人気ブログランキング | 話題のタグを見る

ロビンフッド リドリースコット作品

 カンヌ映画祭のオープニングを飾った作品。流石、巨匠リドリースコットだ。時代考証が素晴しい。オヤ!と思ったのが、脇役に見知った俳優がいたことだ。スコット・グライムズというロビンの仲間で弓の名人「ウィル・スカーレット」役 。彼ERの医師役でエピソード13辺りで活躍していた。スコット・グライムズはこの映画でもお調子の良さが個性になる役柄で、ERのアーチモリス先生とも通じるところがある。マークストロングは存在感ある悪役だ。最後あっさりロビンの弓の餌食になるところが笑える。もっと凄みを利かせてもいい。彼は悪役に向いているのだろうか、シャーロックホームズでも悪役で、ロンドンブリッジで壮絶な最後を見せる。結構、ラッセルクロウと対抗して存在感がある。ケイト・ブランシェットはマリアン役を演じきっている。エリザベス2の時も甲冑に身を固めてドーバー海峡で勇姿を見せていたが、彼女は鎧姿がピッタリはまる。中世イングランドの牧歌的な風景とが見事に描かれた。ヤンチャ坊主風だが,権力者らしく、また、軽薄なジョン王がそれらしく表現されていた。マリアンの父親はマックスフォンシドーだし、マーシャル役のウィリアム・ハートなど、演技派俳優を豪華に使いこなしたところが、いかにも、巨匠リドーリースコット。正月価格、1,000円の入場券で見応えある映像美を堪能した。ドラマとしては古典的な作りで、目新しい所は無いが、安心して見ることが出来る。ジョン王は諸侯の圧力に屈してマグナカルタに調印させられた国王として歴史に残る君主である。ロビンフッドでは悪役ノッチンガム代官を手先に人民を苦しめる親玉だが、彼は失地王といわれ、フランスに持っていたイングランドの領地を殆ど失った。ノルマンジー公ウィリアム以降この映画のようにフランスから攻め込まれた史実はあったのだろうか。サクソン人とノルマン人の抗争という側面もあったかと思う。
 イギリスは、その後、バラ戦争、フランスとの百年戦争など、諸侯と国王の権力闘争が続いたが、その間フランスに出兵し、フランス側からはジャンヌダルクが善玉でイングランドは悪役になっている。シェークスピアの戯曲ヘンリー6世、ヘンリー5世などでは彼女はとんでもない悪女である。イギリスはフランスに攻め込んで、まだ、フランスにイギリス領があったはずだ。この映画ではイギリスが一体になり、国難に対応している様子が描かれている。
 ロビンフッドの使う長弓は当時最強の破壊兵器で、映画でも崖の上から雨あられと矢が降り注ぐ様が描かれる。上から落ちてくる長弓の矢は、錐状で重みがあり、チェーンアーマー(鎖かたびら鎧)を貫く力があった。フランス軍の最も警戒する武器であった。弓は和弓並みの長さで2mほどあり、イチイの木でで出来ていた。それに対して、フランス軍は機械式の弩弓であった。この映画の冒頭シーン、城攻めのシーンでフランスが使っている。百年戦争のクレシーの戦いやアジャンクールの戦いをはじめとする数々の戦いでフランス軍相手に目覚しい効果を挙げた。その射程距離は500メートルを越え、アジャンクールでは6千人の英国軍が2万人のフランス軍を壊滅させたという。欠点は使い方が難しいことで、射手の育成に時間がかかり過ぎることであった。ロビンフッドはまさにこの長弓の名手としてのヒーローである。
ロビンフッド リドリースコット作品_e0195345_22322515.jpg


by katoujun2549 | 2011-01-01 22:38 | 映画 | Comments(0)