根本博中将 この命義に捧ぐ 門田隆将著

門田隆将氏はノンフィクション作家として活躍され、昨日の朝日新聞「五線譜」に彼が御巣鷹山日航機墜落事故についての記事が出ていた。彼は2ヶ月にわたり、遺族達を訪問し、取材された。ノンフィクション作家は確かに取材が命だし、このために色々な方にアポを取り、インタビューし、膨大な記録を編集しなければならない。体力仕事でもある。この根本中将の存在は全く知らなかったし、国共内戦の最後の戦いが、金門島で終わり、蒋介石の台湾支配が始まったことも知らなかった。蟻の兵隊といわれ、3000人程の日本兵が終戦後も中国に残り、内戦に参加し、多くの兵士が戦死されたことは自分も知っていた。根本中将は8月15日以降もソ連軍と戦い、在留邦人の保護と、35万人の日本軍の帰還を確保した名将である。蒋介石の信頼も厚く、国共内戦では最後の金門島の戦いで3万の中国軍を壊滅させ、毛沢東の台湾侵攻を阻止した大きな貢献をした根本中将の話である。根本 博中将は戦後、日本から台湾に密航し、蒋介石の恩に報いるという意味において金門島の戦いに参加した。関東軍が在留邦人を放置して、幹部もろとも脱出した満州は多くの悲劇を生んだ。戦後も残留孤児問題で長い間多くの人々を苦しめ、報道もなされた。著者の取材はアメリカの公文書館における蒋介石の文書から、台湾、重慶、福建省などにもわたり、精力的である。国民党軍は湯恩泊という司令官のもと、金門島を防衛、彼と、根本中将の作戦が功を奏した。しかし、台湾ではその2人とも歴史から抹殺されていた。それが、国民党の後退により、馬総統に政権が代わり再び評価されるようになった。
著者門田氏はノンフィクション作家として近年新しい境地に進みつつある。この分野はまさに宝探しのような世界だ。歴史に埋もれた真実を発掘し、世に問う。

[PR]
by katoujun2549 | 2010-08-12 12:02 | 書評 | Comments(0)