がんばれ!河村たかし

 名古屋市政に一石を投じた河村たかしさん。団塊の世代のヒーロといっていい。自分とは大学時代の同期で国立の下宿で一緒に遊んだ仲間である。仙谷や菅直人は、全共闘出身のエリート政治家である。彼らと違って河村氏は政治家としてはどん底から這い上がったタイプである。彼は政治の世界に入るまでには紆余曲折があった。卒業後家業の経営にいそしむ中、司法試験の勉強にチャレンジしていた。
 氏は学生時代はノンポリ、野球部で野球と今の奥さんになった音大生とのデートにいそしみ、経営学の山城先生のゼミで真面目に学ぶ学生であった。マーケティングのレポートを書く為に、全国のガソリンスタンドを回ると言う行動派であった。大学の混乱を見つめつつも、暴力はいかん、何でそんなに頭に血が上るんじゃと、全共闘学生になった友人の話をじっと聞く、学生集会でも発言、大学に戻ろうと叫んでいた、いわゆる一般学生良識派であった。彼には家業の廃紙回収業を継ぐという使命があり、4年間の学生生活で横道にそれるわけにはいかなかった。

 1986年(H61年)の春だったが、同期の鈴木君(当時厚労省)から電話があり、河村君が名古屋から上京しているから、飲まないかという。確か、新橋の焼き鳥屋で旧交を温めた。彼は、将来は政治家になると言っていた。その為に法律を勉強したい。また、今の仕事の経営者だと、名古屋では馬鹿にされて選挙では勝てないという。地元の閉鎖的な風土を悔しがっていた。当時から政治家の道は視野にあった。その年ハレー彗星が地球に近づき、探査船ジオットーが最接近したが、自分をジオットーになぞらえ、司法試験合格に最接近中だと酔ってわめいたのを記憶している。司法試験もかなり合格に近づいたが断念。その後、彼は春日一幸の秘書として修行中だったが、春日氏が自分の息子を後継者としたいというのに失望してけんか別れしたということを風の便りに聞いた。

 新橋で出会って7年後(1993年)、日本新党から衆議院に立候補し、見事当選。ブームに乗ったとはいえ、彼の主張を聞くと、立派な目標を持っており、着眼点の良さに驚いた。彼は、司法試験で苦労した経験を生かし、議員立法でボランティアの権利を確立するNPO法を提唱していた。これは早速、桜井よし子氏の目にとまり、文芸春秋にNPOの権利と活動を支援する国際的な動きと河村君の主張が紹介されていた。彼は、二世議員が跋扈する国会や名古屋市議会という旧態依然とした日本の社会に風穴を開けたかったのである。そのためには、個人の自主性にもとづく市民の支持と、ボランティア活動を育成することにこだわり、地元でもいつも自転車で幟を立てて街を駆け回っていた。二期目の衆議院選挙でも、対立自民党候補の立派な選挙事務所とは対照的な、どこにあるか分からないような自宅が事務所であった。彼の主張するNPO法案は、結局民主党が政権を取れない限り実現できないと思っていたが、自民党が民主党のスローガンとなることを恐れて自党案に取り込む形で法制化し、政権の成果として実現してしまった。野党としての提案も、内容が良ければそのような形で実現出来るのである。名古屋弁丸出しの国会答弁で評判となり、テレビタックルでも活躍したが、突然市長選に出て当選。
 
 今,彼は名古屋市長選挙で再選を目さし、市議会のリコールに成功した。民主党が本来国民から期待されていたのはそのような改革だったのではないだろうか。今の日本は近代国家の形はしているが、実態として名古屋のような大都市ですら、旧態以前の地縁,血縁社会であり、議員が家業化していることは国会議員も同様である。これを支えているのが官僚である。この構造を変えなければ、日本は沈没するのである。21世紀に相応しい空気になる風穴を河村たかし君が開けられるかである。今回の議員リコール事務局長はあのとき新橋で飲んだ鈴木君だ。
 
 今の日本は徳川幕府が大奥を200年間改革できず、自壊したようなもの。TPPその一つだが、これまで、農業も変革できなかった。相変わらず減反給付金が支払われ、真面目に生産している農家には政策的恩恵は薄い。日本の農家100万戸は赤字なのだが、経営改革はせず、兼業副業としてやっている。日本の農業生産は彼らには依存していない。こうした赤字農家の生産作物は殆ど自己消費にまわり実はたった5%の専業農家が支えている。これは先進国共通のことで驚くことではない。農家戸別損失補償はこれを支援しているのだ。JAなど既存勢力を頼る二世議員と自民党ではそもそも無理である。一方、自治労など官僚に依存している民主党は官僚改革はできない。黒船が来なければ変革できない。日本では自民党ですら内部改革は難しい。企業も海外事業や市場圧力で外圧を受けなければ変われない。自己変革できない体質なのである。今、日本は消費税による増税ムードである。河村氏が主張する減税をアンチテーゼとして考えたところが彼らしいところである。一見はったりのようだが、方向は間違っていない。行政とか、議会が既得権益化したら、結局、国民の税金は彼らの為に吸い上げられる形に向かう。このままでは、いくら増税しても納税者には還元されない恐れがある。減税からはじめて、行政コストを絞り込んで、はじめて行政はスリムになる。先に増税すると行政は贅肉を落さない。ダイエットする前にステーキを食べるようなもの。自民党も、地方議会も二世議員で満ちあふれている。彼らの実力がいかなるものかは、小泉一郎以来、安倍、福田、麻生と証明済み。官僚と二世議員の癒着構造、これを阻止することを河村氏に期待したい。今の民主党は構造改革を遂行する力が無い。国の中央で本気で改革しようとしている人は誰なのだろう。鳩山のまやかしを引き継いだ菅直人は、はしごを外された改革者かもしれない。
 
 
 

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by katoujun2549 | 2011-01-25 09:10 | 国際政治 | Comments(0)