宮古上布 繊細な伝統美

 宮古島に伝わる重要文化財、宮古上布が思いがけなく手に入った。新潟県の新発田市にある敬和学園 大学にひょんなご縁で勤務することになった。引っ越すために、荷造りをしたが、その時に、妹が、荷崩れしないように段ボールの間に布地を詰めてくれた。荷解きの後、この布切れを拡げてみたら八年前に亡くなった父親の浴衣だった。自分にはサイズが合わない。しばらく放っておいたが、夏が近づいたので、たまには浴衣もいいなあ、以前病院に入院した時には寝間着用の浴衣を買って持っていたが、あれじゃあんまりだから、これを直してもらって、今年は浴衣で長岡の花火でも見に行こうと思った。寸を詰めるのにイオンのサイズ手直しショップに行ってこようかなと、浴衣を手にしてみる。何とも手触りと紺の色合いが良い。これが結構上等なもののような気がしてきた。そこで、新発田の呉服屋に持って行って直してもらうことにした。すっかりシャッター通りになった商店街の古臭い呉服屋に行くと、そこのオヤジがこの浴衣を見て興奮し始めた。

 「こりゃあ上布ですよ、多分八重山か沖縄のものだから大事にした方がいい。」「ええ?でもちゃんと直すと金がかかるじゃないか、裾をつめるだけでいいよ」と答える。「良い物を粗末にしては行けない、切らずに直して上げるよ」「お客さん。自分はプロだから、良い物と悪いもの位は分る。こりゃ、ひょっとすると宮古上布かもしれない、調べさせてくれ」という。自分の店にある最高級の上布の反物一本50万円の品を見せてくれたが、これよりものがいいという。それにしても、シャッター通りの呉服屋の奴、客も無いから一見の客をからかっているのではないかという疑いも。二束三文の古着を仕立て直して、いくらなんでも数万円はかかる。既成の浴衣なら2〜3万くらいであるじゃないか。「お客さん、こんな良いもの着るなら、帯はこのくらい、ええ一本10万円!「馬鹿野郎」何だこりゃ、いい商売されちゃう。「もし安物だったら止めるよ」といって店を後にした。10日くらいして電話がかかって来た。「やっぱり宮古上布です。京都まで持って行って調べたら、糸の細さからして、100万円は下らない代物です。」うひゃ、オヤジの奴こんなお宝を持っていたとは。そんなら、ネットオークションで売り飛ばそうかと思ったが、たまには贅沢してもいいかと、考えを改め、仕立て直してもらう事にしたのである。呉服屋のおっさんに押しまくられた。ひょっとして、お宝発見かという期待も手つだって、着道楽となってしまったのである。

 今年の夏は一人暮らしだが、棚ぼたのような豪華な浴衣に下駄とパナマ帽子のいでたちで、花火見物といこう。何とも豪華な浴衣だ。世の中悪いことばかりではない。

沖縄には宮古上布の他に、紅型の着物、芭蕉布、読谷織、ミンサー、八重山上布といった織物の宝庫である。その頂点にあるのが宮古上布なのである。織柄や色合いによっては反物だけでも200万年とか300万円といったおそるべき価格がついている。この伝統工芸というより重要文化財として沖縄では保存に頭を痛めているのである。沖縄の織物については澤地久枝著『琉球布紀行』(2000年、新潮社→新潮文庫)に詳しい。







 
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by katoujun2549 | 2012-07-05 10:48 | 国際政治 | Comments(0)