小林克也さんの英語

 
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最近の小林克也氏

小林克也氏は日本のDJの中でもトップクラスであると同時に英語力、特に英語の発音に関しては第一級である。しかし、彼は留学経験もなければ、ハーフでもない純粋な日本人である。独学で、FEN聞き取りを通じた習得方法により国外滞在経験を持たないまま高い英語力や発音を身につけた。発音に関しては、口の形、舌の位置、口の周りの筋肉を鍛えることを重視し、独自の方法で身に着けた。日本ではあの人は「英語ペラペラ」という一種の神格化された評価がある。それはいくら英語の文法や語彙が適切でもペラペラとは言わない。英語が出来る人という程度のもの。ところが、彼はペラペラの部類である、それは発音に気を使った英語だからである。最近、テレビ番組「チューボーですよ」で堺正章のアシスタント、「すみれ」さんが、一発芸のごとく、流暢な発音で英語による紹介をしたり、コメントを述べるシーンがある。それほど難しい言葉を使っている訳ではないが、ハワイで育ったネイティブの発音でペラペラというのが何とも、その美的なスタイルや顔立ちで人気を博しているのです。やはり日本人は良い発音には弱いのである。これは試験や受験英語では出来ない芸なのである。
チューボーですよに出演の「すみれ」さん
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 小林氏は35倍の難関、通訳案内業国家試験を一発合格したのちに外国人相手の観光ガイドのアルバイトを始めた。当初は何を聞かれてもI don't know を繰り返し、観光客を激怒させてしまった。ところがその後、大いに反省、FENを聴き続けた時に得た音楽知識で大いに気に入られたという。ちなみにその客はアメリカのラジオ局の副社長だった。それから、彼の運は開かれて行く。

 高校時代彼は進学校にいたが、古文とか、受験科目を勉強することは苦手で、その影響か、大学受験では 入試科目に古典が一切なく、英語を重視する慶應義塾大学経済学部に入学。しかし、彼は英語にしか興味が無く、慶応も中退してしまった。ここに、日本の英語教育の問題が見て取れるような気がする。本当の英語を学ぶ場は慶応大学といえども無いのである。前いた会社には東大、一橋、京大、早慶の卒業生しかいない職場だった、連中で800点取れる人はゼロ。もっとも、今は750点無いと課長になれない。
 ということは英語を勉強するには何も東京でなくても可能ということ。新潟でもその気になればよい。要するに、環境さえ作れば、英語の学びは可能である。東京のマスプロ大学に行ってバイトで消耗するくらいなら、新潟にいて、生活費を浮かせれば、100万円はたまってしまう。それで大学生なら在学中夏休みに2回〜3回は留学とか、セミナーに行ける。 わが国の英語教育は基本的には40年前とそれほど変わっていないのではないか。ある、有名予備校の教員が一番優秀だったのは団塊の世代だったという。これは受験英語の事である。最も激烈だった時代だから当然である。英文法、英文解釈そしてリスニングであるが、TOEICなどの手法も取り入れられ、スコアで比較できる仕組みもできてきた。高校生活から離れてずいぶん時間がたった自分は今の学生の勉強内容からは遠ざかり、分かっていないが、少なくとも、受験英語で難関校に入った学生を何人か見ている限りでは、それほど向上しているようには見えない。昔の英語環境は映画か、FEN、ラジオ英会話くらいしか英語に接する機会も無かった。ところが、近年、学生の海外短期留学などの機会は増え、そうした留学組の英語力はぐっと向上している。自分の息子もTOEIC800点取ったのだが、まったく英語を使って何かをするレベルではない。会話は全く出来ない。あるいは、東京医科歯科大の大学院同級生に900点台もいたが、ゲストの外国人と会話をするレベルではなかった。むしろ何の資格も無い自分の方が、物怖じせず話すことが出来た。要は何かを話す、何を話すかが無ければ会話にはならない。もちろんディスカッションなど出来る訳も無い。もっとも、TOEICなどのテストを年に何度も受け、自分の能力向上をチェックできるようになったことは歓迎すべきことである。ところが、最近はこれが自己目的化している。日本人特有の目的と手段の転倒である。本来、語学の学習は、その言葉によって、その国や民族の歴史、文化、暮し方、人間どうしの交流の仕方などを学ぶことが出来る楽しいものである。これでは、全くの苦痛以外の何者でもない。
 
もう一度、小林克也さんに戻ってみよう。彼は、ポップス、ジャズなどの音楽においての見識は一流である。一時代を画したといってよい。その英語力は定評がある。発音も重要な要素である。彼は他の勉強を捨てても好きな音楽と英語を徹底的に学ぶことによってトップクラスの人材となったのである。もともと優秀だったのだろうが、音楽DJの一人者になるまでは相当な苦難があったに違いない。
小林氏はサザンの桑田との親交でも有名である。サザン1982年のアルバム『NUDE MAN』の1曲目「DJ・コービーの伝説」は、DJ・小林克也をモデルにした楽曲である。小林は『KAMAKURA』(1985年)収録の「死体置き場でロマンスを」にもMCとして参加している。また、2004年に発売されたサザンのDVD『ベストヒットUSAS』は全編ベストヒットUSAのパロディであり、小林もサザンのミュージックビデオを紹介するMCとして出演している。2008年の「サザンオールスターズ 『真夏の大感謝祭』 30周年記念LIVE」では、映像で出演し、ライブの開始を告げた。(wikipedia から引用)

 似たような人物がもう一人いる。大橋巨泉である。彼もジャズに詳しいタレントだが、英語は上手で、バンクーバーやオーストラリアで何年も暮している。ところが、こうした生(ナマ)の英語は日本では好まれない現実もある。帰国子女が中学高校で苛められるのは周囲には無い能力を嫉妬されるからだ。日本では皆が出来ない事を出来ても評価されない。ゴルフのように誰でも出来る事を少し上手い事の方が評価される。そして、高校の英語の先生も実は自信が無い。 
  
 点にこだわるようだが、地方の県立高校の教員でも、TOEIC800 点を取れない人が多いし、これまでやって来た英文解釈だの、文法問題、英作文、学生の受験英語も否定されてしまう。大学受験にしか役立たない英語を英語ではないということは禁句。これは彼らの英語であり、プライドを傷つけてしまう。だから、この日本人の英語を否定する方法は逆に反感を持たれてしまうリスクがある。では、彼らが努力している日本的英語と国際レベルの英語とを橋渡しするものは何だろうか。それは、英語とは別のジャンルにある。小林氏としてはジャズだし、「すみれ」はハワイ、彼女の美、石田純一の娘という売り。さらに、はキャリアにつながるチャイルドイングリッシュとか、通訳ガイド、英語の教職といった将来のキャリアにつながるアプローチである。何を言いたいかというと島国の日本で、英語力を磨くにはひとえに、どんなモチベ–ションかにかかっている。受験もその内の一つであり、これを攻撃してはならない。しかし、それぞれの限界を見ながら選択する事である。

 近年聞くだけで上達するというスピードラーニングという商品がある。確かにリスニングは有効だが、それは方法のひとつで、実際には、声を出して反復することが伴なわなければ効果が半減する。このことは一言も触れられていない。それはただ、教材を売らんかなということであって、全くの手落ちである。英語の出来ない日本人のコンプレックスを利用して金儲けされているのである。いくらテレビでゴルフの番組を見ても実際にクラブを手にとって練習しなければ、また、コースに出なければ上達しないのとまったく同じだ。小林氏の場合、類い稀な努力によって英語力を身につける事が出来た。しかし、普通の人はそうはいかない。例えばTOEIC400点くらいの学生が、300点スコアを上げる為には何をすれば良いのかである。実は簡単な事だが留学すれば可能だ。今、自分のいる大学の一学生が、カナダの語学長期プログラムに半年参加した結果、スコアを275点挙げる事が出来た。要するに英語環境さえあれば、本人の努力次第で300点くらいは簡単なのである。自分の知り合いでも、少し海外に行っただけで800点を超えた人を知っているし、自分の長男は、問題集を数週間練習しただけで800点を達成している。ベルリッツで1年間勉強したが、自分は全く問題集をせずに受けて720点、長男は国立大学の英語をクリアする自力はあったがトレイニングする前は法学部にいたせいか、何年も英語の勉強はしていなかった。SATやTOEFLはともかく、傾向と対策を学べばTOEICはそれほど難しい試験では無い。勿論950点以上は留学か専門に勉強しないと無理。テストを金科玉条のごとく祭り上げるのは良くある事、企業や市井の人々はこれを評価基準にしようとして、英語をさらにつまらないものにしているのである。日本人の英語教育は不幸な宿命なのである。毎日、雪隠詰めで、牢屋の様な所で運動をして筋力トレしていることに近い。実際孤独な戦い。一方、留学はハイキング気分でしっかり体力がつけられる。しかも、心がけではネイティブの発音が身に付くのである。
 何事も、上達の道は、練習、時間と金、良き師、そして一番重要な事は好きになる事である。当たり前の事だが、留学することが一番の方法だが、それが時間と金のいる事だから、これが無ければ、ひたすら残りの部分、ド根性で切り開くしかない。もう67才になる自分の正直なところは、面白くも無い勉強はやめてしまえ!と言いたい。

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by katoujun2549 | 2014-05-28 07:27 | 教育 | Comments(0)