TPPで日本の米がダメになるんじゃない。破綻が放置されただけ。

 
 TPPで日本の農業、特に米が壊滅するという農協の主張はどうだろうか。既に日本の米は産業としてはとっくに破綻しているのではないか。補助金でやっと保っている。日本の若者が農業から離れて行ったのは、農家の将来が無いからだ。補助金でしか成り立たず、変化のない、毎年同じ事の繰り返しで工夫のない親達を見て、この仕事を引き続きやりたいと思うだろうか。
 日本の米はうまい。特に、近年、中国の富裕層に人気がある。しかし、それは日本と韓国、中国での評価に過ぎない。コシヒカリで1キロ400円〜450円くらい、ササニシキで380円くらいだが、価格には相当に差がある。最高級で有機栽培のコシヒカリだとキロ1200円だ。その他ヒトメボレ、アキタコマチ、北海道産のユメピリカ、とか種類も増えた。しかし、世界で日本の米はうるち米で、これは世界の中では少数派で80%はインディカ米である。カレーを作るとき、モッチリしたご飯に熱々のカレーをかけて食べるが、本当は、さらっとした汁とインディカ米の香りのあるお米で食べた方が美味い。インドの南の方はナンとか、パンのようなものでカレーを食べるが、北の方は米である。
 昔、日本が戦後食糧難だった時代に、ミャンマーから米が送られた。それを日本では外米といって不味い米の代表にしてしまったが、これは料理の方法を普及させなかった政府の手落ちである失礼な話だ。。タイやカンボジャで人々は米を中心に生活し、彼等の食生活に合った調理を行ない、幸せな食生活をしている。

 TPPで日本の米が壊滅するといった主張が跋扈している。確かに、アメリカから日本の消費者をターゲットに、コシヒカリ並みの米が半値で入って来たら、日本の農家は大きな方針転換を迫られるということだ。しかし、今日でも、WEBサイトで売っている米を見ると、相当な価格差がある。価格差キロあたり200円〜600円という幅である。このことは日本人は既に米を嗜好品のように扱い始めたことを意味する。米作にはこれからも未来があるが、それを妨げているのが政府の農業政策である。減反と補助金ばかりで何の工夫もない。今頑張っている農家は全体の20%でその農家は懸命に新しい商品の生産に務めているし彼等は黒字なのだ。TPPにも賛成している。残りの80%が農協のお陰で食べている赤字農家なのだ。この赤字は国民の税金で補填される。一種の生活保護か、あるいは無形文化財みたいな扱いだ。

 日本の米は、味噌、醤油、日本酒などに加工される。それらは日本産の米でなければ絶妙な味が出ない。これらは全て昔の日本人が編み出した知恵である。今日。米の活用方法というのは農水省は何処まで研究しているのだろうか。減反政策や補助金、関税による保護ばかりではないか。輸出できる世界で珍重される米も日本人なら作る事が出来る。しかし、作るのはうるち米ばかりで、国内ですら過当競争気味ではないか。米そのものだけで勝負すればそのような状態になるのは分かりきった話。欧米でも、畜産は肉だけでは商品価値が上がらないから、チーズやハム、ソーセージなどで付加価値を上げている。これからの農業は加工技術も合わせて、世界に打って出るべきだ。日本のおせんべいがアメリカや中国を席巻するかもしれないではないか。

 日本のインディカ米は「サリークィーン」と「プリンセスサリー」というのがある。世界最高級の米は「パスマティ米」日本の米とのハイブリッド種である。キロ1000円でネットで買うことができる。サリークィーンは粘り気が少ないが、インディカ米特有の香が豊かである。プリンセスサリーはジャポニカ米のように粘り気があり、日本人の味覚にも合っている。農水省は上海で日本のおせんべいとお茶の喫茶店パイロットショップをやったことがあるか。

 小麦 の生産地・消費地は、世界で分散しているのに対し、コメは90 %がアジアで生産され、消費されており、中でも、人口の関係から中国、インド、インドネシア3ヵ国、世界全体の生産量・消費量の60%を占めている。アジアに集中しているのは、稲の生育温度は0~33 °Cと、麦の10~25°Cと比較して 高く、土壌も多くの水分を必要 とし、アジアの気候に合っているからだ。日本の棚田は美しい。しかし、採算を取るのは難しいかもしれない。これは日本の美しい景観を継承したいという事で保護するのは良い事だと思うが、米作政策ではない。国土景観の保護は国土交通省でやればいいのである。

 世界最高の米は日本の米ではなく、パキスタンやインドのヒマラヤ山麓で生産されているBasmati Rice(バスマティライス)という品種。世界最高水準のインディカ米で、世界的にも高値で取引されている。日本ではインド産でキロ1000円、パキスタン産で650円くらいだ。インドはTPPには入っていないから、この価格は続くだろう。
(インドのバースマティ―)
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バースマティーには、多数の品種が存在する。バースマティー-370やバースマティー-385、バースマティー・ラーナービールプラ(Basmati-Ranabirpura)といった伝統的な品種以外に、プーサー・バースマティー 1(Pusa Basamti 1)というハイブリッド品種が存在する。芳香のある品種はバースマティー系統から作出されたものである。バースマティー本来の特徴として、茎が長く細く、強風で倒伏しやすい。総じて収量が低いが、米の品質が優れているため、インド国内だけでなく世界的にも高額で取り引きされる。
(ワイルドライス)
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 アメリカで穫れるワイルドライスというのはキロ4400円もする。これは洋食の添え物として使われるがとても美味である。北米大陸の近縁種(Z. aquatica、アメリカマコモ)の種子は古くから穀物として食用とされており、今日もワイルドライス(Wild rice)の名で利用されている。食べるとサクサクした食感やナッツに似た風味があります。栄養面ではたんぱく質が白米の約2倍、ビタミン(ビタミンB2、B6、ナイアシンなど)、ミネラル(鉄、リン、マグネシウムなど)、食物繊維を豊富に含む。ワイルドライスの生育圏はオジブワ族やメノミニー族など、五大湖地方のアメリカ・インディアンの部族それぞれによって縄張りがあり、彼らの保留地(Reservation)で栽培されるワイルドライスは近年、スローフード運動の一環としても注目され、商品化もされている。
 
 何もそうした米で勝負しろと言っているのではない。世界は、商品作物の世界戦略をもって戦っている。そんな中で、莫大な補助金で一日千秋のごとき仕事で成り立っている日本の農業、多額な税金が、生活保護の為に使われる現状を打破しなければ、日本の農業はないのである。今回TPPでは恐らく日本の農業での除外は認められないだろう。何らかの条件、例えば履行までの期間を伸ばし、時間差で稼ぐとかである。さらに、米だけでは止まらず、畜産を含む農家の損失は戸別補償制度で支えることになる。その為には米だけで1兆7,000億円〜6,500億円になり、現行の8,000億円に上積みである。現行の補助を止めて、新しい制度で切り替えられるかだ。これまでの仕組みは残念ながら効果がなかったといわれている。この税収が、TPPで上昇した輸出利益となると、見合うためにはTPPで収益増となる企業の純利益2兆円から法人税をどれだけ取れるかだ。100兆円くらいのメリットがなければ追いつかないかもしれない。農産物の価格が下がれば,国民の消費も余力が出来、これが別の消費に向うから、所得税とか、他の税収があるだろう。とはいえ、TPPに日本が歓迎されるかどうかは、日本の対応次第である。条件を付けすぎると拒否されてしまう。野田政権、いや、民主党政権はこれで終わる。2011年11月12日



 
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by katoujun2549 | 2011-11-12 10:53 | 国際政治 | Comments(0)