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梨本さんの肺がん死に思う

 突撃レポーター梨本さんが肺がんで亡くなった。入院して2ヶ月、65歳という早すぎる死はテレビで衝撃的に伝えられた。ご冥福を祈る次第である。テレビで亡くなる2週間前の映像も放映された。抗がん剤で頭の毛が抜けている。それでも、彼は仕事に向かっている。これは仕事人間の宿命だろうか。仕事に尽くすという男の生き方として壮絶な感じはあったが、正直なところ、病気に向かう人にあり方として疑問に感じるところもあった。彼は治療を続け、抗がん剤の点滴をしたまま仕事をしていた。これも生き方なのだろうか。
 抗がん剤の治療をしてあれほど早く亡くなられるとは驚きだ。恐らく、2度目の抗がん剤の副作用があったのではないだろうか。イレッサとか、分子標的型の薬は間質性肺炎になると治りにくいからだ。御本人は新薬ということで、仕事もやる気だったと思う。

 肺癌という厳しい病いを前に誰でもたじろぐ。彼の肺がんは恐らく、進行の早い種類で、抗がん剤も選択が難しいものだろう。これまでの生活の中で死を迎えたいという気持ちも分る。これは死の恐怖から逃れる方法の一つだろう。しかし、自分は人間病気になったら、自分の残り少ない命を家族と分かち合う事をもっと考えてもらいたい。肺がんのみならず、膵臓がんや末期がんは難治性だが、それでも頑張れば半年とか1年は延命でき、多くの人とも触れあえる。そして、病気という現実に向かい合っていかざるを得ない。そうした中で、何が大切かと言うと、仕事よりも、自分の病気を見つめ、何とか抵抗力、免疫力を高める努力こそレポーターとはいえ一種のテレビタレントとして皆に示してもらいたかった。どうせ死ぬなら、むしろ、効かない抗がん剤なんぞ止めて、家族と楽しい旅行やくつろいだひと時を過ごすことが男の生き方として堂々としている。

 よく、癌になっても平常の生活を送り頑張っている方もおられ、また、治療の方法によってはそれも可能だ。実は癌といっても、痛みが出たり、動けなくなるのは最後の2〜3ヶ月くらい前からで、それまでは大体元気だし緩和ケアの技術も進んでいる。しかし、病気になったらそれと対峙し、一生懸命意識を集中することも大切だ。昔、結核療養所で生き抜いた人の話が印象に残っている。結核はかつて死病であった。療養というのは、時間はたっぷりある。だから、余命を楽しむがごとく、絵を書いたり、趣味に没頭している人が結構いたが、そうした人は殆ど生き残る事はなかったという。病というのは罹ったらそれに目をそらしてはいけないのだと言っている。癌と共に生き抜くという選択もあるのだ。
by katoujun2549 | 2010-08-24 13:26 | 国際政治 | Comments(0)