フリーメイソンについての誤解

フリーメイソンについての誤解
 鳩山民主党党首のモットーである友愛というのはフリーメイソンの理念によるものだという。しかし、日本では何やら怪しい集団のように見えるが西欧社会では立派な市民権を持っている。このフリーメイソンというのは18世紀に入り、イギリスを中心に盛んになり、ロッジという会員施設を中心に、フラブ的な相互扶助と社会貢献の組織として活動、フランスやドイツ、更にはアメリカ大陸で拡大、特にアメリカ独立に寄与したと言われる。現在世界に600万人の会員がおり、その3分の2はアメリカ合衆国にいる。地域共同体の自治的な集団であり、ドイツの社会改革結社イルミナティとは違う。18世紀にイギリスのジャン・デザギュエリによって提唱され、アンダーソンによって憲章が起草された公明正大な団体で、ニュートンもメンバーであった。多分に神秘主義的な儀式や神の啓示を認めない理神論的性格から教会からは距離を置かれたが、主たる活動は慈善活動で、何も、裏社会とか、秘密結社ではない。ところが、日本では西欧社会の陰謀グループのような印象を持っている人が多い。特にこうした誤解は戦前軍部の三文思想家がユダヤ人陰謀説とか、フリーメイソンの秘密結社扱いを提唱し、思想統制の強化キャンペーンに利用した事から来る。むしろ古代復帰リバイバル運動であったように見える。このフリーメイソンは起源として古くはエジプトのピラミッドやユダヤ神殿の建造にたづさわった石工の職業集団という説もあるが定かではない。むしろ、18世紀に憲章をもとに、ジョンロックや百科全書派(ディドロ)の思想を育んだ貴族やブルジョアジーを基盤にしたサロン活動である。だから、この組織のコンセプトは博愛、自由といった啓蒙思想の影響が強い。実際、このロッジという施設を基盤にしたクラブはアメリカ合衆国に最も会員が多く、今日も慈善事業や寄付の活動母体となっている。アメリカの独立運動の母体となったマサチューセッツ州ロッジのトマスペイン(コモンセンス著者)ジョンハンコック、ポールリビア、フランクリン、ワシントンなど殆どがフリーメイソンメンバーであった。このフリーメイソンは時代精神として18世紀の啓蒙主義、理神論、科学主義を反映したもので、その体現者として当時の指導層が社交クラブを構成したものである。だから、フリーメイソンの思想や教典は存在しない。しかし、モーツアアルトもそのメンバーであり、彼の作品はその組織の儀式や理念の影響を強く受けており、魔笛などはまさに、フリーメイソンの儀式や考え方が強く表現され、むしろ、この知識がなければ理解できない。
 アダムスミス、ジョンロックなどが理神論者として、理想の社会共同体への理論を示し、フランクリンがフランスの啓蒙思想にもとずく理想国家の建国をその独立宣言に織り込んだ。だから、ワシントンの政府建物、アメリカのドル紙幣などにはフリーメイソンのシンボルがちりばめられている。例えばワシントン記念塔、ニューヨークの自由の女神などはフリーメイソンによって発案され、建造された。オベリスクを形どるワシントン記念塔はその象徴だ。
 このフリーメイソンの活動目標は神の国における偉大な神殿建設事業の一環である。さらには世界史民主義や国際連合の設立にも思想的基盤をなす。この理神論的な考え方はキリスト教、特にカトリックとは別の集団形成をもたらして来た。しかし、宗教的な世界主義という点では一致している。その神秘主義的傾向や主知主義、啓示の神の否定などは、かつてのアリウス派、薔薇十字団、中世に弾圧を受けたカタリ派、テンプル騎士団、更に遡るとグノーシス派などの思想と根は同じで、「大道具、小道具は新しく取り替えられるが役者もプロットも殆ど同じという劇を何度も繰り返し見せられているという印象もある
。(吉村正和著フリーメイソン;講談社現代新書)」
ロンドンのフリーメイソンのロッジ
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by katoujun2549 | 2009-09-11 21:07 | 国際政治 | Comments(0)