無錫旅情

 中山大三郎 作詞/作曲 の無錫旅情は尾形大作が25年前に歌い、ヒットした。無錫市はこの歌を日本との友好の象徴として、大切にしている。無錫市は日本企業を活発に誘致し、1,000社を越える企業が活動している、東芝、三井住友海上、IHI、富士フィルム、トヨタなどの三井グループのみならず、シャープ、三菱重工など代表的な製造業が工場を稼働させている。1兆円を超える貿易額を誇っている。そのことを一般には認識されていないが、これも地域的に親日の土地柄であり、日本企業も仕事がやり易いのであろうか。今、この街の中国における消費と交通の要港としての位置はますます価値を高めている。日本では上海や北京ばかりが中国だが、実際南京、大連など地方都市の興隆も猛烈である。無錫は太湖の沿岸であり、風光明媚、また、杭州にも近く、食の文化もレベルが高い。特に、上海蟹の産地でもある。観光地としても日本から成田、関空から週1便だが直行便がある。
 中国でのビジネスはこうした地方都市の方がやり易いのでないだろうか。大企業はやたら上海や北京で名を挙げたがるが、中国側は必ずしも歓迎ではない。もう彼等は外国の勢力に頼るものは無い。むしろ競争相手となる。とくに小売業はそうである。だから、以前、三光三越は北京で痛い目に会ったのである。首都ともなると、共産党の息のかかった企業が多く、これらが競争相手になるのだから初心者には厳しい相手である。彼等は裏に回って政府を巻き込んで抵抗するだろう。
 無錫市は今、太湖の環境汚染もあって、重化学工業かや製造業からアニメなどのソフト産業に転換の努力を始めた。また、交通拠点の開発や商業ゾーンのショッピングモール誘致などに熱心である。

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 20日に芝のプリンスタワーで無錫市の主催で、日本と無錫市の交流25周年に出席した。無錫旅情が歌われて25年にかけたイベントで実に巧みな演出で、多くのワークショップも開かれ、市からは200人を越えるスタッフが来日、招待者1,000人ほどの大宴会が行われた。企業トップ、政治家、無錫市長、共産党区書記が中心に多くのスピーチが続き、何と、2時間に及び、乾杯の後は堰を切ったような大宴会となった。名刺交換に大忙しの企業の人々、ボランティアの音楽演奏などで会は盛り上がる。もちろん太湖の環境汚染などは何処吹く風である。
 今の中国の勢いを感じさせる会であった。日本のパーティと違い、各テーブルでの着座式で、中国スタッフがお酒を注いで回るアジア式のパーティであった。尾形大作も来て無錫旅情などを披露し、会を盛り上げた。このパターンは日本も中国も共通で、欧米式とは全く形が異なるものである。最初から、最後まで、きちんと管理された宴会という感じであった。我が国がバブルで賑わった20年前を思い出して懐かしかった。
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 中国は今年政権交代の時期に当り、先週も習近平がアメリカを訪問し、元首並みの扱いを受けたが、オバマ大統領、バイデン副大統領以下のアメリカの首脳との会談は、アメリカからは中国の国際社会への関わり方の修正を求めるクールな内容となった。中国に取っては次期リーダーの地位を確立する為の国内向け訪米であったといえる。人権問題や元の切り上げなど、公平性の問題を依然変えようとしない共産党政権へのアメリカの目線は必ずしも温かいものではなかった。国際社会に対する中国の強引な姿勢、特に、台湾や海洋覇権への露骨な自己主張はアメリカに取っても危険な方向である。中国の重層的、複層的な社会構成をどうみるか、自分も戸惑いを感じるが、中国という国は大陸社会、日本人のような話せば何でも通じる社会ではない。また、彼等の独善的なしきたりを変えようとはなかなかしない。彼等は、鯨とか、象のような巨大な生物体として考え、その動きを無理にコントロールせず、彼等の無理の無い目標をこちらか設定して、導いて行くしか無いのではないか。そのためには言うべき事はきちんと言い、頭の部分はしっかり抑えておかねばならない。頭とは共産党と人民解放軍である。
 中国国内の問題として所得格差が指摘される。しかし、中国を見る場合、平均値という概念はほとんど意味をなさない。都市と地域・地方、指導層と人民、企業と労働者、商業・工業・農業それぞれ格差があり、指導層の所得は極端に高く、一般労働者はなかなかその恩恵に預かれない。しかも、行政や共産党の内部では、地位を賄賂で得たり、事業の利権を巡っての不正が横行しているという噂が絶えない。だから、中国は崩壊に向っているという人がいるが、それは間違いだろうと思う。むしろ、本来の中国に成長しているということである。


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by katoujun2549 | 2012-02-23 00:04 | 国際政治 | Comments(0)