中国共産党 支配者達の秘密の世界 リチャー・ドマクレガー著

 中国共産党 支配者達の秘密の世界 
  リチャー・ドマクレガー著 草思社

 政府と軍、国営企業、企業、報道など中国共産党は細胞を巡らせ、神経のようなネットワークを形成、中国という広大な地域、民族、都市を支配してきた。その秘密に覆われた構造を長い間
中国報道に携わってきた リチャード・マグレガー氏が明らかにする。氏は多くの中国の要人と直接接触し、また、現地の情報に基づく様々なケースを集め、分析の要点を外さない。こうした、実体験と、様々な分野に長い間関わってきた記者の目で見た「中国モデル」の実態である。日本では、こうした分析的かつ、実際の調査を積み重ねた中国関連図書は少ない。過大にそのパワーを喧伝したり、また、その脅威を恐ろしげに表現したものなど、極端な作品が多く、客観性にかけるものがある。本書はエコノミストやフィナンシャルタイムスの推薦図書になっている。

 共産党における支配体制がどのようなものであるか、汚職は何故どのように行なわれ、今はどうなっているのか。様々なエピソードからその実態を明らかにする。自分は中国には旅行経験も無ければ、これまで殆ど中国の文学も、紀行文も読んだことが無かった。大好きな、麻簿豆腐にはじまる中華料理の知識は豊富だが。これも、せいぜい、中華街に行ったくらい。改革開放政策後、特に天安門事件以後、日本の衰退に反比例して急速に発展した中国。その実情に関しては全く分っていない。上海のみならず、至る所の都市に高層ビルが聳え、高級な施設やレストランが生まれる。

 環境問題で地道な調査を行なって、政府に警鐘を鳴らした活動家が、逮捕され、有罪になって投獄された。太湖の水質汚染はその後緑藻の大量発生で国際的にも注目された。地方の不正を訴えて陳情した為に、見せしめの刑に処される人、マカオのカジノで一晩で何百万円も使う共産党幹部の子弟など、不条理な国でなぜそんなパワーが生まれるのか。伝統的な官僚制のなせるわざか。日本人の理解を超えた世界の根源が共産党という支配構造だ。面白い逸話がある。党の幹部に、中国共産党の仕組みと、カトリックのバチカンを比較すると、極めて類似している。党中央委員会の内部は全く秘密主義、トップダウンの縦割り組織などそれぞれの重要部局など、そっくりなのである。そこで、党幹部は、このことを否定しなかった。ただし、「バチカンは神に仕えているが、我々が仕えるのは悪魔なんだがね」と言ってのけた。
 今やロシアを越える予算を誇る人民解放軍。宇宙開発からステルス戦闘機、空母など、世界が軍備を自制している中で、奔放な増強を続け、領土問題で脅威となっている。何故だ。春節を機に観光旅行だろうか、お金持ちそうな中国人が東京駅に家族連れで来ている。彼等は一体何をしている人か、それに対して、地方と都市部の格差、汚職、死刑、臓器売買、環境汚染など暗い話題も多い。これからも、アメリカ以上に貿易でも日本は中国に依存しなければならないのに、その知識は乏しい。先は様々な疑問の原点と思われる共産党が今までどんな形で中国を支配してきたかを、本書は解き明かしてくれる。

 

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by katoujun2549 | 2012-01-30 17:12 | 書評 | Comments(0)