赤い三日月 ソブリン債務 黒木亮著

赤い三日月 小説ソブリン債務 黒木亮著

物語の舞台は1980年代終わりから90年代のトルコ。巨額の対外債務を抱えたトルコ、外国金融機関からの資金調達に奔走する女性財務官僚と国際協調融資団の維持に奮闘する東西銀行の但馬。この銀行は東京銀行を思わせる。政治家の介入や湾岸戦争、米格付け会社による格下げ、さらに米財務省も絡む。複雑な構造の国際協調融資を臨場感とともに学ぶこともできる。実際に国際金融の現場を踏んだ著者がシロオトにも分かり易く話が展開し、巻末には、基本的な金融用語が解説される。スプレッド(利息サヤ)、主幹事といった、金融マンが平常使う用語がちりばめられており、実際にその融資団の編成現場にいるかのごとき雰囲気でストーリーを追うことができる。金融機関に進みたい商学部などの学生には必読だと思う。ロンドンのシティとか、イスタンブールの町並み、トルコ料理などが結構頻繁に登場し、旅行気分も味わえる。銀行内部の勢力争いや妨害を乗り越え、奮闘する駐在員の奮闘が良く描かれている。自分の友人も、何人かが駐在員として海外の融資事業に取り組んでいたが、彼もこのような経験があったのだろうか。

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by katoujun2549 | 2011-10-21 10:22 | 書評 | Comments(0)