積極的平和主義の裏の顔

 
 今の政治家が中国や韓国、さらに東南アジアとの外交において気になる事は、戦場になった国々の国民の悲惨な過去に向き合おうとしない事なのである。日中国交回復時の田中角栄や大平正芳が、どれだけそうした国民感情を配慮したかをすっかり忘れてしまったか、もう70年以上経ったのだからいい加減にしろといったことを宣う輩が多い。戦争の犠牲者の遺恨は100年たっても消えないということを知らないのだろう。石原慎太郎をはじめとする、かつての戦後民主主義を批判してきた層である。要は懲りない面々である。こうした連中が安倍政権を支えているからには当然そうした影響を受けて、人柄の良い安倍総理はその気になって靖国神社に行く。天皇陛下も行かない所にである。自分は天皇の代わりに参拝しているとでも思っているのだろうか。

 株価はリーマンショック前の状態に戻り、多くの投資家、さらに年金基金等も大喜びである。株式投資は何も金持ち階級が占有していうる訳ではない。国民全体の利益に関わる事である。世界の投資家から一時は見放された日本の経済に明るさが蘇って来た。安倍政権の経済政策は今の所順調で、消費税施行後の落ち込みを乗り越えるかどうか、更なる成長への新機軸が待たれるのだが、この問題は、国防産業の活性化という方向で決まった路線であるかもしれない。このステップは実はナチスが通った道とそっくりなのである。シャハトという名財務大臣の巧みな財政政策で、ドイツは超インフレから蘇り、ベルリンオリンピックを開き、世界に冠たるドイツという思い上がりが生まれた。日本も6年後は二度目のの東京オリンピックである。ほぼ、一党独裁に近づいた自民党が、これからどのように変態し、別の生き物に生まれ変わるのかである。あの時代とは違うとはいえ、何だか不気味な道なのである。まさか、あの人の良さそうな安倍首相がヒトラーと同じと思う人はいないだろう。人々を奈落の底に突き落とす「怪物」、戦争や軍人の野心は未だ生まれていないだろう。しかし、どうだろうか、あと20年もすれば、今の子供達、あるいは青年達が社会の指導的立場を得るようになった頃を考えての事である。怪物は未だ卵の状態である。怪物とはあのナチスのような個人とか集団とは限らない。でも、卵のうちからつぶしておかねばならない。毒蛇は子供でも危険である。2.26の青年将校達は20才代ではなかったか。反省の足りないのみならず、頭の弱い麻生副総理あたりが、ご長老になって黒幕としてそうした若い人々を戦争への道に導くことは無いと言い切れるだろうか。今でも、竹島、尖閣諸島での韓国や中国を泥棒呼ばわりしたり、特定秘密保護法を推進したりする勢力、武器輸出三原則をなし崩しにしようという三菱重工を中心とする武器産業の面々、靖国神社が何であるかを忘れた若者達の動向をうかがっている人々、要するに、人の生き血を吸う連中はまるで森の中にいるヒルのごとく日本に密かに群れている。

政治家や官僚は言葉を巧みにあやつり、国民をたぶらかす達人である。積極的平和主義という理論はまさに、今日的問題意識から生まれたものである。核を持った北朝鮮、海洋進出に熱心な中国、反日を国の統治に利用する韓国といった勢力を周囲に控えた日本において、直接的武力衝突のリスクは高い。一体そんな事があり得るだろうかと思うのだが、それは今の感覚で未来を考え、歴史を読む誤解である。環境が変わればものの見方や世論は変わる。今のマスコミがどんな形で情報管理されているのだろうか。不明な点が多い。
 何も、中国や北朝鮮が上陸用舟艇を連ねて日本に侵攻してくるなどという想定は荒唐無稽だ。そこに至らないレベルでの紛争のことが問題なのだ。集団的自衛権に関しても、曖昧な事態が発生した場合の対応を迫られるのである。しかし、ここに危険な罠がある。全ての戦争はそこから始まるのである。第一次世界大戦は1ヶ月で終わるだろうと言われたし、第二次世界大戦はドイツのラインラント侵攻、ズデーテン侵攻から始まったのであって、ポーランド侵攻からではない。今とは違うとはいえ、歴史に学ばねばならない。

何故、こんなことを心配するかというと、日本は第二次大戦のもたらした結果に何故なったのか、何が悪かったのか、国家的理論的な体制ができていない。アジアの諸国から講義されると謝罪するばかり。相手の理不尽な主張に向き合ってこなかったばかりではない。自国の戦争行為の内容にも向かい合ってこなかった。そんな国が、今更強気になって何なのか。周囲から何だか分からないから孤立するばかりではないか。ドイツではハーケンクロイツのマークを掲げる事、強制収容所での民族絶滅が試みられた事を否定する事も犯罪である。そのかわり、東西冷戦を逆手に取って、しっかり国防軍を再建した。日本には今も、過去引き起こした周辺国への悲惨な結果に対して無神経な人が多い。そして、大きな国防領域、貿易航路などを武力で守るにはあまりにも出費が大きい。軍事化は日本破滅の道に通じているのである。また、アメリカが今、戦争を控えている状態に対して、その代わりの盾を日本に求めていること。日本はアメリカの防波堤であるという実態。過去の歴史認識。一旦縦割りにものが決まると全体を考えない官僚達が健在であることなど、リスク要因があまりにも多いことを心配している。これらに言及もせずに、NSCとか、靖国とか言ってもごもっともとは到底言える政治状態ではないのである。

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by katoujun2549 | 2014-01-09 09:57 | 国際政治 | Comments(0)