人気ブログランキング | 話題のタグを見る

蕎麦好き

1.杉浦日向子さん

 時代考証家、そして漫画家で随筆もこなすの杉浦日向子は蕎麦好き(蕎麦屋好き)で、ソヴィエトが崩壊した1991年に仲間と「ソ連」(ソバ好き連)を立ち上げ、その中心として活動した。彼女の「お江戸でござる」の時代考証はいつもうならされた。46才の若さで惜しい事に亡くなった。彼女が本に書いてある蕎麦屋がある。「たかさご」というこじんまりした店。昔から近所の教会に行っていたので日曜礼拝の後、昼に食べていた。住宅街の蕎麦屋風だったが、20年程前、店を改装し、代替わりしたのだろうか、本格的な蕎麦になった。自分も蕎麦好きのせいか、蕎麦を食べる時は不思議にその店に杉浦さんが行っていた事を思い出す。たかさごは陸の孤島みたいなところで、地下鉄神楽坂からも市ヶ谷からも遠い、不便なところ。近所には新潮社や大日本印刷もあるから、そんな関係で杉浦さんは見つけたんだろうと思う。今は大江戸線牛込神楽坂を出て北町交差点から市ヶ谷方面に抜ける道沿い左手で、5分で行ける。

2.蕎麦の思い出

 蕎麦は日本橋の会社に通っていたとき週2回は食べていた。日本橋は寿司、鰻、蕎麦は一流店が揃っている。値段ではなく味覚がだ。利休庵の蕎麦と親子丼は定番の残業食。仕事に追いまくられていた時のつかの間の楽しみだった。ここで、蕎麦屋の親子丼とかカツ丼が旨い事を発見。お客さんを誘った時とか、事務打ち合わせ費で食べる時は室町の砂場。盛りが少ないのでザルも2杯以上必要。卵焼きとか焼き鳥もうまい。これに日本酒1本つけると最高。ここの天ザルはかき揚げのを丸くあげたもの。元祖か。砂場は日本橋だけではなく赤坂、神谷町、虎ノ門にもあることがわかった。普段は利休庵、紅葉川といったところだ。麻布十番「永坂更科 布屋太兵衛」は長野出身の友達のご長女が亡くなった時、法事の後に行って食べた。浅草の並木の薮は向島の三囲神社に行った後寄った。練馬の田中屋、須田町の薮、赤坂の長寿庵いろんなそば屋に行った。それぞれしっかりしたお店の味が嬉しい。田中屋は高級店になって赤坂にも店を出したが、練馬の店は環七沿いで車で行かないと不便だった。最近の評判では値段が高すぎということで行く気がしない。それぞれ思い出がある。須田町の薮蕎麦で一杯、上機嫌ほろ酔い加減で家に帰ったら父が亡くなったという電話が来た。苦い思いの蕎麦。柏の竹やぶは蕎麦屋のカリスマらしいが、それと知らずに柏でゴルフをした後立ち寄った。新しいお店も増えた。神田でも眠庵というのが有名になっている。一度行ってみた。神田駅から5分程のところで、果物屋の老舗、万惣の店の裏手にある路地の奥に目立たない店だ。中は狭く、若い店員2人でやっている。いつも予約が入っており、我々2人はカウンターでつまみと酒を飲んでからザルを二枚食べた。この蕎麦は栃木のそば粉と群馬のそば粉を使い分けたザルがその蕎麦の長さや太さが程よく、蕎麦つゆもあっさりしており、さっと喉越し良く、酒で熱くなった喉に心地よく通って行く。実に美味だった。

3.そば打ち体験

 長野県の飯山市鍋倉高原では実際にそば打ちを体験をした。水が旨いとそばも美味しい。最初の粉の配合が微妙な感じだが、その過程ごとに難局面がある。例えば蕎麦の切り方で味が変わる。結局、インストラクターの作った方が旨かった。初心者はやはり、切り方が雑だ。自分の打った蕎麦は不揃いで野趣があるが粉っぽくなったり、歯触りが今イチだった。一番難しいのは練るときだろう。水加減からいかにも大変。そば打ちは難しい。これはどうも趣味になりそうも無い。昔、用地買収の関係で御殿場の農家に挨拶に行ったら蕎麦をうってもてなしてくれた。その蕎麦は山芋をつなぎに使って実に旨かった。

4.蕎麦屋の名前

 蕎麦屋はよく、薮とか砂場とか独特の名前があるが、これはどうも、大阪から来た名前だそうだ。秀吉が大阪城を築城したとき、労務者が食べたのが蕎麦で、だいたい、工事用の砂を積んだところは砂場とか、一服する場所に竹やぶが多かったので薮○○というような名前になった。江戸城築城時に大阪の蕎麦屋がにやって来て当時の名前を使ったんだそうだ。更級というのは長野の蕎麦の集積地からきた。まつやとか、松浅、松のつく名前も多い。長寿庵というのも縁起にこだわったのか、蕎麦を食べると身体に良いということからだ。景気の良い蕎麦屋の名前を取ったのだろうか。昔、蕎麦屋には丁稚みたいな若い人が沢山いて、自転車に何十枚もの蕎麦を方に積んで、自転車に乗った曲芸のような姿を目にしたが今は消えた。

5. おかめ蕎麦

 蕎麦屋では一般にはざる蕎麦とか、もり蕎麦が代表になるが、つゆ蕎麦も大きな分野だ。かけ蕎麦だけではなく、天ぷら、ちから、たぬき、きつね等バラエティ—が豊富である。なかでも、おかめ蕎麦は、見た目にも美しく、つゆ蕎麦の芸術品の境地にあると思っている。昔、かまぼこ、鳴門、椎茸、ほうれん草などで、おかめの顔を描いた事から来る。色合いが美しく、ごった煮風の
鍋焼きや天ぷらが浮いた天ぷら蕎麦などより、つゆの味も、具と調和し、つゆ蕎麦の女王的な風格があると思う。中野駅前の蕎麦屋、更級のおかめ蕎麦は見た目にも美しい。

蕎麦好き_e0195345_2365284.jpg蕎麦好き_e0195345_1755564.jpg

by katoujun2549 | 2009-11-23 22:44 | グルメ | Comments(0)