世界は分けてもわからない 福岡伸一著

「世界は分けてもわからない」 福岡伸一著 講談社現代新書

 生物学や分子生物学のシロオトでも、何とかついて行ける範囲で易しく説明されているところは見事である。しかし、やはり、化学記号が多くなるとスピードが落ち、止まってしまう。読了には以外と時間がかかった。ゲノム、塩基、酵素、人間の知覚などの先端的な問題を分かり易く説明してくれる。人間の生体に存在する、芸術品、神の技のような不思議な仕組みのことが、研究者としての立場から書かれている。自然現象は全て、物理法則とそこを支配する定理のような原理、平衡、エントロピー、エネルギー、天文学の領域から説明できるのだろうか。科学というのは過去の経験とか、歴史とは隔絶された世界であろう。科学にはその独自の論理がある。論理の進め方、検証性、再現性、交絡因子やバイアスの排除である。
 では、人間の生と死、道徳や歴史はどうだ。我々は不条理のなかに生を受け、暮らし、他人との関係に生きる。それが、地磁気や引力、核酸の法則の中で説明され得るとして、納得できるだろうか。もっと、畏敬の念が必要ではないだろうか。
 レビーストロースの悲しき熱帯買ったが積ん読、構造というのは神が与えたもうた恩寵という背後霊が彼にはあるんじゃないか?このあたりはドーキンスと正反対かなあ?世界は全て物流法則で説明出来るはずで、自然は「平衡」とか宇宙の法則とエントロピーで調和しているとする。福岡伸一(生物と無生物の間)なんかはそんな考え方。ダーウィンの進化論では自然界の基本変異は一つずつゆっくりと起きる。自然全てが品種改良に似た経路で発達進化すると、分かっている範囲の知識をもとに拡大解釈してして自然法則を創造する。ところが区切り平衡説…基本変異は突然起きるとする説が今はが主流。遺伝子工学などはそうした考え方えだ。生命を情報の集積として工学的に処理し、神秘性を排除するのに対し構造主義は人間が認識不能な世界を包含して、そこに生まれる理性や社会を対象とする。熱力学第1法則第2法則では環境を守れない。理性というのが平衡感覚でしがないなら愛とかモラル、生命の尊重はどこに行くか、構造主義はこのあたりを説明している。
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by katoujun2549 | 2010-02-06 21:55 | 書評 | Comments(0)