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団塊の世代

 堺屋太一氏が、小説に書いたことで、定着した昭和22年から3年間程の間に生まれた世代の呼び名が、団塊の世代だ。しかし、その後2年程も多く出生しているから、5年くらいを対象にしても良いだろう。現代の出生数の2倍以上になる。小生もこの世代だ。最初の受験地獄世代だった。しかし、これは高校受験までであって、実は、今に比べると、女子の進学率が低く、大学進学率も15%くらいだったから、厳しかったのは、一流大学であって、他はそれほどでもなかった。今の学生の方が、人気のある学校の受験競争は激しい。

団塊の世代の実態はどのようなものだろうか。今や還暦を過ぎ、定年を迎え、企業の役員になった勝ち組も退職し始めている。定年延長で、65才まで勤められる人もいる。しかし、この世代に対する周囲の目は厳しい。
 もはや30−50歳台の現役バリバリ層とは競合しなくとも、意外に本来20歳台に割り振られるべき水準の仕事に「定年後の団塊の世代がしがみ付いて席を譲らない」という直接の競合関係は(知らず知らずに)現実にあるかも知れない。

一人当たり金融資産の指標(40〜49歳=100)で比較すると:

29歳以下   2
30〜39歳 42
40〜49歳 100
50〜59歳 158  ← 団塊の世代(2007年当時)
60〜69歳 293
70歳以上  250

(50〜59歳台と60〜69歳台で大きな差が出るのは生涯給与の後払いである
「退職金」を受け取ったか否か、のタイミングという要素もある。人生のキャッシュ
フローの分水嶺。)

実際、「インフレ時に人生支出モデルでピークアウト、同時にインフレで資産形成
し、現在デフレで安く暮らして逃げ切った」のは我々より少し上の世代(戦争の影
響で同期の人数も少なかった)
日本の個人金融資産1544兆円の世代別ディストリビューション(2007年の推定
数字がベース):

29歳以下 0.6% 9.3兆円
30〜39歳 5.6% 86.5兆円 
40〜49歳 11.1% 171.4兆円
50〜59歳 21.4% 330.4兆円  ← 団塊の世代(2007年当時)
60〜69歳 32.0% 494.1兆円
70歳以上 29.3% 452.4兆円

以上のように

現実には、団塊より上の連中が日本の個人金融資産の6割強を支配しているのが実態。(そうはいっても「団塊の世代」だって若い世代よりは相当恵まれていて、これまでに退職金貰った団塊も入れれば現在は「60歳以上の金持ち老人層の金融資産」は比率でもっと膨らんでいるだろう。)

20−30歳台の若い人たちの反感だけでなく、職場では苦しい経営環境と闘いながら、現在の給与伸び悩みの中、デフレ下で子育てに(デフレ下で一番価値ある)キャッシュをつかわされ、しかも資産形成のために(最悪期に)借金を強いられる40〜49歳台の前で、「第二の青春だぁ!」なんて空気読まずにハシャイでいるジジババは嫌われる訳だ。「団塊の世代」かどうかは正確には分からない訳だが、目障りな「無駄に元気な年寄り」を括るには、勝ち逃げしたと誤解されてる「団塊の世代」は「便利に使われてる」面もある。

「何時の時代も通過する社会に無理(良かれ悪しかれ)を強いて来た団塊の世代」は、いずれ「社会保障のコスト面で大きなお荷物」というテーマも浮上して来るのは間違いない。

しかし、これを払える金融資産を持ってるのは実は「年寄りだけ」。現状の「社会保障制度」が今のような「世代間扶助(今収入のある現役世代が、同時代の収入のない(?)退役世代を支える)」のままになってるのは間違い。早晩「世代内扶助」に切り替えざるを得ないだろう。

「世代間扶助」なんてものはデモグラフィー上の「貢献世代の不自然な膨らみ」があった「時代限定」の仕組みだったんで、同じような背景の「終身雇用」が崩壊した以上成立する基盤が既にない。「資産課税導入(金持ち狙い撃ち)」とか「相続税の捕捉率向上(薄く広く)」とか、税
制の抜本改革やらない限り制度を回すのは無理だろう。

今の鳩山首相が団塊の世代代表だとすると、とんでもない迷惑だ。こんな無責任な首相を生んだ世代は、あの団塊ということになって、現役世代から袋だたきという図式もある。
by katoujun2549 | 2010-05-14 21:43 | 国際政治 | Comments(0)