文芸春秋の記事:ガンと生きる

 文芸春秋の1月号から4月号まで、近藤医師を中心に抗がん剤の特集を続けている。今や国民の1/3が癌で亡くなり、一生のうち半分が癌になる時代である。かつては癌が死病、家族内でも、また、遺伝性があるということでひたすら隠したりしていた。今日、末期癌でも、医師は患者に病状を説明するようになった。この3年間に緩和ケアもどこでも行なわれるようになった。むしろ、患者が過剰な期待を抱いたり、抗がん剤に対して過剰な拒否反応をしたりする。ドラッグラグによる未承認役の問題はあるが、我が国では標準的な治療のレベルはまあ、まあまあの線を行っている。医療費コストに比べ、医師のレベルも高い。
 文芸春秋4月号の特集、近藤医師の論調も、最初のような挑発的な内容ではなくなった。彼のいうガンモドキというのがある事も確かだろう。転移すれば癌で、そうでなければガンモドキというのは単純で分かり易いが、医師としてはそれをきちんと転移する前に治療しなければならない。その為には細胞診をして検査をする必要がある。もしそれがシロとでても、間違って再発したら、それは諦めて放射線や抗がん剤で治療するしかなく、効果を出来るだけ判定し、駄目なら諦め、マイペースの生き方で苦しまない生き方をするべきだろう。無理して無認可の薬を求めて、海外や保険外治療に終始しても成功の確率は低い。むしろ、ストレスの無い、楽しい、自分の好きな事をして過ごす方が抗がん剤以上に延命効果がある。効果が出た抗がん剤、例えば、退縮、縮小、停滞が認められればいずれは効かなくなるのだから、それまでは使う方がよい。副作用があるから効く訳ではない。効くものは効くし、副作用も少ない場合が結構ある。癌と生きる方法は百人百様である。癌の種類は個人差が大きく、ライフスタイルも異なれば、その影響も同じではない。また、薬もそうなのである。
 文芸春秋ではアメリカなどの進んだ外国の治療体制、チーム医療や医師のトレイニングシステムを紹介され、これを読むとうらやましい限りである。しかし、アメリカの医療は、貧富の格差が大きく、診療能力は医療コストに比例し、あるいは保険のレベル次第である。驚く程事故も多い。日本のように平等ではない。専門家の育成も流石にシステマティックだ。日本も医科大学は医師の再教育にもっと力を入れるべきである。
 しかし、そもそも、癌治療で手術や放射線治療は病院でなければ無理だが、殆どの治療時間は在宅なのだ。在宅での家族との触れあい、療養環境、職場復帰など、患者を支援する仕組みが癌を抑える事に役立つ筈。癌は共生可能な疾病だと思う。近藤医師は癌の転移による臓器不全を死亡原因とするが、それだけではないような気がする。癌が放出する様々な悪性の酵素やそのものを排除する免疫の力が癌に取られ、肺炎などの感染症や敗血症などで亡くなる。本人の持つ免疫力や気力体力をどうつけるかも大切な要因である。これだけ多くの末期がん患者をホスピスに収容することは不可能である。癌患者の在宅環境とは何かをもっと研究すべきである。

 

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by katoujun2549 | 2011-03-24 19:57 | 書評 | Comments(0)