シリアの民主化運動弾圧はアサドの自滅行為

 中野坂上のトルコレストラン、トロイに行った。オーナーのファルークの従兄弟アリ君が来て話ていた。シリアの暴動鎮圧で死者が出ている話だった。このままでは、トルコはシリアに侵攻することになるかもしれないと興奮気味。

 NHKニュースによると、シリアでは、アサド政権の退陣を求める反政府デモに対して、軍が激しい弾圧を続けており、国連のパン・ギムン事務総長は、6日、アサド大統領との電話会談で、市民への攻撃を直ちにやめるよう警告した。しかし、アサド政権は、この警告を無視する形で、7日未明から反政府デモの盛んなハマ、東部のデルゾールへの大規模な侵攻を開始し、シリア国内の人権団体によりますと、砲撃などによりデルゾールだけで42人が死亡したということです。アサド政権は、国際社会からの圧力の高まりにも関わらず、市民への攻撃を緩める様子を見せていない。

 シリアからトルコへの難民流入が1万人を超え、このままではトルコは静観できない事態になるだろう。何が起こるかと言うと、トルコ軍がシリアに侵攻し、シリアを制圧することもあり得る。こうなると、レバノン、イスラエルに対するパワーバランスが崩れ、何が起きるか分からない。今、米軍はシリアの民主化に手を出すことはないし、ヨーロッパも金融危機で余裕は無い。その間隙をぬってトルコが何らかの役割を担うだろう。かつてのオスマントルコ帝国の支配を思い起こす出来事に発展するかもしれない。
 
 トルコはイラクのPKKに対する武力行使を行なっているが、今回はクルド難民保護を理由にして、シリア全体を制圧し、シリアの油田を抑えるチャンスでもある。既に計画自体は練られている。
 シリアとトルコの国境付近にいるクルド人がトルコの親類を頼って流入している。トルコにとってこのクルド人は頭痛の種なのである。イラクとの国境には独立運動を起しているテログループ PKKが控え、国内には1400万人ものクルド人を抱えているトルコは、難民保護を名目に、シリアに侵攻し、国境付近に駐留するかもしれない。シリア軍と戦闘になる事が容易に予測される。そこで、圧倒的な人口と、軍事力を誇るトルコが、一気にアサド政権を叩く可能性があり、この軍事行動はクルド問題も含め、トルコ国内で支持される可能性が高い。

 日本と違って、今のトルコ政府の民衆支持度は高い。ギュル大統領とエルドアン首相のコンビが絶妙なのだ。7日の日経新聞で大統領のインタビュー紙面一面全部を使って出ていたので要約する。


トルコのギュル大統領とのインタビュー 日経平均2011.8/7

1.トルコの多極化外交

冷戦の最中トルコは周辺国として位置づけられていた。しかし、
トルコは地理的にみると東西南北を結合する要衡にあり、我々は建設的かつ積極的な姿勢で地域に平和、安定、繁栄を導入したい。トルコは地域の盟主として行動している。歴史的、地理的にもその役割を担う資格があるし、近年は過去と比べて積極的な役割を果たすようになった。地域の盟主として経済協力をもとにした安全保障と安定が中東にとって重要だと考える。

2.中央アジアトルコ系諸国

欧州とアジアを結ぶ(中央アジア)のカフカス地方の安定が重要だ。この地域の安定はトルコの国益につながる。トルコ系民族が多い国が参加する国際会議もある。地域に安定に向けた問題がある事も分かっている。トルコは中東、カフカス、バルカン半島などでの外交を通じ、既存の問題の解決を目指している。

3.欧州連合(EU)から中東に軸足が移しつつあるか

の見方は不正確だ。トルコの方針に変化があるかは我々の価値観をみれば分かる。トルコでは民主主義、市場経済、人権擁護、法治主義が強固になった。外交や経済的な利益のために、全ての地域や大陸との関係を強化したいと望んでいる。いくつかの集団はこれを理解しておらず、承服し難いようだ。だからこのようなおかしな批判をするのだ。トルコのEU加盟に反対する理由は多い。トルコが大きな国だからだ。大国のEU加盟はいつも苦痛を伴った。英国やスペインの例を、み例を見ればわかる。さらにEU内の経済、政治的な問題が一部の政治家の視野を狭くさせ、トルコの目指す加盟を国内の支持獲得に利用している。トルコは欧州の一部、一員であり、統合プロセスを強く追求している。

4.トルコは中東民主化のモデルになるか

トルコの与党、公正発展党AKPはどのように中東の民主化を支援できるか。
我々は明確に中東の民主化を支持している。イスラム教国であるトルコの成功とその存在自体がこれを各国にも達成できる事を証明している。地域の若者、知識人、科学者はトルコを研究している。一方で我々も各国のリーダーたちを可能な限り支援している。革命運動の中心となったエジプトの若者を招待し、トルコの発展を見てもらった。私は2/11のエジプト政変の後に同国を訪問したはじめての国家元首だ。エジプト当局や若者、政党のリーダーに私の考えを披露した。イスラム世界は改革に臆病だった。機会があるごとに改革の必要性を説いて来た。2003年にテヘランで開催されたイスラム諸国会議機構OCIの会議での演説で私は早急な改革の必要性に言及した。

5.何故アラブ世界で民主化が遅れたか

ソ連崩壊でこの地域の民主化は進展するはずだった。だが、アラブの専制国家は列強から地域の現状維持のための道具とみなされた。一部の西側先進国はイスラム世界の民主化を恐れていたが、アラブの春で市民が革命を主導した事でこれを支持せざるを得なくなった。

6.トルコの世俗主義の将来

過去の世俗主義はそのコンセプトや目的から大きく逸脱していた。しかし、人々はこうした議論をいつも却下し、認識すらしなかった。国内政治で世俗主義が弱体していると問題提起する政党は時代遅れだという事に気がついた。誰も彼らの主張を信じないし気にもしていない。だから全ての政党が真の問題や政策の議論をするようになった。これは国の正常化につながるものだ。

7.リビアとシリアの反体制派の弾圧

産油国リビアのような豊かな国は一人の独裁者によって統治することはできない。結果的に市民は蜂起したが冷酷な政権を崩壊させることは難しく内戦状態に陥った。カダフィ政権が存続するのはもってのほかだ。

8.トルコ国内では多くのジャーナリストが逮捕されている

トルコでは言論の自由は保証されている。テロリストに繋がる記者を拘束しただけで、記事の内容で逮捕したわけでは無い。トルコは強権国家では無い。AKPを含めて全ての政党がフランス型の大統領の権限が強い政治体制を望んでいない


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by katoujun2549 | 2011-08-09 09:30 | 国際政治 | Comments(0)