TPPの誤解:アメリカにとってつまらない国、日本

 アメリカが日本に魅力を感じていると思ったら大間違い。日本は飽和市場だし、農業は多分懸命に防衛して来る。これらを壊滅させれば、日本は一気に親中、親露に傾くだろう。彼等は手ぐすね引いて待っている。アメリカは我が国より遥かに情報を持っている。リスクに対しては慎重だ。日本は必ずしも美味しくはないのである。TPPのスタートはニュージーランドとかシンガポール、チリ、ブルネイなど、彼等はアメリカという巨大なサメの後からコバンザメのように付いて行けばおこぼれだけで満腹できる小国だ。アメリカが登場し、いよいよ親分登場なのだ。彼等は東南アジア、特にインドネシアや東チモール、タイ、ミャンマーさらにはインドに大きな市場の可能性を求めている。その戦略を見損なってはならない。そちらの市場が、今は小さければ、その大きな人口も含めて開拓すべき資源が豊富であると見るのが普通であろう。これらは、20世紀後半長い間、日本の重要な輸出国であるが、日本がぐずぐずしている間にこれを奪おうという彼等の意図を見抜かねばならない。日本はアジアの市場を土俵に正々堂々とアメリカと勝負することこそ、日本の未来として正しい選択だと思う。時々、見るに耐えないブスが、満員電車で痴漢を恐れてバッグを抱きしめているが、誰も狙わないのと似ている。

 TPPをアメリカの陰謀だとかを宣う評論家や学者はそこが見えない。一見正論に見える。彼等は国士だろうが、目先一寸の他は何も見えない。菅直人がTPPを持ち出したのは国を思うからではなく、政権維持のためだから論外。諸先生はそのいい加減さを攻撃する役割は果たした。今は、それだけではすまされない事態になった。
 アメリカに取って魅力的なのは軍事戦略的に意味のある沖縄、可愛らしくてアメリカ人をボーイフレンドにしたがる日本女性、美味しい寿司くらいだ。後は、もうつまらない部分なのだ。購買力の無い植物系男子、アメリカを馬鹿にする英語の苦手な中高年、やたらに規制だらけの土地や公共事業には特に見向きもしない。魅力があるのはこれまで日本が頼りにしてきた中国の市場、東南アジア諸国の今後膨張する人口と購買力である。日本が開拓して来た海外市場は取り上げたいのだ。日本市場攻略の突破口は何かを考えたい。日本の農業を壊滅させる事が彼等の益にどれだけなるのだろうか。カリフォルニアのほんの僅かな農業企業でしかない。

 TPP反対論者がわめく医療について日本はそもそも、防衛的だ。健保制度にしがみついている日本を彼等は閉鎖的だと非難する材料にするだろう。しかし、医薬品はすでに日本は80%以上が非関税の外国製である。日本の創薬研究はまことに貧弱である。フィリピンやタイなどは制覇されて、支配完了である。金持ちしか医療の恩恵は受けられず、医療従事者は貧乏人を相手にしないエリートだ。彼等のトップ病院は日本より優れた医療を提供している。ところが、無医村も多く保険環境は悪く、麻薬汚染や不潔なところが多い。格差社会は彼等の問題だとうそぶく。そもそも、アメリカは格差社会でかつ民主主義だ。何時でも攻撃出来る。日本がインドネシアの看護師をこき使い、冷遇している間に、アメリカに呼び込み、製薬会社や医療機器メーカーから、丸抱えでインドネシアの医療を制覇するだろう。

 分かり易くいえば、かつて、日本が多くの英霊の血をもって開拓して来た地域こそアメリカが奪い取りたい部分で一致する。ミャンマー、タイ、フィリピン、ベトナム、ニューギニアである。日本を城に例えるならば、米とか、医療、自動車などは本丸であって、これはいきなり攻めれば犠牲が大きい。先は外堀の外で消耗戦をやり、周囲を無防備にしてから、外堀を埋め、本丸を最後に攻撃するだろう。

 思い出してもらいたい。ミャンマーに今、ヒラリークリントン国務長官が行っている。民主化が急速に始まり、スーチーさんの政界復帰が始まった。そこにすかざず、クリントンが行っている。まるでスーパースターではないか。スーチーは日本軍を裏切ったアウンサンの娘で京都大学の学生だったこともあり、英語も上手い。そもそも、ミャンマーを独立に導くきっかけは日本である。スーチーさんの父親を日本が、青島で軍事教育をさずけ、イギリスと戦う勢力に仕立てた。ところが、日本の政策が悪く、彼等は、最後は英軍に寝返ってしまった。ミャンマーはこれまで中国の影響が強く、しかも、民主国家ではなかったからアメリカは手が付けられなかった。この国は国土も日本の何倍もあり、平地が多く、資源もある。そして、インドネシアだが、この国も、一時共産主義勢力が強かったり、スハルト軍事政権でアメリカは敬遠していたから、未開拓地であった。彼等は常にフロンティアを探している。

 巨大な市場があるインドネシアはオランダから日本が解放した。初代大統領スカルノは独立運動の闘士で、日本とは深いつながりがある。あの、デビ夫人がその名残だが。多くの日本人がアメリカとではない、独立戦争で協力し、血を流した。そうした市場を今頃になって何もしなかったアメリカが奪おうと仕掛けている。TPPは単なる煙幕である。手品をする時にマジシャンが使うクロスだと思えばいい。これの可否で論争も必要だが、彼等の真の狙いを忘れて、国内産業の保護ばかりをわめく、学者、マスコミの無能には呆れてしまう。


 
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by katoujun2549 | 2011-11-30 22:32 | 国際政治 | Comments(0)