太平洋戦争最後の証言(2) 大和沈没篇 門田隆将著 小学館 

太平洋戦争最後の証言 大和沈没篇 門田隆将 

 この大和篇は戦艦大和の体験者の証言である。「大艦巨砲」主義の象徴、要するに役に立たない無用の長物ということである。しかし、3,000人を超える兵士がこの船に乗り、日本の未来を守る為に出撃した。生き残りは280人程、航空支援もない中、無謀な特攻だと批判することは簡単だ。しかし、そこで死と直面した人々にそんな説教は無意味である。
 今、第二次大戦を生き抜いた人々は急激に少なくなっている。零戦、特攻、玉砕といった修羅場の生き残りが証言出来る時間は僅かである。彼等は多くの友を戦場に残して生き残り、戦後必死に仕事や家族、社会の為に格闘して来た人々である。感謝の気持をもって門田氏は筆を運んでいることが分る。この試みは、太平洋戦争を戦ったアメリカからみた証言、さらには、戦場になった土地の人々へと展開することが出来ないだろうか。

 戦艦大和のプラモデルを中学生の時に作ったことがあった。現代の兵器として見事なまでに完成された姿に魅了されたものである。大和が沖縄の海に海中に眠っている姿は、かつて、潜水調査で撮影されている。あの力強い姿は、今の日本人の心おも揺さぶる力がある。戦艦というのはその国の象徴でもある。宇宙戦艦ヤマトという漫画もあったが、やはり日本人にとって大和は永遠である。

 沖縄特攻に参加した人ばかりではなく、最初に建造したときからの体験をまとめている。現在の海底の大和から遺物を引き上げた時、出てきた茶碗などの仲間の生の痕跡を見て生き残りの方々は絶句した。この部分が印象的であった。圧巻はやはり最後の姿、大和と運命を共にした時の多くの兵士の姿である。

[PR]
by katoujun2549 | 2012-05-05 09:40 | 書評 | Comments(0)