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イングロリアス・バスターズ

Inglorious Bastersを見た。映画評価としては優あげて良い。タランティーノの力量はキルビルで証明済みだが、これは一級のB級娯楽大作ということで面目躍如といったところ。ナチスの親衛隊将校の描き方が良い。コスチュームが時代劇には大切な要素だ。ナチスの軍装、親衛隊や突撃隊などオンパレードだ。冒頭に荒野の一ドル銀貨のテーマが流れ、復讐劇というより、確かにマカロニウエスタン調かも、いや、ハリウッド製レジスタンス活劇。ブラピがテネシー生まれのOSS将校を好演したが、焦点はむしろ女映画館主とゲシュタポを軸に展開している。ユダヤ人の特殊部隊がゲリラとして活躍し、頭の皮を剥いだり、バットで殴り殺したり、残酷なシーンもある。この映画はR指定だそうだが、残酷場面にだんだん慣れてしまう。内容として、80%本当の話をモチーフにした出来事の再現だと思う。ところが成功シーンは全て出鱈目。実際、工作員は捨て駒だった。監督は史実を知っていると思った。実際連合軍は数千人の工作員をナチス占領下のフランスに送り込んだが生還したものは極めて少なかった。Ingloriousというのは名も無いという意味もある。特にアメリカ人の工作員は見破られ易く、多くの犠牲者を出した。タランティーノは彼らの鎮魂歌を作ろうとしたのだろう。戦勝国であったアメリカではこの失敗が冷戦時代に反省無く、これを引き次ぐ馬鹿げた作戦が行われ、ロシアや東独のみならず、キューバ、朝鮮や中国も入れると万単位でCIA工作員が死んだ。スパイの運用が一番うまかったのはスターリン。彼は元々シュガシビリという帝政ロシアの二重スパイだったから、国内外にネットワークを張り巡らせ、自分の権力保持に利用していた。
 大戦下のパリ、ドイツ兵がのさばる雰囲気が良く出ていた。自分の子供の頃の記憶では高級なところには必ずアメリカの軍属がいて、日本人の女性がアメリカ人に寄り添っていた。戦後ナチスのヒーロー青年将校が片思いを寄せる映画館経営のユダヤ人女性も雰囲気を良く出していた。ブラピーの演技はますます良くなってきた。彼以外は無名だが演技派揃いだ。クリストフファルツが超有能なゲシュタポ、ラング中佐を演じていた。こちらは不名誉なという意味のInglorious。女優陣も良い。ユダヤ人映画館主、メラニーロッシ演じるドレフェスは逃亡中親族を殺され、ナチに復習を計る。ドイツ人スパイの女優ダイアンクルーガーは上品な感じ。ゲッペルスとかヒトラーはうんと下品な雰囲気で出てきて、これは茶番。こんなストーリー展開もあるんだなあと感心した。とにかく、ヒトラーやボルマン、ゲッペルスまで映画館でぶち殺されちゃうんだから。・・・・なわけねーだろ!

by katoujun2549 | 2009-11-25 16:05 | 映画 | Comments(0)