は海外で発揮される。特区の中で甘やかされた事業は世界では通用しない。日本酒、日本食、寿司、蕎麦、B級グルメなどは世界で通用する。例えば、本当に美味しい日本酒はやはりアメリカやシンガポールでは作れない。特に、発酵食品は風土の制約がある。先は多くの外国人を日本に旅行に来てもらい、日本の本当の良さを知ってもらう。日本の農産物活用しグルメを見つけるべきだ。松茸などは全く理解されない味覚だろう。それより、B旧グルメが良い。タコ焼き、お好み焼き、焼きそばなどは大いに可能性がある。そのうち、韓国人などがインチキの日本文化で儲けている事業を駆逐して、本物を現地で展開する。こうした戦略的な手順が必要である。気候風土の違いから変質してしまう。スペインのイベリコ豚などは生ハムで売れるようになったし、フォアグラ何ぞは肝硬変になったガチョウのレバーではないか。フランス料理の普及と合わせて世界の市場で取引されている。日本はどうでしょうか、トンカツ用の豚にはトンカツの世界制覇が必要だが世界で有名なウィンナシュニッツル遥かにうまい。カツサンドなんて日本だけしか無いだろう。おにぎり、お茶漬けには魚沼の米でいけるだろう。日本のイチゴは実にうまい。マレーシアでニュージーランド産の形の美しいいちごがあったので食べたら味がしなかった。輸送と保存方法の開発がひるようになるが、これが成功すれば世界で売れる。

6. 恐怖のばい菌
 この100年間の医療の進歩は著しいように見える。ところが、癌は未だに治療が難しい。胃ガンは減っているが、これは実は電気冷蔵庫の普及が寄与している。塩分を使った保存食の摂取量が減ったからである。今でも塩辛いものが好きな人に食道がんや胃ガンが多い。秋田県や奈良県は胃ガンの多発県だ。エボラ出血熱、デング熱、新型インフルエンザにはじまり、従来克服したかのように見えた病気が復活する。ストマイの効かない結核、耐性菌、マラリアなどである。21世紀はかつて、ペストや天然痘に人類が怯えた時代があったが、病気との戦いが再び始まる。iPS細胞の発見やゲノム解析等医学の進歩は病気の克服をどこまで達成したのだろうか。実は、殆ど人間は病の原因に勝利していない。せいぜい、天然痘とか、ポリオなどは克服した。数多ある病のうち、完全制覇したのはほんの僅かなのである。確かに、人間の寿命は延びた。特に幼児死亡率は大きく改善された。伝染病等も衛生環境の改善、ワクチンや手当ての進歩は大きい。しかし、病原菌には数件しか勝利していないのである。2015年はこうした人類が取りこぼした病に関して、事件も発生するであろう。

7.領土問題
 尖閣諸島や竹島問題が今年は沈静化するだろう。先は尖閣諸島問題はCIAが、アメリカの防衛産業と結託して起した事から始まった。竹島とは意味が違う。このことを見抜けなかった、当時の脆弱な民主党政権の迷走を狙ったのが中国の攻撃であった。日本はこのお陰でオスプレイや欠陥戦闘機F35を買うはめになった。アメリカはニンマリだ。さらに普天間の辺野古移転はフィックスされてしまった。中国の対応は野田政権の尖閣諸島国有化という勇み足によって態度を硬化させた。アメリカはしてやったり、中国に関する日本の不幸はアメリカの幸せ。中国や韓国は慰安婦問題や日本の歴史修正主義を批判するという安倍政権を攻撃するメニューを提供している。今年は中国も韓国も自国内の経済問題に追われそれどころではなくなって来る。それより、国内問題の行き詰まりを領土拡張でそらそうとするために、悪のりしてくるであろうロシアが危ない。北方領土は解決の方向どころか、ロシアの脅威が増すのではないだろうか。

8.中東情勢とイスラム国
 急速に発展を続けるテロ国家イスラム国とシリア内戦は国際情勢を左右する。シリアのアサド政権もイスラム国も当面は安泰だろう。世界はこの地域を統治する方法を見いだせない。将来はこれらの国がイスラエルとどう対応するかによって決まる。マキャベリズムの権化の様なイスラエルは自国に安全が確保されている限りは動かない。この国が動くのはヒズポラとISISが結託した時だろう。むしろ、イランとトルコが先に動く。イランはアメリカとの関係改善のためにイスラム国への対抗勢力として/アピールする。イスラム国はイラクのキルキークなどの油田地帯を狙っており、このクルド族と対立関係にある。イランやトルコには多くのクルド人がおり、その独立運動に神経を尖らせている。親米国であるトルコと、アメリカとの関係が微妙なイランはイスラム国を叩く事で自らのシリアとイラクに対する支配力を高めようとする。既にイランは爆撃に参加した。これはササン朝ペルシャとオスマン帝国の栄光を夢見る国家の地政学的宿命である。中東に第二の北朝鮮が生まれ、どうすることも出来ない。世界の注目がイスラム国に集まって、さらに脅威とならない限りアメリカもイスラエルもじっとして動かない。このイスラム国への世界の対応がテロ問題への処方箋となる。

9.アメリカと日本
日本の宗主国はアメリカであることを忘れては全てが上手くいかない。彼らを舐めてはいけない。マスコミは口先だけは常に権力を叩く。しかし、裏では結託している。マスコミの報道は常に、アメリカの病理や失敗例をあげつらう。その実例が黒人問題だ。この問題は建国以来の問題で、何も今にはじまったことではないし、解決もできない。国家というのは矛盾を抱えている。全ての国民が一致したら怖い事の方が多い。戦争が良い例だ。失うものが大きすぎる。アメリカは戦争が無ければ、無限に成長できる可能性を秘めている。オバマはレームダックで良い。アメリカ人は不満だろうが、大統領は戦争指導者であることが一番支持を得られる。それが出来ない好戦国アメリカは後2年は戦争でができない。尊敬されないオバマの為に死ぬ兵隊はいないだろう。アメリカは暫く平和であることが世界の幸せ。誰もアメリカに世界の警官になる事を頼んでいない。アメリカの経済は何も国民全体を幸せにする為にある訳ではない。しかし、イノベーションは常に生まれ、これまでの軍事技術からの応用や産業が生まれ、21世紀をリードするだろう。経済の活性化を冷やすため、FRBは利下げをするから、日本の円安は続く。

10.中国は動くか
世界に迷惑を撒き散らして知らん顔の国だ。この国の不動産不況が経済に影響する事はわずかだろう。日本の常識ではこの国は理解出来ない。中国には土地はそもそも限られた資産ではない。中国の資産は膨大な数の人民である。人が腐敗したため国が滅びた歴史を繰りかえしてきた。
 今の中国にはイノベーションは無いが、コピーは多い。何でも最初はコピーだ。中国は未だ可能性を秘めている。人権抑圧何のその。昔から、この国にそんなものはない。弱肉強食、膨大な欲望がある。彼らの欲望はサイや象を絶滅に追い込む。赤サンゴも良い例。しかし、共産党政府はこれら人民の欲望を抑制する力がある。中国という国民国家は完成しなくとも、どこからも侵略されない国、迫害されない中国人であれば彼らは幸せを掴める。バイタリティーある国民だから、21世紀後半迄、世界の市場になり続ける。ホビットの冒険で巨大なドラゴンが出て来るが、中国という国はまさにあれだ。莫大な富を守る龍が共産党である。刺激してはいけない。眠らせておけば良い。寝相は悪いから、時々寝床を整える必要はある。
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by katoujun2549 | 2014-12-29 13:34 | 国際政治 | Comments(0)